猫のモモタ

緒方宗谷

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お家で出会ったお友達の話

形じゃないんだ、気持ちが伝わるのが温かいんだ

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 「こんばんわ、君は、いつもお家にくっついているけど、何をしてるの?」
 ヤモリは言いました。
 「この家を守っているだ」
 「この家を?こんなに小さな君が!?笑っちゃうなぁ。
  だってそうでしょう?君なんかに守れるはずないよ」
 「どうしてそう言い切れるんだい?良くご覧、お庭には沢山の虫がいるのに、お家の中にはいないだろう。
  それは僕が、こうやって網戸にくっついて、虫を食べているからだよ」
 モモタは、網越しに食堂を見ました。確かに虫はいません。美味しそうな物があんなに沢山あるのに。
 「そういえば、ママは虫が嫌いなんだ。
  この間だって、僕の鼻よりも小さな虫を見て、パパに泣きついていたよ。
  パパも新聞紙を長く丸めて悪戦苦闘さ」
 ヤモリは自慢気言いました。
 「その時、僕がいたら、そんな虫は出なかっただろうね」
 「本当だね、君はすごいんだなぁ。
  僕もやってみよう」
 そう言って、モモタは飛んでいた虫めがけて、パクっとしてみましたが、うまくいきません。
 前足を使ってチョイチョイしてみますが、小さな虫はヒューイヒュイと、簡単に避けていきます。
 「難しいな、エイ!」
 両前足で挟んでみますが、ヒューイヒュイ。やっぱり捕まりません。
 「ははははは、君には無理さ、だってヤモリじゃないんだから」
 「でも、僕もお家を守りたいんだ。
  ご主人様の佑ちゃんに、褒めてもらいたいんだ」
 モモタがそう言うと、ヤモリは良い事を教えてくれました。
 「ママはネズミが大嫌いなんだ。
  だから、ネズミを捕まえたら、褒めてくれるんじゃないかな?」
 「佑ちゃんは?」
 「佑ちゃんも褒めてくれるよ。
  だって、佑ちゃんは、ネズミが大好きなんだ。
  この間遊びに来たお友達が連れていたハムスターと、ずっと遊んでいたよ」
 「本当に?じゃあ、僕頑張ってみるよ」
 モモタは、毎晩お庭でネズミを探しました。そしてようやく1匹捕まえて、ママのところに持っていきました。
 「ママ、ネズミを捕まえたよ。
  僕すごいでしょ」
 ですがママは大騒ぎ、パパの所へ逃げていってしまいました。でも、佑ちゃんは大はしゃぎ。
 「本当だ、すごいねモモタ、僕初めて見たよ」
 褒めてもらえたのが嬉しくて、佑ちゃんの足にスリスリしました。
 「ママには褒めてもらえなかったけど、とっても幸せ」
 晩御飯の時間が来て器を見ると、モモタはビックリ。いつもの缶詰めの他に、カツオの笹身と猫ちゃんミルクがついていました。
 「私の為に捕まえてくれたんでしょう?偉いわね。
  でも、もうお家の中に連れてきちゃダメよ」
 ママに優しく撫でられて、ゴロゴロゴロ。
 「何でだろ?あんなに嫌がっていたのに、何で褒めてくれたのかな?」
 晩御飯の後に、ヤモリに教えてあげに行きました。
 「それは、モモタの気持ちが伝わったんだよ。
  モモタがお家を守りたいって気持ちが伝わって、嬉しかったんじゃないかな」
 一生懸命頑張って、本当に良かったと思うモモタでした。


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