猫のモモタ

緒方宗谷

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一緒に暮らすの大得意イタチの話

なんのために頑張るの?

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 川には、生まれたばかりのたくさんの小魚が、群れを成して泳いでいます。
 モモタは、すくってみようと浅瀬のそばに座って、しゅいしゅい泳ぐ黒い粒粒を目で追いかけていました。
 「わぁ、お魚がたくさんだよ、お兄たん」
 「本当だ、今日はお魚三昧だな」
 後ろを振り向くと、イタチごっこで遊ぶ4匹のイタチがやってきます。
 下の弟たちは、モモタには目もくれず川の中にドブンとしました。
 「こらこら、すぐに食べたら行儀が悪いぞ。
  一度、この平たい石の上に集めて、みんなでお行儀よく食べようじゃないか」
 ギーちゃんは、見つけた石の前にゴロリです。
 ブーちゃんが言いました。
 「兄いが立派な石を守っている間に、いっぱいお魚を取るんだよ。
  僕は、天敵がいないか、辺りを見て回るからね」
 巣穴掘りと同じ様な光景です。
 「あれ?でも何か違うなー」
 よく見ると、2匹は一生懸命働いているのに、平たい石の上の魚は、一向に増えていきません。
 目の良いモモタが良く見ると、テクちゃんは3匹に1匹、フリちゃんは2匹に1匹は食べてしまっています。
 モモタは、上手くやるなーと思いました。
 ですが、お兄ちゃんたちもバカではありません。
 「何やっているんだ、お前たち!全部ばれているんだぞ!!」
 「お兄も僕も見ていないと思うなよ、僕たちはちゃんと見ているんだからな」
 親離れした日から、今までずっと同じように怒られながら働いてきた弟たちは、もう嫌気がさしていました。
 「お兄たんばかりズルいよ。
  僕たちばかりに働かせて、2匹はサボってばかりだよ」
 「何言っているんだ。
  兄いと僕は、お前たちがさぼらないように見張っているんだ。
  テーブルも守らないといけないし、可愛い弟2匹が周りを気にせず小魚をとれるように、警戒もしなくちゃいけないんだ。
  これは、役割分担だよ、勘違いしてもらっちゃ困るなー。
  僕たちだって、大変なんだよ」
 ブーちゃんの言うことはもっともだとうなずくギーちゃんは言いました。
 「2匹に僕たちを守る力はあるのか?僕たちはお兄たんだから、命がけで2匹を守るけど、その覚悟はなるのかな?」
 弟たちに、そんな力はありません。2匹は渋々魚捕りに戻りました。
 「どれどれ、美味しい魚か試してやろう」
 そう言って、ギーちゃんは時々、ピチピチの小魚をつまみます。それを羨ましく思ったブーちゃんもやって来て、美味しい魚か試食しました。
 「さあ、早くご飯を集めようじゃないか、僕たちばかりに働かせてないで、テクたんもフリたんもしっかり働いて」
 つまみ食いを咎められた弟たちは、もうお腹ペコペコです。テクちゃんは、早くご飯に有りつきたくて、必死働きました。
 フリちゃんは、腹ペコを耐えるのが嫌だったので、あまり疲れないように働いています。
 お昼を過ぎた頃、ようやく4匹分の小魚が捕れたので、イタチは遅めのお昼ご飯を食べる事にしました。
 石の上にはたくさんの小魚が跳ねていました。全部2匹で集めた小魚です。そのほとんどはテクちゃんが集めたものなので、テクちゃんは少し不満げでした。
 ですが、4兄弟で支え合って生活をしているのですから、わがままは言えません。2匹は仕方なく、集めた小魚を平等に分けました。
 すると、魚捕りをしなかった2匹はたくさんもらえたのに、少ししかとらなかったフリちゃんは少し量が減りました。そして、一番捕ったテクちゃんは、捕った量の半分ももらえません。
 みんな助け合ってるようだけど、なんか違うなーと思うモモタでした。



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