FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

第四十五話 ポジション

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 一夜が明けた書道教室では、昨日のやり取りが嘘のような、いつも通りの練習風景が繰り返されていた。ウィップスはそれぞれ単独で技の練習にいそしんでいる。奈緒は、昨日のうちにバウンズしながら頷く動作を教えられたが上手くできず、今日も一人で悪戦苦闘していた。唯一変わったことといえば、ウィップスが持ち寄るお菓子コレクションに、奈緒がプチバスケットというミニスーパーで買ってきたかりんとうが加わったことだけ。
 監視役の務が、南の隣の席で目のやり場に困っていた。
 彼の様子に気がついている様子の南は、見て見ぬふりをして何も言わずに奈緒を応援していたが、右前にいるエメラルドグリーンのTシャツを着て三本線の黒いジャージを穿いた魚子をちらちら見やってから、たまりかねてぼやき始めた。
「しっかし、あれだね。あの格好、もう少しなんとかならないものかなぁ。いつもにもましてひどいよ、鳥羽は。逆立ちをするたびにTシャツがはだけて、タンクトップがあからさまに見えるじゃん。白く縁どられたネイビーだから目立つ目立つ」
 つぎにノースリーブでモスグリーンのトップスに白いデニムのボトムスを穿いた暖乃を見て続ける。
「左を見たら深谷は深谷で、へそ丈のチビティだから、シルエットが丸わかりだし」
 中央にいる白いワイシャツに砂色のスラックス姿の奈緒を見やって、
「お父さんのものかな? って見まがえそうな健全な姿の奈緒を見ようにも、その奥には、あんな姿の相沢じゃん。前のボタンを全開にして、なにも下にキャミ着なくてもTシャツでいいのに」
 赤地に黒い格子模様をしたワイシャツの下の黒いカップ付きのキャミを見せつけるかおりは、肩があらわになるたびに、幾重かのクロスバックになった背中がしっとりと見える。なぜだか三人とも、示し合わせたように露出が高い。
 南は言わなかったが、かおりはストレッチ素材らしきスキニーな草色のカーゴパンツの股間を両手で押さえてステップを踏むから、視線が下半身に引き寄せられて釘付けになる。
「そうだ。勉強しよう」
 務が独り言のように言うと、隣で南が呟く。
「このあと塾行くのに勉強しなくても」
「うーん、そうだけど、落ち着かないよ。小沢さんだけいればいいんじゃないかな、僕いなくても。女子五人の中に男子一人っていうのも違和感あるでしょ」
 そう言って、始めたばかりの勉強を取りやめてリュックにかたす。
 二人のやり取りを見て、暖乃が小さく悲鳴を上げた。
「えー? やだぁ、帰らないで、土屋君。小沢だけになったら、なんかやる気そがれる」
 そう言って駆け寄ってリュックを押さえつける。


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