猫のモモタ

池のある公園に住むお友達の話

相手を思いやる心がないと、本当のお友達にはなれないよ

　赤いザリガニが池の中を歩いているのをモモタが見つけました。
　「変なのー、水の中を歩いてる！」
　モモタは、初めて見るザリガニに大興奮です。泳げないのか確かめようと、前足で水をかき回しました。
　すると、ヒュイと後ろに泳いで、少しはなれたところをまた歩き始めます。
　それが面白くて、モモタは何度もザリガニのところに行っては、水をかき回します。
　怒ったざりがは、大きなハサミでモモタのお鼻を挟みました。
　「痛い！　何てことするの？　ヒドイよ」
　「ヒドイのは君さ。
　　僕が嫌がっているのに、面白がってお水をかき回したりしてさ」
　「嫌だったの？　僕は楽しかったよ。
　　僕は君と遊びたかったんだ」
　「君が楽しいからって、相手が楽しいとは限らないんだよ。
　　僕は、君を傷つけまいと我慢していただけなんだ。
　　我慢できなくて、お鼻を挟んでしまってゴメンよ」
　怒っていたザリガニでしたが、しょんぼりするモモタが可愛そうになって、謝ってくれました。
　「ううん、謝るのは僕の方さ。
　　自分が楽しいからって、君の気持ちを思わずに、イタズラしてしまって、ごめんなさい」
　ザリガニは、モモタが本心から謝ってくれていると感じ、許してくれました。
　モモタは反省しました。
　「僕は楽しくザリガニさんと遊んだつもりだけど、相手が楽しくないこともあるんだ」
　相手を思いやることを学んだモモタでした。