FRIENDS

緒方宗谷

文字の大きさ
上 下
239 / 410
一年生の三学期

🖼️

しおりを挟む
 思考を疑うような視線を向けて、杏奈が問う。
「言ってることが支離滅裂。そういうのカツアゲっていうんじゃないの?」
「あん?」
 強烈なガンをつけて理沙が凄む。杏奈は即座に務の後ろに隠れた。
「ふぅ」と鼻息を発して、動じない様子の奈緒が口を開く。
「南ちゃんが 捕まった。助けてあげて」
「南が? なんで」理沙が驚いた。
「バイク…ぬ、ぬ、ぬ、盗んだ罪と 疑われています」
 奈緒がつっかえつっかえ答えると、理沙が考え込んだ。
「バイク?……あー、あ~~……知らない」
 プイッとそっぽを向くと、そのまま背を向けて走り出そうとした。
「ちょちょちょ、待て待てって」
 春樹に左二の腕を掴まれて逃げ損ねた不良少女がのたまく。
「なんだよ、しつこなぁ。知らないって言ってんでしょ」
「あからさまに知ってるってふうだったぞ」
「いつまで人の二の腕掴んでのよ、やらしい」
 春樹は表情一つ変えずに捕まえたまま離さない。
 理沙が続ける。
「知ってる? 二の腕って胸とおんなじ柔らかさなんだって」
 ちょっと色っぽく瞳を細めてほほ笑みかけられた春樹は、びっくりして腕を離した。
「まったく」
 理沙はそっけなく零して、辺りを伺いながら歩き始める。逃げるチャンスをうかがっているようだ。
 奈緒がすがる。
「南 ちゃんが バイク 盗んだって “うとがわれて”、警察に捕まって いるの。その バイク 盗んだの、なんとかちゃんでしょ」
「なんとかちゃんってなんだよ」
「いいのなんでも」
「よくないよ、わたしの名前だよ、ひどいやつだなぁ」
 そのやり取りを見て、「分かる分かる」と春樹が頷く。
 一向に話しが進まないさまを見て、務が奈緒にとって代わった。
「小沢さんは、誰かから預かったって言っているらしいんだけど、どこの誰から預かったか言わないらしいんだ。でもこのままだと、彼女が盗んだ犯人に仕立て上げられてしまう。もし心当たりがあるんなら、これから警察に行って謝ってほしいんだ」




🛵伊奈波理沙🦋
🏀高木春樹🏀
作画:緒方宗谷
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小学生をもう一度

廣瀬純一
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

鷹鷲高校執事科

三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。 東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。 物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。 各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。 表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)

優秀賞受賞作【スプリンターズ】少女達の駆ける理由

棚丘えりん
青春
(2022/8/31)アルファポリス・第13回ドリーム小説大賞で優秀賞受賞、読者投票2位。 (2022/7/28)エブリスタ新作セレクション(編集部からオススメ作品をご紹介!)に掲載。 女子短距離界に突如として現れた、孤独な天才スプリンター瑠那。 彼女への大敗を切っ掛けに陸上競技を捨てた陽子。 高校入学により偶然再会した二人を中心に、物語は動き出す。 「一人で走るのは寂しいな」 「本気で走るから。本気で追いかけるからさ。勝負しよう」 孤独な中学時代を過ごし、仲間とリレーを知らない瑠那のため。 そして儚くも美しい瑠那の走りを間近で感じるため。 陽子は挫折を乗り越え、再び心を燃やして走り出す。 待ち受けるのは個性豊かなスプリンターズ(短距離選手達)。 彼女達にもまた『駆ける理由』がある。 想いと想いをスピードの世界でぶつけ合う、女子高生達のリレーを中心とした陸上競技の物語。 陸上部って結構メジャーな部活だし(プロスポーツとしてはマイナーだけど)昔やってたよ~って人も多そうですよね。 それなのに何故! どうして! 陸上部、特に短距離を舞台にした小説はこんなにも少ないんでしょうか! というか少ないどころじゃなく有名作は『一瞬の風になれ』しかないような状況。 嘘だろ~全国の陸上ファンは何を読めばいいんだ。うわーん。 ということで、書き始めました。 陸上競技って、なかなか結構、面白いんですよ。ということが伝われば嬉しいですね。 表紙は荒野羊仔先生(https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/520209117)が描いてくれました。

漫才部っ!!

育九
青春
漫才部、それは私立木芽高校に存在しない部活である。 正しく言えば、存在はしているけど学校側から認められていない部活だ。 部員数は二名。 部長 超絶美少女系ぼっち、南郷楓 副部長 超絶美少年系ぼっち、北城多々良 これは、ちょっと元ヤンの入っている漫才部メンバーとその回りが織り成す日常を描いただけの物語。

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

坊主女子:友情短編集

S.H.L
青春
短編集です

処理中です...