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一年生の三学期
🐿️
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南がぎょっとした。
「すごっ、マンモスじゃん、ほぼマンモスじゃん」
中に入ると、さらに彼女の驚きは続く。
「なにこの体育館。スタンド席あるじゃん。しかも一階に。見て、まだ試合はじまっていない。行こ行こ。だいぶ席埋まってる。前のほうなんて並んで三人座れそうもないよ。早く席取らないと一緒に見られなくなっちゃうよ」
この驚きには奈緒と杏奈も加わっていて、言葉を返せずに見渡していた。
南に名前を呼ばれたこの子が答える。
「でもコート、奥と手前の二つがあるよ。春樹君はどっちで“すあい” するのかな?」
「確かに。前みたく座りなおすには混みすぎてるよね」
杏奈が提案した。
「どうしたんだろ、まだ試合始まっていないのね。とりあえず中央の真ん中らへんに座りましょうよ。どっちで試合しても見やすいように」
二人は同意して杏奈の提案に従う。
奈緒に「いくつある?」と訊かれた南が、階段状になった青いシート席を数えて言った。
「十二列かな」
三人は、前から十列目の真ん中辺りに、コートに向かって左から、杏奈、奈緒、南の順番で座った。
奈緒が、広い体育館を見渡す。
「ひだまりはどこだろうね」
「ほらあそこ」南が上を指さした。
奈緒が、二階部分の窓際を囲むキャットウォークを見上げる。
「わ、なんか人がたくさんいる。なにしてるの? あの人たち」
「あそこにいるの、出場するチームの人たちでしょ。ほらあそこ。赤いユニフォームのが、ひだまりだよ」
「赤いの二つあるけど」
「変なところ目がいいね。左の濃い赤のほうがひだまり」
奈緒が目を凝らす。
「春樹君、いるかな?」
「いるんじゃない? 青い柵がじゃまで見えないけど」
そっぽを向いていた杏奈が、突然口を開いた。
「あら? 見て、スタンド席のわきにもバスケのゴールがある。てことは、この席仮設なのね。ここの体育館、相当広いわよ」
「ほんとだ」南が答える。「結構侮れないな」
「そうね。ホームページ検索すると、創立はうちよりも古くて、前身は江戸時代みたい。蘭学塾がおおもとだって。相当な歴史があるのね」
「すごっ、マンモスじゃん、ほぼマンモスじゃん」
中に入ると、さらに彼女の驚きは続く。
「なにこの体育館。スタンド席あるじゃん。しかも一階に。見て、まだ試合はじまっていない。行こ行こ。だいぶ席埋まってる。前のほうなんて並んで三人座れそうもないよ。早く席取らないと一緒に見られなくなっちゃうよ」
この驚きには奈緒と杏奈も加わっていて、言葉を返せずに見渡していた。
南に名前を呼ばれたこの子が答える。
「でもコート、奥と手前の二つがあるよ。春樹君はどっちで“すあい” するのかな?」
「確かに。前みたく座りなおすには混みすぎてるよね」
杏奈が提案した。
「どうしたんだろ、まだ試合始まっていないのね。とりあえず中央の真ん中らへんに座りましょうよ。どっちで試合しても見やすいように」
二人は同意して杏奈の提案に従う。
奈緒に「いくつある?」と訊かれた南が、階段状になった青いシート席を数えて言った。
「十二列かな」
三人は、前から十列目の真ん中辺りに、コートに向かって左から、杏奈、奈緒、南の順番で座った。
奈緒が、広い体育館を見渡す。
「ひだまりはどこだろうね」
「ほらあそこ」南が上を指さした。
奈緒が、二階部分の窓際を囲むキャットウォークを見上げる。
「わ、なんか人がたくさんいる。なにしてるの? あの人たち」
「あそこにいるの、出場するチームの人たちでしょ。ほらあそこ。赤いユニフォームのが、ひだまりだよ」
「赤いの二つあるけど」
「変なところ目がいいね。左の濃い赤のほうがひだまり」
奈緒が目を凝らす。
「春樹君、いるかな?」
「いるんじゃない? 青い柵がじゃまで見えないけど」
そっぽを向いていた杏奈が、突然口を開いた。
「あら? 見て、スタンド席のわきにもバスケのゴールがある。てことは、この席仮設なのね。ここの体育館、相当広いわよ」
「ほんとだ」南が答える。「結構侮れないな」
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