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一年生の三学期
第八十四話 アロエのそばで
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「あれ?」
そう声がして奈緒が顔を上げると、そこには黒いスカジャン姿の南がいた。びっくりしながら駆け寄ると、一度立ち止まってから叫びかけて、胸の中に飛び込んでいく。
「南ちゃん、大丈夫だった? なにかひどいことされな かった?」
「ああ……うん。それよりなんでこんなところに? まさか今の今までわたしのために?」
奈緒を軽く受け止めた南が、信じられないといった様子で訊き返してきた。
「そう。すごかった。大変だったよ。“おうえん”とか走って、ぱーっと、ばたーとして、み ん な み ん な に あ い ま し た」
「うん、なに言ってるか分かんないけど、わるかったね、心配かけて」
務が歩み寄ってきて、南に声をかける。
「成瀬さんから、小沢さんが補導されたって聞いて、急いで駆けつけたんだ」
「知ってる。警察署で聞いた。ありがとう。みんな必死に食い下がってくれて、すごい嬉しかった」
そう言う南の目は赤くはれていて、無理やりに作った笑顔が痛々しい。
「どうやって出てきたの?」杏奈が訊く。
「ウィップスが白状したんだよ」
奈緒は意気揚々と答えるが、みんなはスルー。一人だけ鼻で笑った南が、自信満々なこの子に一言言った。
「パピオンでしょ。あの子たちは来てないよ」
それから杏奈に答える。
田舎のおばあちゃんが新幹線で出てきてくれて、身元引受人になってくれた」
「でも、内容が内容だけに、すぐに釈放してくれなかったんじゃない?」
「うん。わたしも散々してないって言ったけど、信じてもらえなかった。おばあちゃんが警察にまくし立てて、デブ野郎の口塞いで主導権奪っちゃってさ。あとはおばあちゃんの一人舞台。わたしも原チャリが盗まれた日のことを色々尋問受けて、思い出したこと話したんだけど。実はなんとその日、ドラッグストアでバイトしてた日だったんだよね。運よくその時水筒持っていくの忘れていて、休憩とる時にお茶買っていたの。財布見たら、その時もらったレシートがまだ入っていから、それが証拠だって、おばあちゃんが突き付けた」
そう声がして奈緒が顔を上げると、そこには黒いスカジャン姿の南がいた。びっくりしながら駆け寄ると、一度立ち止まってから叫びかけて、胸の中に飛び込んでいく。
「南ちゃん、大丈夫だった? なにかひどいことされな かった?」
「ああ……うん。それよりなんでこんなところに? まさか今の今までわたしのために?」
奈緒を軽く受け止めた南が、信じられないといった様子で訊き返してきた。
「そう。すごかった。大変だったよ。“おうえん”とか走って、ぱーっと、ばたーとして、み ん な み ん な に あ い ま し た」
「うん、なに言ってるか分かんないけど、わるかったね、心配かけて」
務が歩み寄ってきて、南に声をかける。
「成瀬さんから、小沢さんが補導されたって聞いて、急いで駆けつけたんだ」
「知ってる。警察署で聞いた。ありがとう。みんな必死に食い下がってくれて、すごい嬉しかった」
そう言う南の目は赤くはれていて、無理やりに作った笑顔が痛々しい。
「どうやって出てきたの?」杏奈が訊く。
「ウィップスが白状したんだよ」
奈緒は意気揚々と答えるが、みんなはスルー。一人だけ鼻で笑った南が、自信満々なこの子に一言言った。
「パピオンでしょ。あの子たちは来てないよ」
それから杏奈に答える。
田舎のおばあちゃんが新幹線で出てきてくれて、身元引受人になってくれた」
「でも、内容が内容だけに、すぐに釈放してくれなかったんじゃない?」
「うん。わたしも散々してないって言ったけど、信じてもらえなかった。おばあちゃんが警察にまくし立てて、デブ野郎の口塞いで主導権奪っちゃってさ。あとはおばあちゃんの一人舞台。わたしも原チャリが盗まれた日のことを色々尋問受けて、思い出したこと話したんだけど。実はなんとその日、ドラッグストアでバイトしてた日だったんだよね。運よくその時水筒持っていくの忘れていて、休憩とる時にお茶買っていたの。財布見たら、その時もらったレシートがまだ入っていから、それが証拠だって、おばあちゃんが突き付けた」
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