93 / 500
山の上のお友達
知っている世界が全部じゃないよ
しおりを挟む
モモタは怯えてうずくまっていました。
闇夜の中で何かの気配をたくさん感じます。
「怖いよ~、誰かお友達いないかなぁ」
暗いところは得意なはずなのに、どうしたのでしょうか。
「ふえ~ん、何にも見えないよ、どうしてこんなに暗いのかなぁ」
山で過ごす始めての夜は、曇っていました。いくら猫でも、真っ暗だと夜目がききません。
不安は不安を呼びました。ネズミが走って擦れる枯れ葉の音にさえ、ビクビクしてしまいます。
本当なら、心地好い虫の音色も、火の玉が飛ぶ音に聞こえました。
「ホーホー、ホーホー」
「なーに?何の音?誰かー!誰か助けてー!」
バサバサバサという大きな音に、モモタはひっくり返ってしまいました。
「きゃー!オバケー!」
気配の先には、火の玉が2つありました。
「誤解だよ、猫ちゃん」
肉球の下から見やると、縦長の黒目が光っています。
「なんだ、猫じゃないか、驚いちゃった。
今晩一緒にいさせてよ」
ピョンとしてヨジヨジ、木に登ってびっくりです。
「きゃー!オバケー!」
2度見てまたびっくり、ギョエ~とした顔が、マントを広げて迫ってきます。
「わっ、わっ、わっ、食べないで~」
変な生き物は言いました。
「大丈夫だよ、食べないから。
僕はミミズクだよ。
れっきとした鳥だから」
「うっそだぁ、鳥じゃないもん、目が前にあるもの」
「こういう鳥もいるのさ。
それより何してるんだい?山猫じゃないだろう?」
「うん、僕家猫さ。
虹を上りにお出かけしたんだ」
モモタは匂いをかぎながら、羽があること、くちばしがあること、足があることを確かめます。
「虹まで行くの?それは大変だな、とっても遠いぞ」
「山のお友達に会いたくて、お散歩に来たんだけど、日が暮れちゃた。
山はとても怖いところだね、昼間は楽しかったのに、夜になったら、そこら中オバケだらけ」
ミミズクは、首を傾げました。
「そんなことないさ、夜だってとても楽しい世界だよ」
「どうして?周りには怖いのがたくさんいるじゃない」
ガサガサと気配のする方を見ますが、モモタには見えません。
ですが、ミミズクには見えたので、モモタが怖がる理由が分かりました。
「今日は疲れたろう。
そこにある節に開いた穴は、君にちょうど良いベッドたよ。
僕がそばにいてあげるから、ゆっくりお休み」
「うん、ありがとー」
丸くなったモモタに、ミミズクは優しく言いました。
「見えないって、とても怖いことだよね。
怖い気持ちは、心が作った勘違いなんだ。
ガサガサ言う音は、野ねずみがかける音さ。
正体が分かれば怖くないだろう?大きく深呼吸して、落ち着こう」
モモタは言われた通りにしました。
「耳を澄ませて、良く聴いてごらん。
君には見えないかも知れないけど、昼間とは違った楽しい世界が、広がっているだろう?」
さっきまでモモタは気がつかなかった虫の声が聞こえます。
目を凝らすと、見えなかった景色が、影絵のように見えます。
「世の中には、知らないから、自分とは違うからと、怖がって遠ざけてしまうことがたくさんあるんだよ。
君は、町で育って、昼間遊んで、夜寝るけど、山で育って夜遊んで、眩しいのを怖がる子達もいるんだ。
でもね、もしお友達になれたら、とても素晴らしいことだよ。
だって、世界が広がるんだもの」
まだモモタには分かりませんが、好きになるかならないかは、まず知ってから決めようと思いました。
闇夜の中で何かの気配をたくさん感じます。
「怖いよ~、誰かお友達いないかなぁ」
暗いところは得意なはずなのに、どうしたのでしょうか。
「ふえ~ん、何にも見えないよ、どうしてこんなに暗いのかなぁ」
山で過ごす始めての夜は、曇っていました。いくら猫でも、真っ暗だと夜目がききません。
不安は不安を呼びました。ネズミが走って擦れる枯れ葉の音にさえ、ビクビクしてしまいます。
本当なら、心地好い虫の音色も、火の玉が飛ぶ音に聞こえました。
「ホーホー、ホーホー」
「なーに?何の音?誰かー!誰か助けてー!」
バサバサバサという大きな音に、モモタはひっくり返ってしまいました。
「きゃー!オバケー!」
気配の先には、火の玉が2つありました。
「誤解だよ、猫ちゃん」
肉球の下から見やると、縦長の黒目が光っています。
「なんだ、猫じゃないか、驚いちゃった。
今晩一緒にいさせてよ」
ピョンとしてヨジヨジ、木に登ってびっくりです。
「きゃー!オバケー!」
2度見てまたびっくり、ギョエ~とした顔が、マントを広げて迫ってきます。
「わっ、わっ、わっ、食べないで~」
変な生き物は言いました。
「大丈夫だよ、食べないから。
僕はミミズクだよ。
れっきとした鳥だから」
「うっそだぁ、鳥じゃないもん、目が前にあるもの」
「こういう鳥もいるのさ。
それより何してるんだい?山猫じゃないだろう?」
「うん、僕家猫さ。
虹を上りにお出かけしたんだ」
モモタは匂いをかぎながら、羽があること、くちばしがあること、足があることを確かめます。
「虹まで行くの?それは大変だな、とっても遠いぞ」
「山のお友達に会いたくて、お散歩に来たんだけど、日が暮れちゃた。
山はとても怖いところだね、昼間は楽しかったのに、夜になったら、そこら中オバケだらけ」
ミミズクは、首を傾げました。
「そんなことないさ、夜だってとても楽しい世界だよ」
「どうして?周りには怖いのがたくさんいるじゃない」
ガサガサと気配のする方を見ますが、モモタには見えません。
ですが、ミミズクには見えたので、モモタが怖がる理由が分かりました。
「今日は疲れたろう。
そこにある節に開いた穴は、君にちょうど良いベッドたよ。
僕がそばにいてあげるから、ゆっくりお休み」
「うん、ありがとー」
丸くなったモモタに、ミミズクは優しく言いました。
「見えないって、とても怖いことだよね。
怖い気持ちは、心が作った勘違いなんだ。
ガサガサ言う音は、野ねずみがかける音さ。
正体が分かれば怖くないだろう?大きく深呼吸して、落ち着こう」
モモタは言われた通りにしました。
「耳を澄ませて、良く聴いてごらん。
君には見えないかも知れないけど、昼間とは違った楽しい世界が、広がっているだろう?」
さっきまでモモタは気がつかなかった虫の声が聞こえます。
目を凝らすと、見えなかった景色が、影絵のように見えます。
「世の中には、知らないから、自分とは違うからと、怖がって遠ざけてしまうことがたくさんあるんだよ。
君は、町で育って、昼間遊んで、夜寝るけど、山で育って夜遊んで、眩しいのを怖がる子達もいるんだ。
でもね、もしお友達になれたら、とても素晴らしいことだよ。
だって、世界が広がるんだもの」
まだモモタには分かりませんが、好きになるかならないかは、まず知ってから決めようと思いました。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜
まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。
ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。
父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。
それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。
両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。
そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。
そんなお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。
☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。
☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。
楽しんでいただけると幸いです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる