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二年生の一学期
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後頭部で一結いシニョンにしたいろはが、真剣なまなざしを奈緒に向けて言った。
「暴走族に入った子がいるって聞いたことあるけど、その子のことかな? そう言う人とは付き合わないほうがいいと思うけど」
「ほら、わたしも言ったじゃん。もう関わらないほうがいいよ」
丸眼鏡の桃が心愛の二の腕を肘でつついて、右隣りにいた理子に同意を求めるように、「ねぇ」と声をかける。
「でも、成瀬さんといる小沢さんは、そんなふうにはみえないけど」心愛が、自信が無さそうな声で言った。
一年生の二人と並んで末席に座る奈緒に対して、心愛以外のメンバーは南についての質問を浴びせかけたが、この子は聞き流すばかりで身体障がい者であることを前面に押し出し、話の核心には触れないようにしてやり過ごす。
□□□
このやり取り以後も、お昼休みになると奈緒は、南のところにお弁当をもっていこうとするが、常に瑠衣に引き留められて、目的を果たせずにいた。
三席を一つにまとめながら、陽菜子が小声で囁く。
「もう小沢さんのこと気にしなくていいんじゃない? 今だって親指立ててグッドサイン返してきたんだし。わたしたちはわたしたちで、なにかコミュ形成しようよ。成瀬さんて今、なんか楽しそうなことしてるでしょ、美術部でコミュ作ってさ」
奈緒は、南の背中から視線を外さずいる。
「南ちゃん、一人でおべんと食べてる。ここ入れる? ここ入れる?」
((え~?))陽菜子が小声で顔をしかめた。((いいよ、どうせわたし話し合わないし、せっかくランチ仲間ができたのに、ひと月経たずに瓦解するなんていやだなあ))
食い下がる姿勢を見せる奈緒の言葉の頭を押さえて、左にいた瑠衣がこの子の右頬に手を添えると、優しく自分のほうに顔を向けさせ艶然と微笑む。
「それでぇ、美術部となにしてるのぉ? 成瀬さんって補習のイメージあるけどぉ、最近部活してるじゃん?」
「入部したわけじゃないけど、あれがあるの、あれ」
「あれ?」二人が首を傾げる。
「うん、あれ。それに補習は、途中からだから。途中からだから、こっからここまでやらないといけなかった から」
そう言いながら、フォークを持った左手でランチボックスの左端に手刀を切り、真ん中辺までスライドさせる。奈緒は何度も説明を試みたが、結局伝わらなかった。
🖌️高橋理子🎨
🖌️小島桃🎨
作画:緒方宗谷
「暴走族に入った子がいるって聞いたことあるけど、その子のことかな? そう言う人とは付き合わないほうがいいと思うけど」
「ほら、わたしも言ったじゃん。もう関わらないほうがいいよ」
丸眼鏡の桃が心愛の二の腕を肘でつついて、右隣りにいた理子に同意を求めるように、「ねぇ」と声をかける。
「でも、成瀬さんといる小沢さんは、そんなふうにはみえないけど」心愛が、自信が無さそうな声で言った。
一年生の二人と並んで末席に座る奈緒に対して、心愛以外のメンバーは南についての質問を浴びせかけたが、この子は聞き流すばかりで身体障がい者であることを前面に押し出し、話の核心には触れないようにしてやり過ごす。
□□□
このやり取り以後も、お昼休みになると奈緒は、南のところにお弁当をもっていこうとするが、常に瑠衣に引き留められて、目的を果たせずにいた。
三席を一つにまとめながら、陽菜子が小声で囁く。
「もう小沢さんのこと気にしなくていいんじゃない? 今だって親指立ててグッドサイン返してきたんだし。わたしたちはわたしたちで、なにかコミュ形成しようよ。成瀬さんて今、なんか楽しそうなことしてるでしょ、美術部でコミュ作ってさ」
奈緒は、南の背中から視線を外さずいる。
「南ちゃん、一人でおべんと食べてる。ここ入れる? ここ入れる?」
((え~?))陽菜子が小声で顔をしかめた。((いいよ、どうせわたし話し合わないし、せっかくランチ仲間ができたのに、ひと月経たずに瓦解するなんていやだなあ))
食い下がる姿勢を見せる奈緒の言葉の頭を押さえて、左にいた瑠衣がこの子の右頬に手を添えると、優しく自分のほうに顔を向けさせ艶然と微笑む。
「それでぇ、美術部となにしてるのぉ? 成瀬さんって補習のイメージあるけどぉ、最近部活してるじゃん?」
「入部したわけじゃないけど、あれがあるの、あれ」
「あれ?」二人が首を傾げる。
「うん、あれ。それに補習は、途中からだから。途中からだから、こっからここまでやらないといけなかった から」
そう言いながら、フォークを持った左手でランチボックスの左端に手刀を切り、真ん中辺までスライドさせる。奈緒は何度も説明を試みたが、結局伝わらなかった。
🖌️高橋理子🎨
🖌️小島桃🎨
作画:緒方宗谷
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