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一年生の三学期
🐿️
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横についたいがぐり女子に、奈緒が言った。
「わたしたちが行っても、なに言っていいか 分から ないけど、褒めてあげなきゃいけない 気がする」
奈緒たちがアリーナに行くと、並んで顧問の話を聞いていたひだまりの選手たちを、離れたところから心愛が一人で見ている。二人が彼女の傍らに寄り添ったちょうどその時、顧問の話が終わって、春樹がこっちを向いた。そして、有名なスライムみたいにへらりと笑って、頭を掻く。
「いやー、負けた負けた」
「なんだ、落ち込んでいるかと思ったのに、あっけらかんとしてる」
南の言葉を聞き流して、春樹が問う。
「つっちーと杏奈は?」
「来てない。塾だって。土屋はバレー部の応援に駆り出されて、新人戦に出張中。残念だったね、食い下がったのに負けちゃって」
「ああ、面目ねー。あれだけ勝つって豪語してたのに、最後あんなに点差広げられて、ちょっと無様だよな」
奈緒が一生懸命に声を絞り出して粒立てる。
「そんなこと ないよ、春樹君、かっこ よかったよ。ひょいって したら、よいよいってボールして、点とるところ」
春の空気に色があったら、きっとこんな薄桃色だろうという笑顔で、奈緒が微笑む。
「だろ。惚れてくれてもいいんだぜ」
密やかに、それでいて力がこもった黒い瞳で、心愛が奈緒を見つめた。
この子は「あはは」と笑って、「ごえんりょです」と答える。
春樹は、諦念に押し出されたようなため息を吐いて、一瞬口唇をキュッと閉めた。
「でも仕方ない。これが俺らの実力だったから。でもいい線行っただろ。全然格上の保徳にも勝てたし。旭日は去年のベスト4だぜ。うちはたしか二回戦敗退だったから。なのにあれだけの接戦をしたんだ、すごい躍進だろ」
奈緒たちは、そんな春樹に、慰めともとれる称賛を伝えて体育館をあとにした。
心愛が、瞳にかかったシースルーバングを指ですいて、まだ入り口の向こうに見えるひだまり選手たちに振り返る。
「絶対勝ってたよ、高木君は。だって旭日は全員二年で、一人留年してチームに残ってた去年の選手もいたらしいの。それなのに高木君は一年生で試合に出て、一番得点したんだから」
「わたしたちが行っても、なに言っていいか 分から ないけど、褒めてあげなきゃいけない 気がする」
奈緒たちがアリーナに行くと、並んで顧問の話を聞いていたひだまりの選手たちを、離れたところから心愛が一人で見ている。二人が彼女の傍らに寄り添ったちょうどその時、顧問の話が終わって、春樹がこっちを向いた。そして、有名なスライムみたいにへらりと笑って、頭を掻く。
「いやー、負けた負けた」
「なんだ、落ち込んでいるかと思ったのに、あっけらかんとしてる」
南の言葉を聞き流して、春樹が問う。
「つっちーと杏奈は?」
「来てない。塾だって。土屋はバレー部の応援に駆り出されて、新人戦に出張中。残念だったね、食い下がったのに負けちゃって」
「ああ、面目ねー。あれだけ勝つって豪語してたのに、最後あんなに点差広げられて、ちょっと無様だよな」
奈緒が一生懸命に声を絞り出して粒立てる。
「そんなこと ないよ、春樹君、かっこ よかったよ。ひょいって したら、よいよいってボールして、点とるところ」
春の空気に色があったら、きっとこんな薄桃色だろうという笑顔で、奈緒が微笑む。
「だろ。惚れてくれてもいいんだぜ」
密やかに、それでいて力がこもった黒い瞳で、心愛が奈緒を見つめた。
この子は「あはは」と笑って、「ごえんりょです」と答える。
春樹は、諦念に押し出されたようなため息を吐いて、一瞬口唇をキュッと閉めた。
「でも仕方ない。これが俺らの実力だったから。でもいい線行っただろ。全然格上の保徳にも勝てたし。旭日は去年のベスト4だぜ。うちはたしか二回戦敗退だったから。なのにあれだけの接戦をしたんだ、すごい躍進だろ」
奈緒たちは、そんな春樹に、慰めともとれる称賛を伝えて体育館をあとにした。
心愛が、瞳にかかったシースルーバングを指ですいて、まだ入り口の向こうに見えるひだまり選手たちに振り返る。
「絶対勝ってたよ、高木君は。だって旭日は全員二年で、一人留年してチームに残ってた去年の選手もいたらしいの。それなのに高木君は一年生で試合に出て、一番得点したんだから」
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