FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の三学期

🍭

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 南が不満そうな面持ちで「でも、高木以外はなんかいまいち」と答える。そして、「なんかみんなあいつに頼りすぎてない?」などとぼやきながら、仙骨座りでだらしなく背もたれに寄りかかった。
「うん。確かにパス集めすぎてて、向こうに読まれてる感じがする。それに、ぎくしゃくしているっていうか、高木君がいいリズム作っても、続かないで途切れる」
「他のメンバーが、それをいちいち崩しちゃってるんじゃない?」
「そうかも。必要だからパスしてるっていうより、相手選手の覇気っていうか威圧感に気圧されて、パスしちゃっているんだと思う。高木君、相当なプレッシャーじゃないかな。全部パス回されて、責任重大だもん。自分がなんとかしなきゃって思い詰めると、空回りしちゃうかも」
 心愛は心配そうに固唾を飲むが、そんな心配をよそに、春樹はアシストでも見せる。目にもとまらぬ早業でピンポイントパス。矢のように放たれたボールは、ノンストップでシュートへと繋がれて、45対44。
 奈緒は、一心不乱に左手で足をパシパシ叩く。
「がんばれー、ばんがれー」と応援した。
 後半戦に至ってもシュート合戦は止まらない。ひだまり高校がスリーポイントを決めると、不動高校がカウンターで切り込む。レイアップと見せかけてバックパス。フリーだった選手が悠々とセットシュートを放つ。55対58.次第に様相が変貌してきた。
「どうしよう」心愛の霞む声が震える。「味方が落ち着かなくなってきた」
 素人の目にも、ひだまり高校がかく乱され始めているのが分かる。
「シュートが減ってる」南が呟いた。
 居ても立っても居られない様子の奈緒が、焦りの表情を浮かべて杏奈に頼み込んだ。
「杏奈ちゃんも応援しよ」
「んー、頑張ってほしいよね」
 三人の必死さとは裏腹に、彼女はスマホをいじりながら、そっけなく答える。 
「あっ」
 心愛があげた声で奈緒が振り向くと、春樹がこっちを見上げている。心愛が手を振ったのを見て、奈緒も手を振った。
「あ あ……うん」
 奈緒が言葉を出せずにいると、心愛が小さな声で叫ぶ。
「春樹君、こっちに手、振った」
 やっと声を出したこの子は、「がんばれ、はるきくん」と、しどろもどろにやっと言い切る。





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