猫のモモタ

緒方宗谷

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魔法を使う蝶々の話

何気なく言った一言が、輝きを曇らせることがある

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 モモタは、リボンが好きな女の子のお家に遊びに行きました。
 青虫が沢山いましたが、一生懸命ハムハムしているはずなのに、誰もハムハムしていません。どうしてなのでしょうか。
 「モモちゃん、あのね。
  僕達こんなに可愛いのに、遠くから気持ち悪いって言われたんだ。
  僕達、本当は気持ち悪いのかなぁ?」
 「そんなこと無いよ。
  短いあんよがキュートだし、黄緑色が優しくて、綺麗だよ。
  僕は、君達が葉っぱを食べているのを見るのが好きなんだ。
  成長しようと一生懸命で、元気一杯。
  あっと言う間に葉っぱが無くなるの、不思議だもん。
  僕まで元気になっちゃうよ」
 青虫達は元気を取り戻しました。
 「モモちゃんに良いこと教えてあげる。
  僕達サナギになる時、葉っぱの上だと緑色、枝の上だと灰色になるんだよ、えっへん」
 それからしばらくして、糸を吐き始めた青虫達は、みるみる間にサナギになりました。初めて見る姿に、モモタはビックリです。
 鼻で触ってみると、ピコピコお尻を振ります。
 「クスクス、モモちゃんくすぐったいよ」
 その姿は、柔らかい産着を着ているようです。
 モモタは言いました。
 「可愛い宝石から、お姫様や王子様になるんだ。
  成長って素晴らしい!!」
 でも、みんな元気を取り戻さなかったら、どうなっていたのでしょう。モモタは蝶々さんに聞いてみました。
 「悲しいけれど、傷ついた赤ちゃん達は、サナギになろうとしなくなって、一生青虫で過ごすのよ。
  本当にありがとう、モモちゃんの励ましのお陰で、みんな良い夢を見ているはずよ。
  私達の羽の白さは、見る夢で決まるんだから」
 ちょっとした傷1つでも、輝きを放てなくなることがあると知ったモモタでした。
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