FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🐿️

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「かおりも。かおりも褒めてあげて」暖乃がさらにせがむ。
「かおりも異彩を放ってるよね。古典的なブレイクダンスに終始徹しているのが逆にしぶみを出してる。基礎がしっかりしているし、玄人好みだからジャッジにハズレがないよ。カチッと音楽にはめ続けられるのがすごすぎる。全く外れないし乱れないし、フロアでもそれが崩れないのは圧巻。黒人と見まがえちゃうほどだよ。そういうオーラ出てる。それにジェスチャーで盛り上げるのも上手いよね。相手の番の時にも挑発繰り返して委縮させちゃうし、それでいてやらしくなるほどしいから、観客も不快に思わないで盛り上がってくれるでしょ。そのあと繰り広げられるみんなのすご技のオンパレードが期待を裏切らない。十八番のパターン。あと、小さくて体重軽いのも強みだよね。ショーケースで投げられたり、飛んだり跳ねたりしてもいいと思うけど――」
 続く無言を投げかけられたかおりはヘッドホンを軽く上げ、そっけなく首を傾げる。それでも頬が微かな朱に染まった。
 杏奈が魚子に問う。
「おっきな大会とか出たら? ブロックパーティーからも大会出てないんでしょ。実力すごいのにもったいないと思う。ダンス部創設だって現実味帯びてきたし、所属してみんなと全国目指したりしてもいいと思うよ」
「現状誰が教えるの? 顧問だって経験者いないじゃん? 野口先生が茶道部とかけ持ちだって言うし。踊れる先輩いないから、たぶんあたしたちになるんじゃない? でも今は自分たちの実力を上げたいから、そっちに時間使いたい。それに和気あいあいとするのは趣味じゃないの知ってるでしょ。実力の伴う顧問がいたり、上手な先輩がいたら部活でも違うんだろうけど、初めは絶対遊びの範疇だよ。あたしはこの二人とが性に合ってるし、少ない仲間で切磋琢磨して高めあいたいの。それにほんとは、映画やPVに出てくるような街で、上手いやつに片っ端からバトル仕掛けてのし上がっていってみたい」
 魚子は、くすっと笑って付け加える。
「でもビビっちゃって出来ないかもだけどね」そして顎肘をついて、「かおりだったら平然と出来たりして」と言った。
 暖乃が笑って、そんな彼女を見る。
「東京じゃ、街で踊っているところなんて全然見かけないもんね。探せばあるんだろうけど、大抵どこもダンスと球技は禁止みたいな看板立ってるし。ストリートダンスっていってもストリートで出来ないじゃん?」
「大阪行けば違うんじゃない?」
「でも怖い。わたし生きて帰ってこれなさそう」
「あたしも」





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