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母との思い出
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朝起きて冷蔵庫を開けると、納豆があった。週に何度か納豆を食べる。大抵はそれほど好きではないメーカーのを食べるのだが、月に1回は必ず大好きなメーカーの納豆が朝ご飯になる。
その日ばかりは、とても早起きだった。気分が良く、そのまま学校に行ってしまうほどだ。
この家には炊飯器が無い。ご飯はもっぱらレンチンするもので済ませる。レトルトご飯の味は、昔と比べるとだいぶ良くなったように思う。CMでは、手抜きに誘うような魅力的な演出がなされていたが、多くの主婦は家事力の低下を嫌がったのか、周りの目があるからなのか、とても浸透した様子はない。
最近は、銘柄米を使用したとか特別感が出てきている。共働き世帯の増加で需要が伸びたり、非常食としての役割も担うようになっているのか、量販店に行くと結構なスペースを棚に確保されていた。
炊いたり洗ったりする手間を考えると、父子家庭で労働時間が長い真一にとっては、効率が良く空腹を満たせる食品だ。
みのるはご飯がとても大好きだったから、レンチンに頼る家庭環境は願ったりかなったりだ。ただ、正確にはご飯自体が好きというよりも、納豆が好きであったから、おのずとご飯が好きになったと言った方が適切かもしれない。事実、納豆が冷蔵庫にないときは、ご飯を食べる事はなかったのだから。
棚を開けると、桜色の陶器茶碗がある。しかし、その茶碗の形は、読者が想像している物とはだいぶ異なるだろう。縁には1つの注ぎ口が付いていて、その注ぎ口を自分に向けると、左手側に大きな取っ手が付いている。
何か汁を注ぐための物にも見えなくはないが、そうではない。これは、地元茨城独特の食器で、納豆を上手にかき混ぜるための物だ。納豆1食分をかき混ぜるのにちょうど良い大きさで、勢い余って豆粒が零れ落ちないし、取っ手が付いているので、勢いよく回しても、滑って落とすことが無い。
色合いからして女性用だ。幼いとはいえ、みのるの物には見えないのだが、数少ない食器の中で、唯一のお気に入りだった。
実はこの食器、母親の忘れ物の1つなのだ。もともと真一の青の器とセットだったのだが、彼のは割れてしまい捨ててしまった。みのるは、母から大きくなったら自分のを買ってくれると約束していたが、それが果たされることなく離婚していなくなって今に至る。
みのるは母親を恨んでいなかったが、窓いっぱい照らす温かく白い日差しに包まれて、3人で朝ご飯を食べた記憶は、小さな胸の中から消えることなかった。この器を使うと、あの頃の気持ちが思い出されて、つかの間の幸せに浸ることが出来る。
母親の膝は、みのるの特等席だ。柔らかい胸に抱きしめてあげることで、陽子は子への愛情を表し伝えていた。
彼女はとても良くできた女性だ。真一も陽子もそれほど高給取りではなかった。しかし、結婚したら専業主婦になりたいと思っていたから、寿退社してしまった。子供を産むと、夫の稼ぎだけでは養育できないと考え、保育園に入園させると同時に、アルバイト社員として働き始める。
週5出勤であったものの、残業なしで4時に退社できたから、みのるのお迎えの時間も夕食の準備もこなすことが出来た。朝早く起きて軽く掃除をすると朝食を作り始めて、7時に2人を起こして洗濯機をまわし始める。
自分は調理中にご飯を済ませているから、2人が食べている間に洗い物をして、玄関に自分とみのるのカバンを用意し、散らかったものの整理整頓を始める。50分で完了するよう洗濯時間を設定してあるから、真一を見送りながら10分で干して、8時にみのると幼稚園へ向かう。これが陽子の日課だ。
みのるが生まれてからの数年、陽子は幸せだった。しかし、何か歯車は狂い始めている事に、本人は気が付いていない。
初めは、家事も仕事もこなしている自分に満足していた。前の職場では効率性を高めることを要求されてきたし、それで評価されてきたから、退職してからも、それが行動理念として作用している。
可能な限り手順よく作業をこなす。何か家事を行うときは、1WAY2JOBを意識して、幾つかのタスクを同時進行で行う。そうすれば、1つ1つを順々にこなすよりも速く進むし、終了までの時間も時間短くて済むはずだった。
しかし、実際はそうはならなかった。1つ1つの仕事を見れば、思いどうりに行っていたのだが、どうにも家事と仕事の両立はうまくいかない。楽になるはずが一向に楽にならず、却って苦しくなるばかりだった。
もともと几帳面な性格ではなかったが、専業主婦に憧れていた事と家事の性質上、脳内の報酬系が刺激されて、家事の向上を飽くことなく求める泥沼へと嵌っていたのだ。
時間が空けば開いただけ家事を入れてしまう。もっと作れるもっと綺麗に出来ると、自らどんどんとハードルを上げて行ってしまう。結局それを維持できなくなった陽子は、徐々に気力を失っていった。
何の感情も作用しない現実だけが目の前に広がった時に、彼女は気が付いた。どうして、夫は何もしてくれないのだろう。どうして子供は言う事を聞いてくれないのだろう。私が必死に家事をしているのに、こんな大変な思いをしているのに、2人は楽な生活を送っている。
そう思うと、沸々を憎悪に似たものがこみ上げてきた。憎悪ほど憎しみ深いものではなかったし、そんな悪感情を抱いてはいけないと思いつつも、霧の様に湧き起ってくるそれは収まる事は無かった。結局陽子の視界は霧に包まれて、全く見えなくなってしまったのだ。
子供の事は変わらず愛していたが、なぜかその愛情は皮膚の外に出なくなっている。心の表面に膜が張ってしまったかのようで、内側に閉じ込められてしまったのだ。フィルターを通して子供を見ているというか、少し他人事というか、みのるの一挙手一投足は対岸で行われているように思えた。
血の繋がらない真一に対しては、完全に愛情を失っていた。ちょっとした言動さえにも嫌気がさし、立ち振る舞いだけでも死んでしまえと思うほどだ。
坊主3人揃えばという。1人がやってくれるのであれば、他の2人が見ているだけでも仕事は進む。1人じゃないから罪悪感もない。負担を負わなくても果実だけを得られるのであれば、それに越したことはない。完全に家庭内搾取が成立していたのだ。
真一は、陽子を搾取していると気が付いていなかったし、陽子も搾取されているとは気が付いていない。ただ、共働きなのに発生している家事の不平等さが許せなかった。
人間の脳は、不平等であることに最も憤りを感じるようにできているのであろうか。専業主婦になって夫を支える事も、仕事に復帰して養育費と自分のお小遣いを作る事も、もともとは自らが望んだ事だ。
家事を詰め込めるだけ詰め込んで、首がねじ切れてしまいそうになっているのも、夫にやれと言われたからではない。家庭という閉ざされた空間で、世間にというストッパーが無かったがために、止めどない家族への愛情が溢れる量を調整できなかったのだ。
無限に溢れる愛情に、体と精神が堪えられなくなった時、遂に心は死んでしまったかのようになってしまった。
(ああ、家族が終わる時って、こういう風になるのか)
陽子の脳裏に、幼かった時の記憶が甦る。物心ついた時には、夫婦の愛情は完全に冷めきっていた。
直接の会話を全くしない2人を見ながら、幼い陽子は違和感に気が付くことは出来なかったから、夫婦関係が破たんしていることに気が付いたのは、母が1人身になった後大分経ってからだ。
思い返すと、どんなに記憶を遡っても、仲睦まじい2人はいない。一番古い両親の記憶でさえ、赤の他人同士の様だ。
みのるは母親の変化に気が付くことは出来なかった。まだ幼い彼は、人を思いやる心は育っておらず、愛情はもっぱら受けるものであった。愛される事だけが愛情の全てであった。陽子の苦労を慮って、彼女の為に愛情を受けるのではなく与える、という能力はまだ備わってはいなかった。
まさか自分への愛情が途切れるとは露にも思わないみのるは、思うがままに愛情を求め、満足いく量に達しないと駄々をこねた。結果的に少量の愛情さえも失うとは知らずに。
虐待はされていなかったし、叩かれた事すら1度もなかった。母親は不意にいなくなって、未だに帰ってこない。いつの時点からか、離婚というものが存在すると知る事になって、両親は離婚したのだなと漠然と思うようになった。
母親との思い出に嫌なものは何1つなかったみのるにとって、毎朝納豆茶碗で納豆をかき混ぜるニコニコしたお母さんの姿が陽子の全てであり、母親への愛情はそこで止まっていた。
その日ばかりは、とても早起きだった。気分が良く、そのまま学校に行ってしまうほどだ。
この家には炊飯器が無い。ご飯はもっぱらレンチンするもので済ませる。レトルトご飯の味は、昔と比べるとだいぶ良くなったように思う。CMでは、手抜きに誘うような魅力的な演出がなされていたが、多くの主婦は家事力の低下を嫌がったのか、周りの目があるからなのか、とても浸透した様子はない。
最近は、銘柄米を使用したとか特別感が出てきている。共働き世帯の増加で需要が伸びたり、非常食としての役割も担うようになっているのか、量販店に行くと結構なスペースを棚に確保されていた。
炊いたり洗ったりする手間を考えると、父子家庭で労働時間が長い真一にとっては、効率が良く空腹を満たせる食品だ。
みのるはご飯がとても大好きだったから、レンチンに頼る家庭環境は願ったりかなったりだ。ただ、正確にはご飯自体が好きというよりも、納豆が好きであったから、おのずとご飯が好きになったと言った方が適切かもしれない。事実、納豆が冷蔵庫にないときは、ご飯を食べる事はなかったのだから。
棚を開けると、桜色の陶器茶碗がある。しかし、その茶碗の形は、読者が想像している物とはだいぶ異なるだろう。縁には1つの注ぎ口が付いていて、その注ぎ口を自分に向けると、左手側に大きな取っ手が付いている。
何か汁を注ぐための物にも見えなくはないが、そうではない。これは、地元茨城独特の食器で、納豆を上手にかき混ぜるための物だ。納豆1食分をかき混ぜるのにちょうど良い大きさで、勢い余って豆粒が零れ落ちないし、取っ手が付いているので、勢いよく回しても、滑って落とすことが無い。
色合いからして女性用だ。幼いとはいえ、みのるの物には見えないのだが、数少ない食器の中で、唯一のお気に入りだった。
実はこの食器、母親の忘れ物の1つなのだ。もともと真一の青の器とセットだったのだが、彼のは割れてしまい捨ててしまった。みのるは、母から大きくなったら自分のを買ってくれると約束していたが、それが果たされることなく離婚していなくなって今に至る。
みのるは母親を恨んでいなかったが、窓いっぱい照らす温かく白い日差しに包まれて、3人で朝ご飯を食べた記憶は、小さな胸の中から消えることなかった。この器を使うと、あの頃の気持ちが思い出されて、つかの間の幸せに浸ることが出来る。
母親の膝は、みのるの特等席だ。柔らかい胸に抱きしめてあげることで、陽子は子への愛情を表し伝えていた。
彼女はとても良くできた女性だ。真一も陽子もそれほど高給取りではなかった。しかし、結婚したら専業主婦になりたいと思っていたから、寿退社してしまった。子供を産むと、夫の稼ぎだけでは養育できないと考え、保育園に入園させると同時に、アルバイト社員として働き始める。
週5出勤であったものの、残業なしで4時に退社できたから、みのるのお迎えの時間も夕食の準備もこなすことが出来た。朝早く起きて軽く掃除をすると朝食を作り始めて、7時に2人を起こして洗濯機をまわし始める。
自分は調理中にご飯を済ませているから、2人が食べている間に洗い物をして、玄関に自分とみのるのカバンを用意し、散らかったものの整理整頓を始める。50分で完了するよう洗濯時間を設定してあるから、真一を見送りながら10分で干して、8時にみのると幼稚園へ向かう。これが陽子の日課だ。
みのるが生まれてからの数年、陽子は幸せだった。しかし、何か歯車は狂い始めている事に、本人は気が付いていない。
初めは、家事も仕事もこなしている自分に満足していた。前の職場では効率性を高めることを要求されてきたし、それで評価されてきたから、退職してからも、それが行動理念として作用している。
可能な限り手順よく作業をこなす。何か家事を行うときは、1WAY2JOBを意識して、幾つかのタスクを同時進行で行う。そうすれば、1つ1つを順々にこなすよりも速く進むし、終了までの時間も時間短くて済むはずだった。
しかし、実際はそうはならなかった。1つ1つの仕事を見れば、思いどうりに行っていたのだが、どうにも家事と仕事の両立はうまくいかない。楽になるはずが一向に楽にならず、却って苦しくなるばかりだった。
もともと几帳面な性格ではなかったが、専業主婦に憧れていた事と家事の性質上、脳内の報酬系が刺激されて、家事の向上を飽くことなく求める泥沼へと嵌っていたのだ。
時間が空けば開いただけ家事を入れてしまう。もっと作れるもっと綺麗に出来ると、自らどんどんとハードルを上げて行ってしまう。結局それを維持できなくなった陽子は、徐々に気力を失っていった。
何の感情も作用しない現実だけが目の前に広がった時に、彼女は気が付いた。どうして、夫は何もしてくれないのだろう。どうして子供は言う事を聞いてくれないのだろう。私が必死に家事をしているのに、こんな大変な思いをしているのに、2人は楽な生活を送っている。
そう思うと、沸々を憎悪に似たものがこみ上げてきた。憎悪ほど憎しみ深いものではなかったし、そんな悪感情を抱いてはいけないと思いつつも、霧の様に湧き起ってくるそれは収まる事は無かった。結局陽子の視界は霧に包まれて、全く見えなくなってしまったのだ。
子供の事は変わらず愛していたが、なぜかその愛情は皮膚の外に出なくなっている。心の表面に膜が張ってしまったかのようで、内側に閉じ込められてしまったのだ。フィルターを通して子供を見ているというか、少し他人事というか、みのるの一挙手一投足は対岸で行われているように思えた。
血の繋がらない真一に対しては、完全に愛情を失っていた。ちょっとした言動さえにも嫌気がさし、立ち振る舞いだけでも死んでしまえと思うほどだ。
坊主3人揃えばという。1人がやってくれるのであれば、他の2人が見ているだけでも仕事は進む。1人じゃないから罪悪感もない。負担を負わなくても果実だけを得られるのであれば、それに越したことはない。完全に家庭内搾取が成立していたのだ。
真一は、陽子を搾取していると気が付いていなかったし、陽子も搾取されているとは気が付いていない。ただ、共働きなのに発生している家事の不平等さが許せなかった。
人間の脳は、不平等であることに最も憤りを感じるようにできているのであろうか。専業主婦になって夫を支える事も、仕事に復帰して養育費と自分のお小遣いを作る事も、もともとは自らが望んだ事だ。
家事を詰め込めるだけ詰め込んで、首がねじ切れてしまいそうになっているのも、夫にやれと言われたからではない。家庭という閉ざされた空間で、世間にというストッパーが無かったがために、止めどない家族への愛情が溢れる量を調整できなかったのだ。
無限に溢れる愛情に、体と精神が堪えられなくなった時、遂に心は死んでしまったかのようになってしまった。
(ああ、家族が終わる時って、こういう風になるのか)
陽子の脳裏に、幼かった時の記憶が甦る。物心ついた時には、夫婦の愛情は完全に冷めきっていた。
直接の会話を全くしない2人を見ながら、幼い陽子は違和感に気が付くことは出来なかったから、夫婦関係が破たんしていることに気が付いたのは、母が1人身になった後大分経ってからだ。
思い返すと、どんなに記憶を遡っても、仲睦まじい2人はいない。一番古い両親の記憶でさえ、赤の他人同士の様だ。
みのるは母親の変化に気が付くことは出来なかった。まだ幼い彼は、人を思いやる心は育っておらず、愛情はもっぱら受けるものであった。愛される事だけが愛情の全てであった。陽子の苦労を慮って、彼女の為に愛情を受けるのではなく与える、という能力はまだ備わってはいなかった。
まさか自分への愛情が途切れるとは露にも思わないみのるは、思うがままに愛情を求め、満足いく量に達しないと駄々をこねた。結果的に少量の愛情さえも失うとは知らずに。
虐待はされていなかったし、叩かれた事すら1度もなかった。母親は不意にいなくなって、未だに帰ってこない。いつの時点からか、離婚というものが存在すると知る事になって、両親は離婚したのだなと漠然と思うようになった。
母親との思い出に嫌なものは何1つなかったみのるにとって、毎朝納豆茶碗で納豆をかき混ぜるニコニコしたお母さんの姿が陽子の全てであり、母親への愛情はそこで止まっていた。
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