エスパー&ソーサラー

緒方宗谷

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悪魔

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 真っ暗な部屋の中央に誰かがいる。
 「ウエルカム マイ・・・」
 「古代語だけで喋んないでよ! わたしたちには、てんで分かんないわ!!」
 何者かが「これは失礼、美しいお嬢さん!!」と右手を胸に添えてお辞儀をすると、「きゃっ、誉められちゃった」と唇に両手の指をあてがうサラ。
 バカッ
 ミリィは、軽く頭を殴りつけた。
 「いったぁーい、今後一切、古代語なんかで喋らないでくださいね!? そうでないとわたし、眠くなってきますぅ」
 フラフラ・・・
 「ふっ、そう言ってもらわないと、私も困るんだよ。魔法以外の会話になる言葉は、ウエルカムとマイホームしか言えないからね」
 「・・・で、どういう意味なの?(恥ずかしいやつ・・・)」
 ミリィは、頭をポリポリかきながら訊いた。
 「ようこそ私の家に――だ」
 「それなら、現代語でもよかったんじゃないですか?」とサラ。
 ムカッ
 「これでも、必死で勉強したんだぞ~!!」
 執務室の隅に並ぶロウソクに火が灯り、暗がりの中でよく見えなかった姿がはっきりと見えた。
 全身真っ黒で、頭の倍ほどの角が2本生えている。甲殻類のような体つきで、コウモリみたいな翼を持ち、手のひらは大きく、その指ほどもある鋭い爪を蠢かせている。そして、細長く大きな目を光らしていた。 
 「ひぇ~!! この人(?)、魔族ですよ~!!」
 突然、サラがアワアワしだす。
 「ザコどもをくくった言葉で呼ばないでほしいな・・・、悪魔グラノズンと呼べ」
 「悪いんだけど、アンデット率いてるようじゃ、あんまり高位じゃないんじゃないの!? やっぱり、魔族ってくくるのが妥当でしょ!?」
 そう言い終える間もなく、ソニックブームが打ち放たれる。
 「その達者な口が、閉じないことを望みたいな」
 ガキーン
 「くっ! さすがね・・・、恐怖カニ男!!」
 「カニ男じゃなーい!!」
 「それなら――」と続けるミリィの言葉を遮って、グラノズンは「虫でもないぞ」と言った。
 放出される魔力はダークミスト(魔法)に返還され、すごい速さで地を這って二人に襲いかかる。天使や悪魔は、呪文を唱えずとも力を扱えるのだ。・・・大抵かっこつけて唱えるけど・・・。
 『精霊よ我が盾となれ!!』
 「そんなもので!!」
 鋭い爪を振り下ろすと、離れた場所からの攻撃にもかかわらず結界が切り裂けた。
 2人は、グラノズンの右手から何発も発射されたフレアチェイスから逃げ惑いながら、火の玉を撃破していく。余裕のあるミリィは、グラノズンめがけてサイコブレットを発射するが、その身を包む結界に全て弾かれてしまう。
 逃げて逃げて逃げまくる2人を観賞しながら、グラビトン(重力魔法)を唱えた上に、霊力を奪うメフィストフェレスをも唱え、2人の魂を死に向かわせる。2人の体に霊力が溜まるの妨げようというのだ。
 グラビトンで発生した魔術的高重力に押しつぶされないよう結界を張るが、霊力が溜まりにくくなっている2人は、とうとう力尽きて動けなくなってしまった。
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