FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

第三十二話 根回しの結果

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 十一月最初の木曜日、六時間目に行われたホームルームで、黒板の前に立つ杏奈が、眼前に座るブレザー姿のみんなに言った。
「それでは今度の地域交流会、なににしようか決めようと思うんですけれど……」
 途中で言いよどんで、先生に視線を送る。岡田先生は何食わぬ顔で椅子に座って、生徒たちを見ていた。
「誰か、なにか案はありますか?」
 杏奈が視線をみんなに戻して続けて言うと、窓から二列目二席目の粂川勝が頭を上げる。
「ショートムービーの上映会」
「誰が撮んの?」後ろの毛塚向陽が訊くと、
「ネットの拾う」と答える。
「他に提案は?」
 杏奈が見渡すが、誰も答えない。そればかりか大勢がその意見に傾き始める。やや間を置いて心配そうに先生を見やってから、仕方ないといった感じに言った。
「ちょっと待って、それじゃあ交流にならないよ。わたしたちでなにかやらなきゃ」
「えー、面倒くさい」中央席の田中美紀が声をはる。
「でも、わたしたちだからこその出し物をやらないと」
「それより、ほかのクラスの意向は訊かなくていいの? 合同でしょ、普通」
「それはおいおい。とりあえずわたしたちがなにしたいか決めて、実行委員会に報告するから。みんな意見出し合わないと話し合いにならないよ。なにがしたい?」
 言い終えて見渡す。
「なにもしたくない」どこからか声が返って来た。
 何かを言おうとして言葉を飲み込んだ杏奈が一度まばたきをして、素知らぬ顔で唇を開いた。
「お客さんとして来るのは、近所の保育園や小学校の子供たちなんだから、うちの高校がどれだけ楽しいところか知ってもらういい機会になるし、なによりも部活のためにもなると思うよ」
「なんで?」菅原恵子が訊いた。
 杏奈が、教卓の正面に座る彼女に答える。
「部活が関東大会とか全国大会とかに出場すると、町内会が横断幕作ってくれたり、応援に来てくれたりするでしょ。差し入れしてくれるお店もあるんだし、日頃の感謝を形に表さないと」




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