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一年生の三学期
🐿️
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言葉なくごてる奈緒は、自分の説得を試みる杏奈から瞳をそらして、すがるように務を見つめた。
しばらく見つめ返していた務は、意を決したように口を開く。
「とりあえず、中に入ろう。小沢さんの安否確認をして、なぜ補導されたのか確かめよう。事情を聞いて、僕たちの知っている範囲でアリバイなんかが出てくれば、間違えだったって納得してもらるかもしれない。それで解決させられなくても、その後の立ち振る舞いを計画できる」
春樹が恐る恐る言った。
「うーん。でも杏奈の言いたいことも分かるな。もし犯罪行為だったとしたら、俺たちも捜査対象になるかもしれないぜ。杏奈のお母さんなんて区議会議員だし、相当な迷惑かかるんじゃね?」
「二人とも弁護士なんだから、粛々と対応するはずだよ、プロなんだから。それに僕たちだってみんな無実なんだから、なんの問題もないんじゃないか?」
「選挙があるだろ。今はおかしな噂程度でもネットで拡散しちまう時代だし、なんの根拠もない嘘だったとしても、信じてしまう有権者もいるんじゃないかな」
春樹の発言に、杏奈が何度も頷く。
もっとだと言いたげなその瞳を見やって、彼が続けた。
「警察は淡々と手続するはずだろ。杏奈のお父さんたちに頼んで、こっちも淡々と対処してもらえばいいじゃん」
すると、奈緒が叫んだ。
「もういいっ。わたし一人で行く」
憤慨した様子で、鬼のように正面玄関へと猛進していく。
それに務が続くと、ずっと反対していた杏奈がなんの躊躇も無くついていった。それを見た春樹が慌てた様子で追いかける。
再び奈緒が、受付カウンターまで来ると、すぐ後ろにいた務が身を乗り出して会釈をした。
「あの、ここに、小沢南さんが補導されてきたみたいなのですが、面会できますか?」
「ご家族の方――じゃないみたいですね。申し訳ありませんけれど、面会は出来ませんし、なにもお伝え出来ません」
「でも、ここにいるんですよね」奈緒が迫る。
「うーん、どうでしょう。個人情報ですし、自分からはなにも答えられませんが」
しばらく見つめ返していた務は、意を決したように口を開く。
「とりあえず、中に入ろう。小沢さんの安否確認をして、なぜ補導されたのか確かめよう。事情を聞いて、僕たちの知っている範囲でアリバイなんかが出てくれば、間違えだったって納得してもらるかもしれない。それで解決させられなくても、その後の立ち振る舞いを計画できる」
春樹が恐る恐る言った。
「うーん。でも杏奈の言いたいことも分かるな。もし犯罪行為だったとしたら、俺たちも捜査対象になるかもしれないぜ。杏奈のお母さんなんて区議会議員だし、相当な迷惑かかるんじゃね?」
「二人とも弁護士なんだから、粛々と対応するはずだよ、プロなんだから。それに僕たちだってみんな無実なんだから、なんの問題もないんじゃないか?」
「選挙があるだろ。今はおかしな噂程度でもネットで拡散しちまう時代だし、なんの根拠もない嘘だったとしても、信じてしまう有権者もいるんじゃないかな」
春樹の発言に、杏奈が何度も頷く。
もっとだと言いたげなその瞳を見やって、彼が続けた。
「警察は淡々と手続するはずだろ。杏奈のお父さんたちに頼んで、こっちも淡々と対処してもらえばいいじゃん」
すると、奈緒が叫んだ。
「もういいっ。わたし一人で行く」
憤慨した様子で、鬼のように正面玄関へと猛進していく。
それに務が続くと、ずっと反対していた杏奈がなんの躊躇も無くついていった。それを見た春樹が慌てた様子で追いかける。
再び奈緒が、受付カウンターまで来ると、すぐ後ろにいた務が身を乗り出して会釈をした。
「あの、ここに、小沢南さんが補導されてきたみたいなのですが、面会できますか?」
「ご家族の方――じゃないみたいですね。申し訳ありませんけれど、面会は出来ませんし、なにもお伝え出来ません」
「でも、ここにいるんですよね」奈緒が迫る。
「うーん、どうでしょう。個人情報ですし、自分からはなにも答えられませんが」
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