猫のモモタ

緒方宗谷

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怖がり羊の話

小さなものに隠すってすごいなぁ

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 羊たちのフワフワもこもこの毛を、お兄さんたちが刈っています。刈られる羊たちは、静かに固まっていました。
 それを見たモモタが、ビックリして駆け寄ります。
 「わっ!シッチー君、そんなに痩せていたの?びっくりしちゃった」
 「そうかい?結構スマートで格好いいだろう?」
 最近とても暖かいので、牧場の人たちが、涼しくしてくれたのです。
 「刈ったフワもこはどうするの?」
 「知らない、食べるんじゃないの?」
 「人間は、フワもこを食べたりしないよ」
 お兄さんたちが羊の毛を集めて、車に乗せて持って行きます。
 それを眺めながら、シッチー君が言いました。
 「ここは、とっても住み心地が良いよ。
  ご飯は見渡す限りに生えているし、暑くなったら、毛も刈ってくれるしね」
 「本当だね、牧場って良いところだなぁ」
 とても優しいお兄さんやお姉さんがいて、モモタは、みんな幸せだと思いました。
 おやつをおねだりしにお家には行ったモモタは、虫に食われたセーターを処分しようとしている長女の翔子ちゃんを見つけて、アハ体験。
 「あ、この服フワもこでできてるんだ」
 モモタは、そのことをシッチーに教えてあげると、シッチーは特別びっくりしません。
 そこでモモタが訊きました。
 「涼しくしてあげるためにしてくれてたんじゃないんだよ?もっと良いご飯おねだりしたら?」
 シッチーは良い顔せずに言います。
 「僕たち羊の方がヤギより多いのはなぜか知ってるかい?」
 モモタは首を横に振りました。
 「彼らも葉っぱをたくさん食べるけれど、僕たちみたいなフワもこが無いから、僕たちほどかわいがってもらえないのさ。
  フワフワもこもこしたフワもこを生やすには、たくさん葉っぱを食べなきゃいけないからね」
 モモタは言いました。
 「でも、そんなにたくさん生やしても、意味ないんじゃないの?刈ってもらわないと、暑くて過ごせないくらいなんだから」
 シッチーは誇らしげに言いました。
 「ふっふっふっ、ガンバているから、可愛がってもらえてるのさ。
  モモタも僕たちを見習いなよ」
 モモタは、ヤギのところに行って、みんなを見ました。
 「そこまでしなくても、ヤギは幸せそうだよ?」


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