猫のモモタ

緒方宗谷

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守られることを知っているカマキリの話

悪いところがあるからって、良いところを見ないのは良くないよ

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 「クモの巣はヤダなぁ。
  だって、毛にくっつくと取れなくなって、ベテベタするもの。
  古くなったご飯がぶら下がってることもあるでしょう?クモの姿もなんか怖いし、噛みつかれそうで、なんとかならないかなぁ?」
 カマキリは、言いました。
 「ふーん、僕の鎌なら取り除くことなんて簡単だけど、そんなことをして良いのかい?」
 「悪いことがあるの?いつもお家を汚すんだ」
 「僕たちは生きてるんだから、汚れは誰からでも出るさ。
  それより、クモの巣がなんであるか考えてみなよ」
 モモタは、クモの巣に役立つことがあるなんて思えません。
 「ママは、お掃除するんだ、邪魔なんだよ」
 「虫取網と同じさ、あれでご飯を取るんだよ。
  お家の中に巣があったってことは、その辺りに、イタズラをする羽虫が来るってこと。
  ママはイタズラ虫は嫌いだろう?あの巣のお陰で、守られているんだ」
 モモタは頭にカマキリをのせて、小さな巣を見に行きました。
 「誰もいないね、出掛けてるのかな?」
 モモタは見渡しますが、クモの姿はどこにもありません。
 「モモタ君はクモの姿を言っていたけど、彼はとてもキレイ好きなんだ。
  毎日新しいお家を作るんだよ、誰よりも早起きしてね」
 「本当に?信じられない」
 驚いたモモタは、もっと話してとせがみます。
 「良く見てごらん、規則正しく張られてるだろ?几帳面なんだ。
  確かにモモタの言うことも分かるけど、だからと言って良い面を見ないとか、見た目を好まないから嫌ったりしてはいけないよ」
 「ママはどう思ってるんだろう?」
 「ママは巣を取り払うけど、クモは掃き出さないだろ?イタズラされてるなんて思っていよ」
 モモタは感心して言いました。
 「知らないところでお家を守っている小さな勇者は、たくさんいるんだね」
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