FRIENDS

一年生の二学期

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　そう言いながらウィップスを見ると、三人とも少し吹き出すように笑みを返してよこす。それに笑って返してから奈緒は、一年Ａ組の列へと顔を向ける。
「支えてくれた南 ちゃ ん、務君、春樹 君、安奈ちゃん、ありがとうご“ぞ”い　ました。
　南ちゃんは、とても積極的に わたしを 庇ってく れ て、言えないことや 出来ないことを 言おうとする時、辛抱強く 待って くれました。言うのを思い とどめないで しゃべ ら れ た ので、少し しゃべられるようになったと思い ます。
　務君は、とても真剣に 障がいのことを考えてくれたし、満員電車が大変だから と、いつも 杏奈ちゃんと一緒に 旗の台の駅で待っていて くれ ました。
　春樹君は、わたしが落ち込んでいると、いつも笑わしてくれて、励ましてくれます。ダンスの練習中、いつも差し入れをも“ろ”い ました。肉まんが美味しくて、とても 印象 的です。しかも 先生に、今日のダンスが成功したら、たこ焼きをおごらせる約束も させ ました。一人 丸いの一つと 先生は おっしゃった け れ ど も、わたしは、十個入りを期待して い ま す」
　体育館の隅っこにいた岡野先生は、いやいやいや、と手を左右に振って顔を伏せる。
　それから奈緒は、舞台の下手袖を見た。右目が見えないせいかこの子は、客席から見ると、ほとんど真横を向いた状態だ。
「そ し て なに よ り も、このステージを提案 してくれて、さいしょのお友達になってくれた 杏奈 ちゃん、あり が とう ご“じょ”い ました。練習は 大変 で し た し、リズム “トレイニング”も出来なくて、くじけそうでしたが、杏奈ちゃんが励ましてくれたので、続き ました。先生たちも クラスメイトたちも 応援してくれて、ありがとうご“ぞ”い ました。
　十 二月に なったので、センターで一緒にリハビリした“おともどち”に、クリスマスカードを贈る予定です。今日の出来事を書いて、教えて あげたいです。わたしは生きているだけで幸せになったので、楽しいです、と書いて。　おわり」
　静まっていた拍手が再び大音量で響く中、称賛されるように三人から肩をたたかれながら、頬をうっすらと上気させた奈緒は、ウィップスと一緒にステージをあとにした。