猫のモモタ

緒方宗谷

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人間だと思っているオウムの話

目に見えないのに、重くなる物

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 窓のむこうには、幾つもの鳥カゴがあって、オウムが頭をポリポリ掻いていました。
 みんなしてポリポリしている姿が面白くて、モモタは窓越しに見ていました。
 「なんで君だけポリポリしてないの?」
 「ポリポリしたいんだけど、ポリポリ棒が見当たらないんだ。
  誰かの余ってないかな?」
 モモタも一緒に探してあげようと、塀の上を歩きながら、お店の中を見ました。すると、反対側のカゴのオウムが、隣のオウムに話しかける声が聞こえました。
 「自分で用意しておかないのがいけないのよね。
  ああやって誰かのを使おうなんて、虫が良すぎるわ」
 話しかけられたオウムは、モゴモゴしています。
 その内にお掃除の時間がやって来て、陰口を言うオウムは、別のお部屋に行きました。
 すると、モゴモゴのオウムが言いました。
 「実は、ポリポリ棒が無いのは、この僕なんだ」
 「どうして?あるじゃないの」
 モモタの質問に、モゴモゴは申し訳無さそうに、答えます。
 「ポリポリの時間なのに、自分のが無くて、落ちていたのを使ったんだ。
  たぶんこれが彼のだよ」
 モモタは、辺りを見渡して言いました。
 「僕が小枝を拾ってきてあげるよ。
  そしたら、棒を返してあげられるでしょ?」
 一件落着です。笹身をくれるお婆ちゃんのお家に行く途中で、モモタは思いました。
 「人の陰口は言わない。
  オウムの女の子は、1つの思い違いと、1つの失敗をしてたもの」
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