猫のモモタ

緒方宗谷

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池のある公園に住むお友達の話

人と繋がることに価値があるんだ、繋がらない財産なんて財産じゃないよ

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 朝早く目が覚めたモモタは、早朝の公園をお散歩することにしました。
 木の上では、沢山の虫がお食事をしています。ある1本の木を見ると、何やら不穏な様子です。
 「ここは俺様の蜜なんだぞ!黄金虫達はあっちに行きな!」
 1匹のかぶと虫が、2匹の小クワガタを従えて、他の虫達を追い払っています。
 「なんでそんな事するのさ?蜜は沢山溢れてるんだから、分けてあげても良いんじゃないのかな?」
 注意したモモタに、かぶと虫が言いました。
 「ここは俺様が見つけた蜜なんだ。
  そんなに言うなら、俺を倒してみなよ」
 角でつつかれて、モモタは枝から落ちてしまいました。
 「強いとか弱いとかじゃないでしょ?仲良くみんなで食べた方が、楽しくて良いじゃないの。
  そんなんじや、困った時誰も助けてくれないよ」
 「俺様は困ることなんかあるもんか。
  強い力と財産があるんだから」
 かぶと虫は、聞く耳を持っていませんでした。
 しばらくしたある日、朝の散歩ついでに、モモタは不穏な木を見に行きました。
 「あれ?何かが違ってるなぁ」
 あの意地悪なかぶと虫を良く見ると、ほとんど出ていない蜜をなめています。そういえば、小クワガタもいません。
 同じ木の少し高い所には、1匹のかぶと虫と他の虫が集まって、朝御飯を食べています。
 「ねえ、かぶと虫さん、どうしたの?何があったの?」
 かぶと虫は、しょげた様子で答えました。
 「ああ君か、君の言う通りになっちゃたよ。
  あの後すぐに蜜が出なくなってしまってね。
  上の蜜をなめに行ったら、あいつに投げ飛ばされてしまったんだ。
  そしたらどうだ、子分もどこかに行ってしまったよ」
 「だから言ったでしょ。
  力に頼っても、上には上がいるんだし、蜜だって突然無くなることもあるんだよ。
  でも、心は簡単に無くなりはしないよ」
 モモタには、色々なお友達がいます。お友達のお話を良く聞いていたので、心の繋がりがとても大事という事をよく知っていました。
 色々とみんなに助けられてきたからです。
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