猫のモモタ

緒方宗谷

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自分大好き蛾の話

自分のためにお友達になりたいの?相手のためにお友達になりたいの?

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 ある日の夕暮れ、モモタはショゲショゲと歩いていました。
 「モモタ君、どうしたんだい?」
 顔をあげると、蛾が心配そうにしているので、相談しました。
 「実はね、何匹かの猫が、僕の事を仲間外れにするんだ。
  僕、君達に何もしてないよって言ったら、ハムスターと仲良くする猫なんて、猫じゃないって言うんだ」
 「彼らは君が羨ましいんじゃないかな?モモタ君には、沢山のお友達がいて、いつも楽しそうだから」
 「だからといって、仲間外れはヒドイよ。
  でも、あの子達は、僕がおかしいんだって言うんだよ。
  本当に僕がおかしいのかな?」
 「それは絶対にないよ、彼らがどうして良いか分からないんだよ。
  君と友達になりたいから、気を引こうとしてるのさ」
 「僕はあの子達が嫌いじゃないけど、こんなことをされたら、嫌いになっちゃうよ」
 「何か、共通の楽しみを見つけてごらん。
  一緒に協力し合って、何かを達成すると、とても絆が深まるんだよ」
 モモタは、蛾にお礼を言って帰りました。
 ある日、トラックのお魚屋さんがやって来ました。
 猫たちは、お魚ちょーだいとガンバりますが、誰も貰えません。モモタも、あの子達も貰えません。
 モモタは、自分を仲間外れにした子達に話かけました。
 「ねえ、みんな、僕達4匹で頑張ろうよ。
  だって僕たち、もう少しで貰えそうだったじゃないか。
  みんなで力を合わせれば、必ず貰えるよ」
 3匹は顔を見合わせてうなずくと、モモタと一緒に、お魚屋さんのところに行って、可愛く鳴いたり、可愛く見つめたり、可愛くポーズをとったり、一生懸命にゃんにゃんします。
 あまりの愛くるしさに、お魚屋さんは、傷物のイワシを1尾くれました。
 「やったぁ、ありがとー」
 4匹で食べるには小さかったけれど、大きな友情が手に入りました。

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