FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🍭

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「お食事会したい」奈緒が南に言った。
「食べてばかり」
「どうして? いいじゃない。デイリーズ[カフェ&レストランの名前]に行こー、おー」
「でも外食なんて贅沢だよ。お小遣いは節約しなきゃ」
「じゃあ、杏奈ちゃんちでする。わたしが 作るよ」
「「「絶対ダメ」」」みんなの声が揃う。
 ふと気がついて、南が言った。
「そういえば、ここ最近ずっとサンドウィッチだね、奈緒の」
「うん。手で食べられるから、楽だから、お弁当やめた。サンド ウィッチおい しい」
「でもナチュラルハイソンのばかりじゃ飽きるでしょ」
「北千束に行くまでにあ る から。でも 時々、なな まーと とかも買うよ」
「どのサンドウィッチが一番おいしい?」
 奈緒が考え込む。
「分かんない。甘いやつ」
「ふーん。今はなに食べてるの?」
「なんだろ、これ」
 サンドウィッチを見ると、南ものぞき込んで教える。
「ポテサラだね」
「あら、そうか。最後に取っておこうと思ったのに、食べちゃった。だめだぁ。味 が、なに 食べ たか 分かんない」
 首を傾げる奈緒を笑って慰めてから、南がちょっと残念そうな顔をした。
「奈緒のお母さんの手作りおいしい。また交換したい」
「南ちゃんの手作りお弁当も おいしいよっ」
「ここは、杏奈の手作りで」
 春樹が話題を戻すと、期待された彼女が不満そうに言った。
「ちょっと待って。また話が脱線してる。ちゃんと今後のこと話し合わないと」
「うーん、でもこれで……」
 務の口を塞いで、杏奈が続ける。
「だめ。高木君と小沢さんと成瀬さんに任せていたら、おしゃべりで終わっちゃう。ちゃんと委員長と副委員長のわたしたちで話し合うから――」
 ふと何かを見つけたように宙の一点を見ると一呼吸おいて、ひっくり返したおもちゃ箱のような笑顔を振りまいて、みんなへと熱視線を浴びせる。
「そうだ。わたし、いい考え思いついちゃった」
「なに?」南が問う。
「ひみつ」
 そう答えて立ち上がった彼女は、満面の笑みを奈緒に向けた。
「成瀬さん期待していて。わたしが絶対にあなたをヒロインにしてあげるから」
 そう言って、塔屋へと駆けて行く。
 思わず奈緒は笑顔をこぼす。
「えへへー、うれしいなぁ。杏奈ちゃんが、うれしいなぁ」
 みんなが唖然と杏奈を見送る中、奈緒だけは頬をほころばせながら、サンドウィッチをパクリとしていた。

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