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海辺のお友達
今いるところが1番幸せ
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モモタはしょんぼりとしながらも、海を渡る手立てはない物かと、浜辺まで下りてみました。
サクサクして面白い肉球手触りですが、今のモモタにとっては、ただ歩きにくい砂浜です。
「僕は、どうしてこんなところまできてしまったのかな。
長いこと祐ちゃんに会えないのを我慢してまで、することだったかなぁ」
波打ち際に座って、寄せては返す波を見ていました。
「あれあれ?だんだん海が遠ざかっていくよ」
モモタは、干潮について行って見る事にしました。
「誰だろう?たくさんいるね」
いたるところで、2度寝をする気持ちの良い寝返りの音が聞こえてきます。
「わっわっ!お魚が歩いてる!!お魚?お魚じゃないの?」
遠くにハゼが歩いているのを見つけて、モモタは駆けて行きました。
「どうして歩こうって思ったの?」
「どうしてって、顔を出したら、水が無かったんだ。
面白がって出てみたら、歩けたのさ」
「龍になるの?」
「龍に?そんな大それたこと考えないよ」
悲しげなモモタの様子に気が付いたハゼは、聞きました。
「それより、どうしたんだい?元気がないね」
「うん、僕、虹の階段に上って見たくて、ここまで旅行しに来たんだけど、行き止まりになってしまったんだ」
「虹の階段を上ろうとしたの?なんて大それたことを考えたんだ。
そんなの実現できるわけないじゃないか。
見てごらん、僕は水が無いと渇いて生きていけないんだよ。
僕のいる濡れている砂と、君のいる濡れていない砂の境界線を越えられないんだよ。
僕は、初めて海の外に顔を出してから、ずっと陸に上がりたいと思っているのに。
でも、今日それでいいと思ったよ。
こっちにいる方が幸せなんだ」
「どうして?」
モモタは、ビックリしました。
「あと少しで陸に上がれるのに、諦めるなんてもったいないよ」
「陸にいる君は、なんでそんなに悲しげなのさ。
僕が思っているほど、陸は良いところじゃないのかもね」
虹に上れなくて悲しむモモタを見て、このハゼは願いがかなわない方が良いと言います。モモタは分かりません。
虹の階段に上りたいと夢見てお家にいるのと、夢破れても海まで来た方と、とちらが良かったのか、今はまだ分かりません。
サクサクして面白い肉球手触りですが、今のモモタにとっては、ただ歩きにくい砂浜です。
「僕は、どうしてこんなところまできてしまったのかな。
長いこと祐ちゃんに会えないのを我慢してまで、することだったかなぁ」
波打ち際に座って、寄せては返す波を見ていました。
「あれあれ?だんだん海が遠ざかっていくよ」
モモタは、干潮について行って見る事にしました。
「誰だろう?たくさんいるね」
いたるところで、2度寝をする気持ちの良い寝返りの音が聞こえてきます。
「わっわっ!お魚が歩いてる!!お魚?お魚じゃないの?」
遠くにハゼが歩いているのを見つけて、モモタは駆けて行きました。
「どうして歩こうって思ったの?」
「どうしてって、顔を出したら、水が無かったんだ。
面白がって出てみたら、歩けたのさ」
「龍になるの?」
「龍に?そんな大それたこと考えないよ」
悲しげなモモタの様子に気が付いたハゼは、聞きました。
「それより、どうしたんだい?元気がないね」
「うん、僕、虹の階段に上って見たくて、ここまで旅行しに来たんだけど、行き止まりになってしまったんだ」
「虹の階段を上ろうとしたの?なんて大それたことを考えたんだ。
そんなの実現できるわけないじゃないか。
見てごらん、僕は水が無いと渇いて生きていけないんだよ。
僕のいる濡れている砂と、君のいる濡れていない砂の境界線を越えられないんだよ。
僕は、初めて海の外に顔を出してから、ずっと陸に上がりたいと思っているのに。
でも、今日それでいいと思ったよ。
こっちにいる方が幸せなんだ」
「どうして?」
モモタは、ビックリしました。
「あと少しで陸に上がれるのに、諦めるなんてもったいないよ」
「陸にいる君は、なんでそんなに悲しげなのさ。
僕が思っているほど、陸は良いところじゃないのかもね」
虹に上れなくて悲しむモモタを見て、このハゼは願いがかなわない方が良いと言います。モモタは分かりません。
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