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一年生の三学期
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ぴょっこぴょっこと急ぐ奈緒がななまーとに到着すると、茶色いほうのてさげから、急いで鉛筆画のようなアゲハちゃんとたくさんのモンキチョウが描かれたボタン付きノートを取り出す。厚い表紙を開くと、粗雑に住所録のページを探して開いた。
見つけると右のわきに抱えて、茶色のてさげから革製の小銭入れを取り出し、ボタンを外す。その瞬間、赤いバラ柄の小銭入れを落としてお金をばらまいてしまった。
「あらあらあら、小池さんごめんなさい」
そう一人で謝って小銭を集めると、茶色いてさげの中にぞんざいに放り込んで、十円玉を硬貨投入口に入れた。それから思い出したように、長財布程度の大きさでキルト製のクラッチバッグを掴み上げると、ボタンをはずして、中からテレフォンカードを取り出し、電話に押し込む。そして何度か間違えては受話器を切って再度かけなおす、を繰り返してから、ようやく満足にボタンを押し切る。
「もしもし、務君ですか。務君ですか」
『成瀬さん? どうしたの』
「南ちゃんが大変です。捕まってさらわれた。あらあらあらーって 追いかけたけど、だめでした。タクシー券があったし、近かったけれど 会えなかった。わたしは、身体 障がい者ですから、上手く 説明できません。だ け れ ど も、南ちゃんが大変ですから、来て!」
『どういうこと? ちゃんと説明して』
「図書館の帰り道。南ちゃんに出会った。そうしたら、南ちゃんが…ほら、あれ、まゆげの――なに? 巡査ちょー。分かんないけど連れていかれた。ああ、分かんない? 早くして。ここまで来てください。そうじゃないと、わたし どうしていいか 分から なくて、どう にかなっちゃい そう」
『落ち着いて。そこがどこか教えて』
見つけると右のわきに抱えて、茶色のてさげから革製の小銭入れを取り出し、ボタンを外す。その瞬間、赤いバラ柄の小銭入れを落としてお金をばらまいてしまった。
「あらあらあら、小池さんごめんなさい」
そう一人で謝って小銭を集めると、茶色いてさげの中にぞんざいに放り込んで、十円玉を硬貨投入口に入れた。それから思い出したように、長財布程度の大きさでキルト製のクラッチバッグを掴み上げると、ボタンをはずして、中からテレフォンカードを取り出し、電話に押し込む。そして何度か間違えては受話器を切って再度かけなおす、を繰り返してから、ようやく満足にボタンを押し切る。
「もしもし、務君ですか。務君ですか」
『成瀬さん? どうしたの』
「南ちゃんが大変です。捕まってさらわれた。あらあらあらーって 追いかけたけど、だめでした。タクシー券があったし、近かったけれど 会えなかった。わたしは、身体 障がい者ですから、上手く 説明できません。だ け れ ど も、南ちゃんが大変ですから、来て!」
『どういうこと? ちゃんと説明して』
「図書館の帰り道。南ちゃんに出会った。そうしたら、南ちゃんが…ほら、あれ、まゆげの――なに? 巡査ちょー。分かんないけど連れていかれた。ああ、分かんない? 早くして。ここまで来てください。そうじゃないと、わたし どうしていいか 分から なくて、どう にかなっちゃい そう」
『落ち着いて。そこがどこか教えて』
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