317 / 490
二年生の一学期
🖼️
しおりを挟む
今日は金曜日だったので、お昼休みが終わるとすぐにクラブ活動が始まる。奈緒はトイレを済ませてから二人と別れ、引き続き入った体操クラブの活動に参加するために階段へと向かった。
「なおちん」
踊場へと足を下ろした時に声をかけられて振り返ると、映画鑑賞クラブに行ったはずの瑠衣が立っている。
「どうしたの?」と奈緒が訊くと、彼女は言った。
「うん、大したことじゃないのぉ。お昼のおしゃべりの続きしようかなって思ってぇ。気になっていたけど、本人が近くにいて訊けなかったこと。小沢さんって彼氏いるのかなぁ?」
きょとんとした奈緒を顧みずに、瑠衣が一緒に階段を下りながら続けて話してくる。
「気にならない? 高木君かなぁ? 土屋君かなぁ? それとも他校の暴走族かなぁ?」
「暴走族には入っていないと思うよ、きっと。分かんないけど」奈緒は訝しげに答える。
「どういう人と付き合うのか気になるよねぇ、中学には不良いなかったしぃ、わたしとは違うタイプの人だからぁ」
根掘り葉掘り訊いてくる瑠衣に、奈緒は真剣に願いを述べる。
「瑠衣ちゃんは、陽菜ちゃんみたく嫌わないから、お願い。南ちゃんとも お昼 食べよう」
「それはどうかなぁ、わたしたちとは種類が違うから、小沢さんも楽しめないかもしれないよぉ。どっちかっていったらぁ、一人のほうが気が楽だって思っているかもぉ」
「そんなぁ」
いやそうな顔をする奈緒をフォローするように、瑠衣が嫋やかに微笑む。
「別になおちんのことがきらいなわけじゃなくてぇ、こういうグループには興味がないよ。それにぃ、ひなちっちが小沢さんのこといやがっているでしょ、それなのに無理に入れたらひなちっちが可哀想だよぉ。だから、放課後とか休みの日に遊べばいいんじゃなーい?」
「でも、“えこライブ”のお集まりがある。“えこライフ”、違うかな?」
「? なんだか分からないけど、美術部のでしょ。それが終われば、いつも通りだよ」
そう言った瑠衣は、はたと気がついて辺りを見渡す。
「そうだ、クラブいかなきゃ」
奈緒が何かを言いかけていたのもお構いなしに、彼女は女の子走りで去って行った。
🖌️黒岩いろは✏️ と後輩たち
作画:緒方宗谷
「なおちん」
踊場へと足を下ろした時に声をかけられて振り返ると、映画鑑賞クラブに行ったはずの瑠衣が立っている。
「どうしたの?」と奈緒が訊くと、彼女は言った。
「うん、大したことじゃないのぉ。お昼のおしゃべりの続きしようかなって思ってぇ。気になっていたけど、本人が近くにいて訊けなかったこと。小沢さんって彼氏いるのかなぁ?」
きょとんとした奈緒を顧みずに、瑠衣が一緒に階段を下りながら続けて話してくる。
「気にならない? 高木君かなぁ? 土屋君かなぁ? それとも他校の暴走族かなぁ?」
「暴走族には入っていないと思うよ、きっと。分かんないけど」奈緒は訝しげに答える。
「どういう人と付き合うのか気になるよねぇ、中学には不良いなかったしぃ、わたしとは違うタイプの人だからぁ」
根掘り葉掘り訊いてくる瑠衣に、奈緒は真剣に願いを述べる。
「瑠衣ちゃんは、陽菜ちゃんみたく嫌わないから、お願い。南ちゃんとも お昼 食べよう」
「それはどうかなぁ、わたしたちとは種類が違うから、小沢さんも楽しめないかもしれないよぉ。どっちかっていったらぁ、一人のほうが気が楽だって思っているかもぉ」
「そんなぁ」
いやそうな顔をする奈緒をフォローするように、瑠衣が嫋やかに微笑む。
「別になおちんのことがきらいなわけじゃなくてぇ、こういうグループには興味がないよ。それにぃ、ひなちっちが小沢さんのこといやがっているでしょ、それなのに無理に入れたらひなちっちが可哀想だよぉ。だから、放課後とか休みの日に遊べばいいんじゃなーい?」
「でも、“えこライブ”のお集まりがある。“えこライフ”、違うかな?」
「? なんだか分からないけど、美術部のでしょ。それが終われば、いつも通りだよ」
そう言った瑠衣は、はたと気がついて辺りを見渡す。
「そうだ、クラブいかなきゃ」
奈緒が何かを言いかけていたのもお構いなしに、彼女は女の子走りで去って行った。
🖌️黒岩いろは✏️ と後輩たち
作画:緒方宗谷
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。

雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ!
コバひろ
大衆娯楽
格闘技を通して、男と女がリングで戦うことの意味、ジェンダー論を描きたく思います。また、それによる両者の苦悩、家族愛、宿命。
性差とは何か?
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる