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自分大好き蛾の話
自分の中の想像に負けたら、大切なものを失うよ
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モモタは、リビングの棚の上置いてあるプラモを眺めていました。
「すごいなぁ、佑ちゃんが作ったヤツだ、格好いいなぁ」
もっとそばで見たり触ったりしたくて、棚の上にピョンと上りました。その拍子にガッシャーン、プラモのロボットは落ちて壊れてしまいました。
「あー!モモタが僕のプラモ壊したー!」
佑ちゃんの声にビックリしたモモタは、リビングから逃げました。
廊下らかリビングを覗くと、ママの膝で嘆く佑ちゃんの姿が見えます。
謝ろうとしましたが、勇気が出ません。伝えられない思いは、ちょっとの時の流れの中で、更に伝えられなくなります。
家を飛び出したモモタは、そのまま戻れなくなってしまいました。
「どうしたんだい、モモタ?こんな時間に珍しいね」
見上げると、蛾がいました。
「実はね、佑ちゃんのプラモを壊したのに、僕は謝らなかったんだ。
許してもらえなかったらどうしようと思うと、怖くて怖くて、お家にも帰れなくなっちゃった」
「それは大変だね。
それで君は、このまま謝らないつもりかい?」
モモタは、黙ってうつむいてしまいました。
「君が抱いている恐怖は幻想なのさ。
許してくれないご主人様も、君の心が作ったんだよ。
君があのお家に来てからの日々を思い返してごらん。
もちろん、想像でなく思い出だよ」
モモタは目をつぶって、思い出しました。
「いつも撫でてくれる佑ちゃんがいるよ。
猫じゃらしで遊んでくれたり、一緒に煮干しをつまみ食いしたり、いつも一緒にいるんだ」
「本当のご主人様は、とても優しいんだろう?
確かに、プラモが壊れて悲しく思っただろうけど、ちゃんと謝る君を許してくれないと思うかい?」
「ううん、そんなこと無いよ。
だって、とても仲良しだもの」
蛾は、モモタの背中に降りてきて、微笑みました。
「不安が作り出した悪夢なのさ。
勇気を出して謝ってごらん。
夢に現実が負けてしまうこともあるからね」
そんなの嫌です。モモタは急いでお家に帰りました。
「お帰り、モモタ!何日もどこにいたの?心配したんだよ!」
モモタは、佑ちゃんの耳元で、ごめんなさいと謝りました。
「すごいなぁ、佑ちゃんが作ったヤツだ、格好いいなぁ」
もっとそばで見たり触ったりしたくて、棚の上にピョンと上りました。その拍子にガッシャーン、プラモのロボットは落ちて壊れてしまいました。
「あー!モモタが僕のプラモ壊したー!」
佑ちゃんの声にビックリしたモモタは、リビングから逃げました。
廊下らかリビングを覗くと、ママの膝で嘆く佑ちゃんの姿が見えます。
謝ろうとしましたが、勇気が出ません。伝えられない思いは、ちょっとの時の流れの中で、更に伝えられなくなります。
家を飛び出したモモタは、そのまま戻れなくなってしまいました。
「どうしたんだい、モモタ?こんな時間に珍しいね」
見上げると、蛾がいました。
「実はね、佑ちゃんのプラモを壊したのに、僕は謝らなかったんだ。
許してもらえなかったらどうしようと思うと、怖くて怖くて、お家にも帰れなくなっちゃった」
「それは大変だね。
それで君は、このまま謝らないつもりかい?」
モモタは、黙ってうつむいてしまいました。
「君が抱いている恐怖は幻想なのさ。
許してくれないご主人様も、君の心が作ったんだよ。
君があのお家に来てからの日々を思い返してごらん。
もちろん、想像でなく思い出だよ」
モモタは目をつぶって、思い出しました。
「いつも撫でてくれる佑ちゃんがいるよ。
猫じゃらしで遊んでくれたり、一緒に煮干しをつまみ食いしたり、いつも一緒にいるんだ」
「本当のご主人様は、とても優しいんだろう?
確かに、プラモが壊れて悲しく思っただろうけど、ちゃんと謝る君を許してくれないと思うかい?」
「ううん、そんなこと無いよ。
だって、とても仲良しだもの」
蛾は、モモタの背中に降りてきて、微笑みました。
「不安が作り出した悪夢なのさ。
勇気を出して謝ってごらん。
夢に現実が負けてしまうこともあるからね」
そんなの嫌です。モモタは急いでお家に帰りました。
「お帰り、モモタ!何日もどこにいたの?心配したんだよ!」
モモタは、佑ちゃんの耳元で、ごめんなさいと謝りました。
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