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大魔王ルーゲイル
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目の前には、静かにたたずむルーゲイルの姿があった。白光りしていた体は、黒紫に変色している。上半身は人型、下半身は馬型の半人半獣の大魔王が誕生したのだ。
「ようやく現れたな、ミリィ・グランディア」
勢いよく蹄を打ち鳴らすルーゲイルが言った。
ミリィは、虚勢を張る。
「牝馬の爪って言うくらいだから、あんたの下半身メスなんでしょ?・・・少しはお淑やにしたほうが良いんじゃないかしら?」
ミリィは強がりを見せるが、正直勝てる見込みがない。幸いだったのは、連合軍の包囲がまだ瓦解していないという事だ。各師団によって魔力を封じ込めるための強力な結界が張られていて、ルーゲイルは力の全てを行使できない。
ウォーロックがミリィに叫んだ。
「時間はかけられないぞ。精霊の話では、人間軍の方が押され始めているらしいからな」
「わかったわ。初めっから全力で行くわよ」
ルーゲイルの後ろには、巨大な禍々しい地獄の門が聳え立っている。もしあれが開く様なことがあれば、天空の丘を介さずとも、高位悪魔が人間界に降り立つ事ができてしまう。
開門だけは、何としても阻止しなければならない。
フィーリアン軍と共に大魔王ルーゲイルを見上げていたミリィの合図で、4人は一斉に突撃を開始した。
「ミリィさん!!」とサラが呼ぶ。「結界が完成するみたいです!! これで、ルーゲイルの力がだいぶ削がれますよ!!」
孤軍奮闘したオーストウェル軍の強引な前進のおかげで、ルーゲイルを包囲しきった連合軍の術士たちは、銀の武具を装備するフィーリアン騎士を利用して、巨大な封印の結界を発動させた。
「希望が見えてきたわ! 一気に力を削いでいくわよ!!」
ミリィたちを阻む敵は、もう眼前にはいない。目の前には、ルーゲイルただ1体だけがいた。サラが召喚した大地の王の眷属・ゴーレムキングが目の前に立ちはだかる魔獣を全て叩き潰したからだ。
ルーゲイルの一撃で、バラバラに砕け散るゴーレムキングの破片を交わしながら、ミリィ、ラング、ウォーロックの3人が特攻をかける。
ミリィが唱えた絶対物理防護・フィジカルシールドに守られた騎士たちが、大岩が降り注ぐ中、彼女に続く。
騎士たちに護衛されるサラは、強力な精霊呪文の詠唱を始めた。その呪文を阻止しようと迫りくる悪魔たちを、火の王の眷属・クワッサリーが屠っていく。
『オーラ!!』
ハイナイトが放つソードウェーブにルーゲイルが怯んだ隙をついて、ミリィが使える一番の大技がさく裂する。
ミリィを前足で蹴り上げて、ラングのシルバーグレードを蹄で弾いたルーゲイルは、バヒュメトウスの放つ魔力をものともせず、空中を駆け上がった。
「ようやく現れたな、ミリィ・グランディア」
勢いよく蹄を打ち鳴らすルーゲイルが言った。
ミリィは、虚勢を張る。
「牝馬の爪って言うくらいだから、あんたの下半身メスなんでしょ?・・・少しはお淑やにしたほうが良いんじゃないかしら?」
ミリィは強がりを見せるが、正直勝てる見込みがない。幸いだったのは、連合軍の包囲がまだ瓦解していないという事だ。各師団によって魔力を封じ込めるための強力な結界が張られていて、ルーゲイルは力の全てを行使できない。
ウォーロックがミリィに叫んだ。
「時間はかけられないぞ。精霊の話では、人間軍の方が押され始めているらしいからな」
「わかったわ。初めっから全力で行くわよ」
ルーゲイルの後ろには、巨大な禍々しい地獄の門が聳え立っている。もしあれが開く様なことがあれば、天空の丘を介さずとも、高位悪魔が人間界に降り立つ事ができてしまう。
開門だけは、何としても阻止しなければならない。
フィーリアン軍と共に大魔王ルーゲイルを見上げていたミリィの合図で、4人は一斉に突撃を開始した。
「ミリィさん!!」とサラが呼ぶ。「結界が完成するみたいです!! これで、ルーゲイルの力がだいぶ削がれますよ!!」
孤軍奮闘したオーストウェル軍の強引な前進のおかげで、ルーゲイルを包囲しきった連合軍の術士たちは、銀の武具を装備するフィーリアン騎士を利用して、巨大な封印の結界を発動させた。
「希望が見えてきたわ! 一気に力を削いでいくわよ!!」
ミリィたちを阻む敵は、もう眼前にはいない。目の前には、ルーゲイルただ1体だけがいた。サラが召喚した大地の王の眷属・ゴーレムキングが目の前に立ちはだかる魔獣を全て叩き潰したからだ。
ルーゲイルの一撃で、バラバラに砕け散るゴーレムキングの破片を交わしながら、ミリィ、ラング、ウォーロックの3人が特攻をかける。
ミリィが唱えた絶対物理防護・フィジカルシールドに守られた騎士たちが、大岩が降り注ぐ中、彼女に続く。
騎士たちに護衛されるサラは、強力な精霊呪文の詠唱を始めた。その呪文を阻止しようと迫りくる悪魔たちを、火の王の眷属・クワッサリーが屠っていく。
『オーラ!!』
ハイナイトが放つソードウェーブにルーゲイルが怯んだ隙をついて、ミリィが使える一番の大技がさく裂する。
ミリィを前足で蹴り上げて、ラングのシルバーグレードを蹄で弾いたルーゲイルは、バヒュメトウスの放つ魔力をものともせず、空中を駆け上がった。
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