171 / 502
ロマンチストな海ガメの話
心を潤す魔法のお風呂
しおりを挟む
とても星空が綺麗でした。ときおり走っていく流れ星を捕まえようと、モモタはお尻をフリフリかまえていました。
「あれ?なんだろう、あれ」
海の中から、平べったい影が上がってくるのが見えたので、行ってみました。
月の明かりに照らされる中、とても綺麗な海ガメが、産卵するために浜へあがってきたのです。
「穴掘りして遊んでるの?僕もまぜて」
そばに寄ったモモタは、ビックリしました。
「なんで泣いてるの?痛いの?」
「違うの、安心して。
普段水の中にいる私達は、陸の上にいるとすぐに乾いてしまうのよ。
目が渇いて、生まれたばかりの卵が見えなくならないように、泣いてるの」
「涙も役に立つことがあるの?僕、泣きたいなんて思った事ないのに」
「泣きたいって思う事もあるのよ、大人になったらわかるわ。
涙は悲しい時にしか出ないわけではないのよ」
「うそ、僕、嬉しくて泣いた事ないよ。
それに、泣くとみんなが笑うんだ。男の子なのに泣いてるって」
「みんなもまだ子供なのね。
心が揺さぶられるくらい感動するって、とても素敵なことよ。
嫌な思いをした時は別として、それ以外で涙が出るほど感動できるなんて、とても良い経験だわ」
「海ガメのママも嬉しくて泣いたことある?」
「あるわ、昔産んだ卵から孵った子供に、何年かして海で偶然再会したの。
こんな広い海でよ、奇跡だと思ったわ。
だって今まで沢山の卵を産んだけれど、子供に再会したことは無かったもの」
「小ガメちゃんがママと再会したの?」
モモタはぴょんと跳ねて、喜びました。すると、モモタの目が潤みます。
「あれ?どうしたんだろう?急に涙が出てきちゃった。
悲しくも嬉しくも無いのに、可笑しいね」
海ガメは何も言いませんでした。モモタがお母さんの事を思い出したのだと、察したからです。
卵を産み終わった海ガメに、モモタは言いました。
「わぁ、きれいな卵。
星空の下で星を生めるなんて、とても素敵だね」
「あれ?なんだろう、あれ」
海の中から、平べったい影が上がってくるのが見えたので、行ってみました。
月の明かりに照らされる中、とても綺麗な海ガメが、産卵するために浜へあがってきたのです。
「穴掘りして遊んでるの?僕もまぜて」
そばに寄ったモモタは、ビックリしました。
「なんで泣いてるの?痛いの?」
「違うの、安心して。
普段水の中にいる私達は、陸の上にいるとすぐに乾いてしまうのよ。
目が渇いて、生まれたばかりの卵が見えなくならないように、泣いてるの」
「涙も役に立つことがあるの?僕、泣きたいなんて思った事ないのに」
「泣きたいって思う事もあるのよ、大人になったらわかるわ。
涙は悲しい時にしか出ないわけではないのよ」
「うそ、僕、嬉しくて泣いた事ないよ。
それに、泣くとみんなが笑うんだ。男の子なのに泣いてるって」
「みんなもまだ子供なのね。
心が揺さぶられるくらい感動するって、とても素敵なことよ。
嫌な思いをした時は別として、それ以外で涙が出るほど感動できるなんて、とても良い経験だわ」
「海ガメのママも嬉しくて泣いたことある?」
「あるわ、昔産んだ卵から孵った子供に、何年かして海で偶然再会したの。
こんな広い海でよ、奇跡だと思ったわ。
だって今まで沢山の卵を産んだけれど、子供に再会したことは無かったもの」
「小ガメちゃんがママと再会したの?」
モモタはぴょんと跳ねて、喜びました。すると、モモタの目が潤みます。
「あれ?どうしたんだろう?急に涙が出てきちゃった。
悲しくも嬉しくも無いのに、可笑しいね」
海ガメは何も言いませんでした。モモタがお母さんの事を思い出したのだと、察したからです。
卵を産み終わった海ガメに、モモタは言いました。
「わぁ、きれいな卵。
星空の下で星を生めるなんて、とても素敵だね」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
月神山の不気味な洋館
ひろみ透夏
児童書・童話
初めての夜は不気味な洋館で?!
満月の夜、級友サトミの家の裏庭上空でおこる怪現象を見せられたケンヂは、正体を確かめようと登った木の上で奇妙な物体と遭遇。足を踏み外し落下してしまう……。
話は昼間にさかのぼる。
両親が泊まりがけの旅行へ出かけた日、ケンヂは友人から『旅行中の両親が深夜に帰ってきて、あの世に連れて行く』という怪談を聞かされる。
その日の放課後、ふだん男子と会話などしない、おとなしい性格の級友サトミから、とつぜん話があると呼び出されたケンヂ。その話とは『今夜、私のうちに泊りにきて』という、とんでもない要求だった。
こちら第二編集部!
月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、
いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。
生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。
そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。
第一編集部が発行している「パンダ通信」
第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」
片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、
主に女生徒たちから絶大な支持をえている。
片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには
熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。
編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。
この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。
それは――
廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。
これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、
取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。
おなら、おもっきり出したいよね
魚口ホワホワ
児童書・童話
ぼくの名前は、出男(でるお)、おじいちゃんが、世界に出て行く男になるようにと、つけられたみたい。
でも、ぼくの場合は、違うもの出ちゃうのさ、それは『おなら』すぐしたくなっちゃんだ。
そんなある日、『おならの妖精ププ』に出会い、おならの意味や大切さを教えてもらったのさ。
やっぱり、おならは、おもっきり出したいよね。
トウシューズにはキャラメルひとつぶ
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
児童書・童話
白鳥 莉瀬(しらとり りぜ)はバレエが大好きな中学一年生。
小学四年生からバレエを習いはじめたのでほかの子よりずいぶん遅いスタートであったが、持ち前の前向きさと努力で同い年の子たちより下のクラスであるものの、着実に実力をつけていっている。
あるとき、ひょんなことからバレエ教室の先生である、乙津(おつ)先生の息子で中学二年生の乙津 隼斗(おつ はやと)と知り合いになる。
隼斗は陸上部に所属しており、一位を取ることより自分の実力を磨くことのほうが好きな性格。
莉瀬は自分と似ている部分を見いだして、隼斗と仲良くなると共に、だんだん惹かれていく。
バレエと陸上、打ちこむことは違っても、頑張る姿が好きだから。
スペクターズ・ガーデンにようこそ
一花カナウ
児童書・童話
結衣には【スペクター】と呼ばれる奇妙な隣人たちの姿が見えている。
そんな秘密をきっかけに友だちになった葉子は結衣にとって一番の親友で、とっても大好きで憧れの存在だ。
しかし、中学二年に上がりクラスが分かれてしまったのをきっかけに、二人の関係が変わり始める……。
なお、当作品はhttps://ncode.syosetu.com/n2504t/ を大幅に改稿したものになります。
改稿版はアルファポリスでの公開後にカクヨム、ノベルアップ+でも公開します。
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。
桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。
山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。
そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。
するとその人は優しい声で言いました。
「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」
その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。
(この作品はほぼ毎日更新です)
にきの奇怪な間話
葉野亜依
児童書・童話
十三歳の夏休み。久しぶりに祖母の家へと訪れた少年・にきは、突然奇怪なモノ――所謂あやかしが見えるようになってしまった。
彼らの言動に突っ込みつつ、彼らの存在を受け入れつつ、それでも毎日振り回されてばかり。
小鬼や動き出す欄間、河童に喋る吐水龍、更には狐憑きの女の子も現れて……。
普通の少年と奇怪なモノたちによる、ひと夏の日常あやかし話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる