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一年生の二学期
🐿️
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困った様子で迫りくる胸の谷間から顔ごと視線をそらせる務を見て、南が暖乃に忠告した。
「露出下げなよ。ブレイクダンスにそんなイメージないよ」
「そんなことないよ。人それぞれだもん。それにすんごい体力使うんだよ、ブレイクって。すぐ体温上がって暑くなっちゃうんだから、このくらいがちょうどいいのよ」
すると、奈緒がかりんとうの袋を持ってきて務に差し出し、にこやかに微笑む。
「確 か に、この部屋 寒いのに、ノンちゃん寒 そう じゃ な く て、あらーって思った。わ た し 寒い の に」
「成瀬は、バウンズしかしてないからでしょ」暖乃がぶっきらぼうに答える。
「でも疲れた。だから休もう。わたしはお昼寝する……かな?」
「しないよ」後ろから魚子が言った。「ほら練習続けなよ。首のアイソ出来てないじゃん」
「はぁあい」奈緒はしぶしぶ練習に戻っていく。
しばらくして、エナジードリンクのライデンを飲み干した魚子は、逆立ちの練習に移行した。何度も逆立ちを繰り返しては、バランスを維持できなくて前転をしたり、急角度のブリッヂに持ち込んだり、不意に腕立てをするように腕をたたんで身を沈め、地面すれすれで頭を上げて胸を滑らせたり上げたりを繰り返す。
バウンズをしていたはずの奈緒は、いつの間にか練習をやめて、彼女を見ていた。釘づけにされた視線の先のパワームーバーは、おしりを上げ始めると同時に頭を下げはじめて、前屈の姿勢になったかと思うと、また逆立ちをして、頭から沈みこませて胸を床に滑らせる。
「のんちゃん、あれなに?」
奈緒が興味津々で訊くと、暖乃は「ん? シャチ」とそっけなく答える。
獅子奮迅した様子で立ち上がった奈緒は前屈し、誰も見ていない間に、ころりとでんぐり返しをした。大きな衝撃音がして、みんなが顔を向けた時には、でんぐり返しに失敗して、受け身の取れない右側から床に叩きつけられていた。
「大丈夫?」
慌てて駆け寄る暖乃の二の腕を掴んで、奈緒がノイズ混じりの声を震わす。
「じっぱいじた」
高いところから落ちたハムスターみたいな顔をして、死んだふり。それを見た暖乃にほっぽり出された挙句に練習に戻られてしまったこの子は、すべった芸人のように痛々しい姿で放置された。
「露出下げなよ。ブレイクダンスにそんなイメージないよ」
「そんなことないよ。人それぞれだもん。それにすんごい体力使うんだよ、ブレイクって。すぐ体温上がって暑くなっちゃうんだから、このくらいがちょうどいいのよ」
すると、奈緒がかりんとうの袋を持ってきて務に差し出し、にこやかに微笑む。
「確 か に、この部屋 寒いのに、ノンちゃん寒 そう じゃ な く て、あらーって思った。わ た し 寒い の に」
「成瀬は、バウンズしかしてないからでしょ」暖乃がぶっきらぼうに答える。
「でも疲れた。だから休もう。わたしはお昼寝する……かな?」
「しないよ」後ろから魚子が言った。「ほら練習続けなよ。首のアイソ出来てないじゃん」
「はぁあい」奈緒はしぶしぶ練習に戻っていく。
しばらくして、エナジードリンクのライデンを飲み干した魚子は、逆立ちの練習に移行した。何度も逆立ちを繰り返しては、バランスを維持できなくて前転をしたり、急角度のブリッヂに持ち込んだり、不意に腕立てをするように腕をたたんで身を沈め、地面すれすれで頭を上げて胸を滑らせたり上げたりを繰り返す。
バウンズをしていたはずの奈緒は、いつの間にか練習をやめて、彼女を見ていた。釘づけにされた視線の先のパワームーバーは、おしりを上げ始めると同時に頭を下げはじめて、前屈の姿勢になったかと思うと、また逆立ちをして、頭から沈みこませて胸を床に滑らせる。
「のんちゃん、あれなに?」
奈緒が興味津々で訊くと、暖乃は「ん? シャチ」とそっけなく答える。
獅子奮迅した様子で立ち上がった奈緒は前屈し、誰も見ていない間に、ころりとでんぐり返しをした。大きな衝撃音がして、みんなが顔を向けた時には、でんぐり返しに失敗して、受け身の取れない右側から床に叩きつけられていた。
「大丈夫?」
慌てて駆け寄る暖乃の二の腕を掴んで、奈緒がノイズ混じりの声を震わす。
「じっぱいじた」
高いところから落ちたハムスターみたいな顔をして、死んだふり。それを見た暖乃にほっぽり出された挙句に練習に戻られてしまったこの子は、すべった芸人のように痛々しい姿で放置された。
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