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一年生の三学期
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その間に、レジを担当していた店員が、「25番のレシートをお持ちのお客様」と呼ぶ。それに呼応して前に出た杏奈が、レシートを渡して会計を済ませると、店員が言った。
「お連れのお客様のご注文がお済になりましたら、お渡しいたしますので、もうしばらくお待ちください。これは、当店が三月二十六日で開店一周年になりますので、記念に差し上げているお菓子です。どうぞ、お納めください」
と、茶色い紙袋を渡す。
奈緒が思わず「いいなぁ」と呟く。
心愛や他の客も同じように記念品をもらってゆくのを見ると、自分ももらわなきゃといったふうの楽しそうな焦りの色を帯びた声で、「これくださいな」と、はしゃぐように店員に声をかけて商品を渡し、ケーキも注文する。
それを見届けた南が最後に注文した時には、杏奈と心愛のケーキは箱の中にスタンバっていて、あとは二人が注文したケーキが箱に入ってくるのを今か今かと待つばかりとなっていた。
レジの前にいた店員に番号を呼ばれて、奈緒は元気良く返事をして歩み出ると、レシートを渡す。
「千七百三十円です」店員が言った。
奈緒は、ブレザーの腰ポケットからひもでつながったカード入れを取り出して、スイモでピッとしてから、急に叫ぶ。
「かれぬもっ」
その視線の先には、少し高い位置に小さなショーケースがあって、中にカレヌや焼き菓子が陳列されている。
南が言った。
「もう遅い。レシート管理だから、再注文は並びなおしだし。それに試合はじまっちゃうよ」
奈緒はがっかり後悔した様子で「え~、がっくし」、とぼやいてうなだれた。
「お連れのお客様のご注文がお済になりましたら、お渡しいたしますので、もうしばらくお待ちください。これは、当店が三月二十六日で開店一周年になりますので、記念に差し上げているお菓子です。どうぞ、お納めください」
と、茶色い紙袋を渡す。
奈緒が思わず「いいなぁ」と呟く。
心愛や他の客も同じように記念品をもらってゆくのを見ると、自分ももらわなきゃといったふうの楽しそうな焦りの色を帯びた声で、「これくださいな」と、はしゃぐように店員に声をかけて商品を渡し、ケーキも注文する。
それを見届けた南が最後に注文した時には、杏奈と心愛のケーキは箱の中にスタンバっていて、あとは二人が注文したケーキが箱に入ってくるのを今か今かと待つばかりとなっていた。
レジの前にいた店員に番号を呼ばれて、奈緒は元気良く返事をして歩み出ると、レシートを渡す。
「千七百三十円です」店員が言った。
奈緒は、ブレザーの腰ポケットからひもでつながったカード入れを取り出して、スイモでピッとしてから、急に叫ぶ。
「かれぬもっ」
その視線の先には、少し高い位置に小さなショーケースがあって、中にカレヌや焼き菓子が陳列されている。
南が言った。
「もう遅い。レシート管理だから、再注文は並びなおしだし。それに試合はじまっちゃうよ」
奈緒はがっかり後悔した様子で「え~、がっくし」、とぼやいてうなだれた。
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