49 / 107
悪魔
4
しおりを挟む
先に目を覚ましたのはミリィのほうだった。
底が砂だったため、死なずにすんだみたいだ。少し痛めた足を庇いながら、真っ暗な部屋の中、サラを探すため歩き出した。
「むぎゅ」
「・・・? 何か聞こえたかな?」
しゃがみこんで足元を探ってみたが、砂しか手に触れるものはない。ミリィはまた歩き出した。
「むぎゅ、ぎゃ」
「・・・! まさかっ!!」
急いで砂をかきわけてみると、案の定、目を回したサラが出てきた。
「だっ! 大丈夫!? サラ~!!」
「ら・・・らひ・・ひょ~ぶ~・・・」
目を覚まして(?)くれたため火の精霊への干渉が復活し、辺りが明るくなった。
火の明かりに少しほっとしたミリィが、ふと目線を下げるとサラが何か持っている。ミリィの問いに、サラが手を上げると、白骨化した腕が出てきた。
「ミミミミ、ミリィさん!!」
「な、何?」
慌てふためくサラの声にびっくりしながらも、平常心を装った。
「わたしたちも、こうなっちゃうんですか~?」
「この部屋を作ったときに隠し通路も造っておくのは、常識(小説の中だと・・・)――かもしれないでしょ」
「かもしれないじゃ困りますぅ~!!」
照らし出された部屋の中を見渡すと、砂の中から白と青の布が覗いていた。
「・・・? これ、ラーミお婆が大事にしまっている昔の服に似てますよ!! もしかしたら、サイキックナイトなんじゃ・・・」
明らかに、本で見た昔のサイキックナイトのローブだ。ミリィの服と同じ様な背中がの部分が長い、軍使用のブレザーコートも出てきたことから、エスプスのものであることが分かる。
「ミリィさんじゃ、ここから出れないー!!」
サイキックナイトでも出れないのに、エスパークラス・・・、といっても、国王から位も頂いていないミリィに、ここから出る術はないと、大きな声で泣きわめくサラをなだめながら、ミリィは出口を探す。だが周りには壁しか見えない。罠に引っかかって落ちたのだから、出口があるはずもないだろう。
壁の近くを調べるが、何か仕掛けがある様子はない。一周しそうになった瞬間、ズボッと、サラの体が、半分くらい砂にはまった。
「み、ミリィさ~ん、助けて~!!」
「・・・!!」
ミリィは、サラに手を伸ばして助けると思いきや、思いっきり砂の中に押し込んだ。
「なっ!? 何するんですか~!!」
「我慢なさい!!」
「こっ! 殺される~!!」
ザザザザザー
「・・・サラー、生きてるー?」
「ミリィさーん、ここに道がありますよー」
ミリィは、砂をかき分けながら、下りてきた。
「わたしってすごいでしょ?」
「ミリィさん、すごいです!!」
偶然と知ってか知らずか、サラはミリィを褒めちぎった。
落とし穴の底が砂で埋まっていたのは、たぶん、ここを訪れたサイキックナイトが落ちたときに実体化させたものだろう。ミリィたちと同じようにグラノズンと戦い、その強さに逃げ出したのだろう、とミリィは予想した。上の部屋で見たローブは、昔といってもそれほど昔のものではない。少なくとも、ここが廃墟となった後だろう。
何はともあれ、床が抜けていたおかげで2人は白骨死体にならずにすんだ。
底が砂だったため、死なずにすんだみたいだ。少し痛めた足を庇いながら、真っ暗な部屋の中、サラを探すため歩き出した。
「むぎゅ」
「・・・? 何か聞こえたかな?」
しゃがみこんで足元を探ってみたが、砂しか手に触れるものはない。ミリィはまた歩き出した。
「むぎゅ、ぎゃ」
「・・・! まさかっ!!」
急いで砂をかきわけてみると、案の定、目を回したサラが出てきた。
「だっ! 大丈夫!? サラ~!!」
「ら・・・らひ・・ひょ~ぶ~・・・」
目を覚まして(?)くれたため火の精霊への干渉が復活し、辺りが明るくなった。
火の明かりに少しほっとしたミリィが、ふと目線を下げるとサラが何か持っている。ミリィの問いに、サラが手を上げると、白骨化した腕が出てきた。
「ミミミミ、ミリィさん!!」
「な、何?」
慌てふためくサラの声にびっくりしながらも、平常心を装った。
「わたしたちも、こうなっちゃうんですか~?」
「この部屋を作ったときに隠し通路も造っておくのは、常識(小説の中だと・・・)――かもしれないでしょ」
「かもしれないじゃ困りますぅ~!!」
照らし出された部屋の中を見渡すと、砂の中から白と青の布が覗いていた。
「・・・? これ、ラーミお婆が大事にしまっている昔の服に似てますよ!! もしかしたら、サイキックナイトなんじゃ・・・」
明らかに、本で見た昔のサイキックナイトのローブだ。ミリィの服と同じ様な背中がの部分が長い、軍使用のブレザーコートも出てきたことから、エスプスのものであることが分かる。
「ミリィさんじゃ、ここから出れないー!!」
サイキックナイトでも出れないのに、エスパークラス・・・、といっても、国王から位も頂いていないミリィに、ここから出る術はないと、大きな声で泣きわめくサラをなだめながら、ミリィは出口を探す。だが周りには壁しか見えない。罠に引っかかって落ちたのだから、出口があるはずもないだろう。
壁の近くを調べるが、何か仕掛けがある様子はない。一周しそうになった瞬間、ズボッと、サラの体が、半分くらい砂にはまった。
「み、ミリィさ~ん、助けて~!!」
「・・・!!」
ミリィは、サラに手を伸ばして助けると思いきや、思いっきり砂の中に押し込んだ。
「なっ!? 何するんですか~!!」
「我慢なさい!!」
「こっ! 殺される~!!」
ザザザザザー
「・・・サラー、生きてるー?」
「ミリィさーん、ここに道がありますよー」
ミリィは、砂をかき分けながら、下りてきた。
「わたしってすごいでしょ?」
「ミリィさん、すごいです!!」
偶然と知ってか知らずか、サラはミリィを褒めちぎった。
落とし穴の底が砂で埋まっていたのは、たぶん、ここを訪れたサイキックナイトが落ちたときに実体化させたものだろう。ミリィたちと同じようにグラノズンと戦い、その強さに逃げ出したのだろう、とミリィは予想した。上の部屋で見たローブは、昔といってもそれほど昔のものではない。少なくとも、ここが廃墟となった後だろう。
何はともあれ、床が抜けていたおかげで2人は白骨死体にならずにすんだ。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる