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二年生の一学期
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三人が南たちのそばに戻って行くと、いがぐり頭から指示が来る。
「おなべ、焦げないように見ていて」
「分かった」
奈緒がそう答える横で、杏奈が言った。
「薪でご飯炊くの久しぶり。小学校の林間学校以来かな」
「大変だったんだから、火をつけるの」南が鍋に水を注ぎながら怒る。
「嘘つけ」春樹がまくっていた長袖を戻しながら、「つけたの俺じゃんか」と眉間に皺を処せた。
「なによ、全然つかなったくせに。煙ばっかですぐ消えちゃってさ」
「ひどいんだぜ、南のやつ」春樹が務に愚痴をこぼした。「それ見てげらげら笑いながら、俺の頭を煙の中に押さえ込んでくんの。お前らがさぼっている間に、俺は悪魔の生贄だぞ」
謝る務と杏奈が、二人の代わりに後かたづけをさせられているすぐ横で、一人で煮込み中のおなべの見張り番を任せられていた奈緒は、ぐつぐつと破笑するカレーのえくぼを見ながら、頭を振り子のように横へ揺らし始める。
「たのしいな、たのしいな♬」
しばらくそう歌っていたものの、「ふう、疲れた」と言ってお玉を放棄し、キャンピングチェアーに腰を下ろす。
それを見逃さなかった南がやってきた。
「だからもう、集中力ないんだから。ガスと違って薪の火は一定じゃないから、とろみのあるカレーは下手すると焦げちゃうんだよ」
いつの間にか赤い半そで姿になっていた彼女は、地肌に感じる強烈な炎の熱波に驚きながらもそう言って、奈緒の代わりにお玉を取ってかき混ぜ続ける。
「奈緒ー、前のテストの時もそうだったよねー。奈緒んちで勉強はじめて、ものの三分で、さかな、さかな、おさかなさん、なんて歌いだして、シャーペン転がして遊んでたもんね」
「お魚の歌。楽しかったね」奈緒が笑う。「おさかなさん、おさかなさん、さかな、さかな、かわいいかわいい、おさかなさん♬」
杏奈がお皿を並べながら、ふと気がついて顔を上げ、これ見よがしな笑みを送ってきた。
「それでも小沢さんより点数いいんだから不思議よね」
「そうなんだよ、謎だよね」
南が腕を組んで難しそうな顔をすると、みんなゲラゲラと大笑いした。
「おなべ、焦げないように見ていて」
「分かった」
奈緒がそう答える横で、杏奈が言った。
「薪でご飯炊くの久しぶり。小学校の林間学校以来かな」
「大変だったんだから、火をつけるの」南が鍋に水を注ぎながら怒る。
「嘘つけ」春樹がまくっていた長袖を戻しながら、「つけたの俺じゃんか」と眉間に皺を処せた。
「なによ、全然つかなったくせに。煙ばっかですぐ消えちゃってさ」
「ひどいんだぜ、南のやつ」春樹が務に愚痴をこぼした。「それ見てげらげら笑いながら、俺の頭を煙の中に押さえ込んでくんの。お前らがさぼっている間に、俺は悪魔の生贄だぞ」
謝る務と杏奈が、二人の代わりに後かたづけをさせられているすぐ横で、一人で煮込み中のおなべの見張り番を任せられていた奈緒は、ぐつぐつと破笑するカレーのえくぼを見ながら、頭を振り子のように横へ揺らし始める。
「たのしいな、たのしいな♬」
しばらくそう歌っていたものの、「ふう、疲れた」と言ってお玉を放棄し、キャンピングチェアーに腰を下ろす。
それを見逃さなかった南がやってきた。
「だからもう、集中力ないんだから。ガスと違って薪の火は一定じゃないから、とろみのあるカレーは下手すると焦げちゃうんだよ」
いつの間にか赤い半そで姿になっていた彼女は、地肌に感じる強烈な炎の熱波に驚きながらもそう言って、奈緒の代わりにお玉を取ってかき混ぜ続ける。
「奈緒ー、前のテストの時もそうだったよねー。奈緒んちで勉強はじめて、ものの三分で、さかな、さかな、おさかなさん、なんて歌いだして、シャーペン転がして遊んでたもんね」
「お魚の歌。楽しかったね」奈緒が笑う。「おさかなさん、おさかなさん、さかな、さかな、かわいいかわいい、おさかなさん♬」
杏奈がお皿を並べながら、ふと気がついて顔を上げ、これ見よがしな笑みを送ってきた。
「それでも小沢さんより点数いいんだから不思議よね」
「そうなんだよ、謎だよね」
南が腕を組んで難しそうな顔をすると、みんなゲラゲラと大笑いした。
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