149 / 490
一年生の二学期
🖼️
しおりを挟む
リーダー格の彼女は細かいブレイズをポニーテールにしていて、ボディラインが浮き出るヒョウ柄でフルジップのフーディ―を羽織り、ビロードに見まがえるほどよく鞣された黒い革のミニスカート、といういでたち。靴は底の薄い黒のスニーカー。手の全ての爪には、玉虫色や銀色の満天の星空のようなネイルが伸びていて、気合の入れ方が伺える。
南が、奈緒に歩み寄りながら暖乃を見やって言った。
「その持ってるスポーツタオル、でかでかとアルファベットが描いてあるなんて、不良っぽすぎない? 毛足の長いブルゾンもなんかきれいだけどお水に見えるよ。しかもなにそれ、下のセーターざっくりしすぎでしょ。ブラ、もろ透けてんじゃん」
そして下半身に視線を落として続ける。
「足もガーター見えてるし」
ラクーンのような毛並みの白いファーブルゾンでほぼ隠れていたが、全開のジップの間から見えるボトムスは、カーゴの厚手なミニプリーツスカート。
「その靴で踊るの? ブーツ、ヒール高すぎない?」
南が最後にそう付け加えて、返答を待つように顔を上げと、エクリュ色セーターに透けるベビーブルーの胸を揺らしながら、暖乃が言った。
「まさか。外履きなのに。それよかあんたは、人のファッション批評できる口なの? ダサいよ。どこの田舎者だとスカジャン着れる? いつの時代の人よ? 背中に龍か虎の刺繍入ってんじゃないの? せめてベースボールジャケットにして」
「普通じゃん。そんなの入ってないよ」
「だからって学校にスカジャン着てこなくても」
「昨日ダッフルコート洗濯して、まだ乾いてなかったから仕方なかったの」
ポケットに入れた手でスカジャンを押し伸ばして、心配そうに自分で黒いディテールを見やりながら、続けて言った。
「ベースボールジャケットってスタジャンのことでしょ? 似たようなものじゃない。刺繍が違うだけて、柄は同じでしょ」
「分からない人。あんたが着るからダサいの。つか、鷹の刺繍が中途半端。派手じゃないのに地味でもない。そこだけぴったり」
軽くクラブステップを踏みながら、膝にダメージのある紺デニムを見やった暖乃は、そう言ってそっぽを向く。さらに、腿の中央までを覆う黒いタイツを直しながら付け加えた。
「それより小沢、差し入れとかないの? 朝っぱらから舞台裏まで来て失礼じゃん」
「ないよ。どうせあんたたちがお菓子もジュースも大量に持ち込んでいるだろうしね。それに朝っぱらってほどじゃないでしょ、もう九時過ぎてんじゃん」
すると、慌てた様子で奈緒が口を開く。
「わたしもかりんとうと、大将カフェラテ買った」
🌰小沢南🦋
作画:緒方宗谷&AIイラスト
南が、奈緒に歩み寄りながら暖乃を見やって言った。
「その持ってるスポーツタオル、でかでかとアルファベットが描いてあるなんて、不良っぽすぎない? 毛足の長いブルゾンもなんかきれいだけどお水に見えるよ。しかもなにそれ、下のセーターざっくりしすぎでしょ。ブラ、もろ透けてんじゃん」
そして下半身に視線を落として続ける。
「足もガーター見えてるし」
ラクーンのような毛並みの白いファーブルゾンでほぼ隠れていたが、全開のジップの間から見えるボトムスは、カーゴの厚手なミニプリーツスカート。
「その靴で踊るの? ブーツ、ヒール高すぎない?」
南が最後にそう付け加えて、返答を待つように顔を上げと、エクリュ色セーターに透けるベビーブルーの胸を揺らしながら、暖乃が言った。
「まさか。外履きなのに。それよかあんたは、人のファッション批評できる口なの? ダサいよ。どこの田舎者だとスカジャン着れる? いつの時代の人よ? 背中に龍か虎の刺繍入ってんじゃないの? せめてベースボールジャケットにして」
「普通じゃん。そんなの入ってないよ」
「だからって学校にスカジャン着てこなくても」
「昨日ダッフルコート洗濯して、まだ乾いてなかったから仕方なかったの」
ポケットに入れた手でスカジャンを押し伸ばして、心配そうに自分で黒いディテールを見やりながら、続けて言った。
「ベースボールジャケットってスタジャンのことでしょ? 似たようなものじゃない。刺繍が違うだけて、柄は同じでしょ」
「分からない人。あんたが着るからダサいの。つか、鷹の刺繍が中途半端。派手じゃないのに地味でもない。そこだけぴったり」
軽くクラブステップを踏みながら、膝にダメージのある紺デニムを見やった暖乃は、そう言ってそっぽを向く。さらに、腿の中央までを覆う黒いタイツを直しながら付け加えた。
「それより小沢、差し入れとかないの? 朝っぱらから舞台裏まで来て失礼じゃん」
「ないよ。どうせあんたたちがお菓子もジュースも大量に持ち込んでいるだろうしね。それに朝っぱらってほどじゃないでしょ、もう九時過ぎてんじゃん」
すると、慌てた様子で奈緒が口を開く。
「わたしもかりんとうと、大将カフェラテ買った」
🌰小沢南🦋
作画:緒方宗谷&AIイラスト
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ!
コバひろ
大衆娯楽
格闘技を通して、男と女がリングで戦うことの意味、ジェンダー論を描きたく思います。また、それによる両者の苦悩、家族愛、宿命。
性差とは何か?

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる