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悪魔教
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それから殺人鬼と会うことなく3日が過ぎた。2日目には宿を変え、殺人鬼のことを調べつつ、天人に関しても調べていたが、何の手がかりも見つからない。次の行動への一歩が見つからず、無駄な時間が過ぎていった。
ダレているミリィのもとに、情報収集に行っていたラングが帰ってきた。
「どうだった?」
「あぁ、ここから東に行ったところにある入港を管理する砦と連絡が取れなくなっているから、行ってきてくれだと・・・、どうするミリィ殿」
「知らない仲じゃないんだから、殿はやめてよ・・・、殿は」
「分かった・・・、ミ・・リィ・・・」
「赤くなるのもやめなさい」
ラングは、結構シャイなようだ。
「――で、何で俺たちなんだ?」
面倒くさそうにウォーロックが尋ねる。
「俺が騎士だから・・・」
身分を隠そうにも、ラングの格好は一目瞭然でフィーリアン軍の騎士だと分かる。
あきらかにフィーリアン製だと判るものだから、みんなでどうしようかと考えたが、装備している純銀の武具には魔力を封じる力があるし、高価なものだから捨てるわけには行かない。
フィーリアンの騎士だと判らないようにカモウラージュしてはいたが、それでもどう見てもフィーリアン騎士にしか見えなかった。
あまり軍備のないムーブルの町にとって、流れ者の騎士や傭兵でも重宝される。だから、信用の置ける身分のあるラングには、すぐにお呼びがかかった。
フィーリアンの名を汚すわけにも行かず、4人は管理所に行くことにした。
身支度をして外に出ると、ウォーロックが、怪しい男がこちらを見ていることに気がついて、立ち止まる。ウォーロックと目の合った男は、逃げるようにして去っていった。
不審に思ったミリィたちは、とっさに男を追いかけたが、町を出たところで見失ってしまった。
男のことは忘れて砦に向かおうと進んでいくと、正面から黒ずくめの男たちが歩いてくる。あきらかに戦意のある様子で、ミリィたちは警戒しながら進んだ。
10メートルほど離れたところで男たちは散開し、ミリィたちを囲んだ。
『ダークガンレイ!!』
1人の唱えた召喚魔法に応じて魔族が召喚され、矢のように襲ってきた。
「悪魔教!?」
ミリィが発したその名のとおり、崇拝する悪魔の加護を受けているため、普通の魔導士が唱える魔術よりも、強力な魔法を唱えてくる場合もある。
グラノズンなんかよりも全然弱い低級魔族ばかりであるが、いくら倒してもどんどん出てくる。4人は、魔導士たちに近づくことができない。魔族をいくら倒しても術者へのダメージはないし、ミリィたちは倒しあぐねていた。
「面倒くせぇ! バフュメトウス、殺れ!!」
魔力の波が周囲の魔族を一掃し、その後召喚された魔族たちは、魔神であるバホメットに牙を向けることができず、魔界へと逃げていった。
剣身から放出される大量の魔力を目の当たりにして、悪魔教の信者たちが驚愕して叫ぶ。
「バカな!? メチャクチャすげーぞ! あの剣!!」
「まさか、伝説に聞くバホメット様が封じ込められた剣じゃ」
「どうする? 魔を崇拝する我々が、魔神様に逆らうわけには行かないぞ」
「我々が崇拝する、魔王ズメホス様じゃなければ、かんけーねー」
「んじゃー、殺す!!」
ミリィが会話に入って言った。
「バカなの? ねぇ、あんたたちバカなの?」
ミリィにズメホスについての知識は無かったが、バホメットは魔神(堕ちた神)だから、魔王や大魔王クラスだろう。とてもじゃないが、地方に埋もれた悪魔が敵う相手ではない。当然、ここの悪魔教が崇拝する悪魔より格上のはずだ。戦うのはよしたほうが良い。
ダレているミリィのもとに、情報収集に行っていたラングが帰ってきた。
「どうだった?」
「あぁ、ここから東に行ったところにある入港を管理する砦と連絡が取れなくなっているから、行ってきてくれだと・・・、どうするミリィ殿」
「知らない仲じゃないんだから、殿はやめてよ・・・、殿は」
「分かった・・・、ミ・・リィ・・・」
「赤くなるのもやめなさい」
ラングは、結構シャイなようだ。
「――で、何で俺たちなんだ?」
面倒くさそうにウォーロックが尋ねる。
「俺が騎士だから・・・」
身分を隠そうにも、ラングの格好は一目瞭然でフィーリアン軍の騎士だと分かる。
あきらかにフィーリアン製だと判るものだから、みんなでどうしようかと考えたが、装備している純銀の武具には魔力を封じる力があるし、高価なものだから捨てるわけには行かない。
フィーリアンの騎士だと判らないようにカモウラージュしてはいたが、それでもどう見てもフィーリアン騎士にしか見えなかった。
あまり軍備のないムーブルの町にとって、流れ者の騎士や傭兵でも重宝される。だから、信用の置ける身分のあるラングには、すぐにお呼びがかかった。
フィーリアンの名を汚すわけにも行かず、4人は管理所に行くことにした。
身支度をして外に出ると、ウォーロックが、怪しい男がこちらを見ていることに気がついて、立ち止まる。ウォーロックと目の合った男は、逃げるようにして去っていった。
不審に思ったミリィたちは、とっさに男を追いかけたが、町を出たところで見失ってしまった。
男のことは忘れて砦に向かおうと進んでいくと、正面から黒ずくめの男たちが歩いてくる。あきらかに戦意のある様子で、ミリィたちは警戒しながら進んだ。
10メートルほど離れたところで男たちは散開し、ミリィたちを囲んだ。
『ダークガンレイ!!』
1人の唱えた召喚魔法に応じて魔族が召喚され、矢のように襲ってきた。
「悪魔教!?」
ミリィが発したその名のとおり、崇拝する悪魔の加護を受けているため、普通の魔導士が唱える魔術よりも、強力な魔法を唱えてくる場合もある。
グラノズンなんかよりも全然弱い低級魔族ばかりであるが、いくら倒してもどんどん出てくる。4人は、魔導士たちに近づくことができない。魔族をいくら倒しても術者へのダメージはないし、ミリィたちは倒しあぐねていた。
「面倒くせぇ! バフュメトウス、殺れ!!」
魔力の波が周囲の魔族を一掃し、その後召喚された魔族たちは、魔神であるバホメットに牙を向けることができず、魔界へと逃げていった。
剣身から放出される大量の魔力を目の当たりにして、悪魔教の信者たちが驚愕して叫ぶ。
「バカな!? メチャクチャすげーぞ! あの剣!!」
「まさか、伝説に聞くバホメット様が封じ込められた剣じゃ」
「どうする? 魔を崇拝する我々が、魔神様に逆らうわけには行かないぞ」
「我々が崇拝する、魔王ズメホス様じゃなければ、かんけーねー」
「んじゃー、殺す!!」
ミリィが会話に入って言った。
「バカなの? ねぇ、あんたたちバカなの?」
ミリィにズメホスについての知識は無かったが、バホメットは魔神(堕ちた神)だから、魔王や大魔王クラスだろう。とてもじゃないが、地方に埋もれた悪魔が敵う相手ではない。当然、ここの悪魔教が崇拝する悪魔より格上のはずだ。戦うのはよしたほうが良い。
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