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二年生の一学期
第百八話 久しぶりの南
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美術部のコーナーに九人の子供たちが集まって、はがきやなにかに思い思いの絵を楽しげに描いている。
「奈緒、見に来たよ」
かけられたその声に、子供と一緒になってお絵描きをしていた奈緒が顔を上げると、右手をかざした上下体操服姿の南がいた。
「なにこれ」
「色々で、色々したの。分かった?」
隣の心愛が説明する。
「捨てるはずの牛乳パックで作ったの。小学生の時学校で作らなかった? ああいうやつ。これが絵はがきで、これは成瀬さんの提案で作った花瓶。あとはオブジェ」
ケースの中にたくさんのはがきが収められていて、小さな紙製の花瓶が何十本も並んでいる。どれも手作りだ。
南がまじまじと見やる。
「なにこれ?」
「モモタ」奈緒は、バタフライをする茶色いなめくじのお化けにしか見えないそれを、そう呼んだ。
心愛が説明を続ける。
「ペットボトルを芯にして、周りに溶かした牛乳パックをほぐしたのを粘土みたいに張り付けて色を塗ったの」
続けて色々と、エコ芸術について説明する彼女の話を聞き終わって、カウンターとして使われている商品が並んだテーブルの奥を見やった南が言った。
「大盛況だね。二台あるテーブルがいっぱいじゃない」
「入れ替わりだから、もっと来たよ」奈緒が教える。
一年の彩音とこよみは、突然の南の来訪に虚を突かれて少し怯えた様子だった。その雰囲気に中てられたのか、心愛の声色が弱々しくなって、二人に気を使い始めたように、ちらりと一年を見る。
彷徨する心愛の視線が景色を移ろうのを見てから、あたかも南がいないかのように振る舞う一年の二人が見つめるそれぞれの机の上を見やった奈緒が、言葉を探し始めた親友の手を取って言った。
「ちょっと休憩がてら、見に行こうよ、“フェスタバル”。案内するよ」
「あ、それがいいね。順番にお昼も回さないといけないから」と心愛が賛成して手のひらを叩くと、丘の上を見上げた。
「奈緒、見に来たよ」
かけられたその声に、子供と一緒になってお絵描きをしていた奈緒が顔を上げると、右手をかざした上下体操服姿の南がいた。
「なにこれ」
「色々で、色々したの。分かった?」
隣の心愛が説明する。
「捨てるはずの牛乳パックで作ったの。小学生の時学校で作らなかった? ああいうやつ。これが絵はがきで、これは成瀬さんの提案で作った花瓶。あとはオブジェ」
ケースの中にたくさんのはがきが収められていて、小さな紙製の花瓶が何十本も並んでいる。どれも手作りだ。
南がまじまじと見やる。
「なにこれ?」
「モモタ」奈緒は、バタフライをする茶色いなめくじのお化けにしか見えないそれを、そう呼んだ。
心愛が説明を続ける。
「ペットボトルを芯にして、周りに溶かした牛乳パックをほぐしたのを粘土みたいに張り付けて色を塗ったの」
続けて色々と、エコ芸術について説明する彼女の話を聞き終わって、カウンターとして使われている商品が並んだテーブルの奥を見やった南が言った。
「大盛況だね。二台あるテーブルがいっぱいじゃない」
「入れ替わりだから、もっと来たよ」奈緒が教える。
一年の彩音とこよみは、突然の南の来訪に虚を突かれて少し怯えた様子だった。その雰囲気に中てられたのか、心愛の声色が弱々しくなって、二人に気を使い始めたように、ちらりと一年を見る。
彷徨する心愛の視線が景色を移ろうのを見てから、あたかも南がいないかのように振る舞う一年の二人が見つめるそれぞれの机の上を見やった奈緒が、言葉を探し始めた親友の手を取って言った。
「ちょっと休憩がてら、見に行こうよ、“フェスタバル”。案内するよ」
「あ、それがいいね。順番にお昼も回さないといけないから」と心愛が賛成して手のひらを叩くと、丘の上を見上げた。
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