FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🐿️

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「まあいいわ。これお砂糖。好きに使ってね。ミルクもあるから」
 静寂を破るようにそう言った杏奈は、桃色の牡丹がえがかれた白いシュガーポットに指を添えて、ガラステーブルの真ん中に滑らせた。
「うわあ」奈緒の眉と口角が上がる。
 だが、シュガーポットから柔らかそうな指が離れると同時に、今度は南の指に押し戻された。
「だめだめ。成瀬に好きに入れさせたら、二杯も三杯も四杯も五杯も入れちゃうんだから」
「そうなの?」杏奈が驚いて南を見た。
「分かんないけど、絶対そう」
「わ た し、そんなにいれ ないもん」
 否定する奈緒に、南が言葉を返す。
「じゃあ、何杯入れるの?」
「んーとね、三杯か四杯」
「大盛で、でしょ。それ五、六杯分だよ」
「小盛で多いな」春樹が呟く。
「じゃあ、これくらいね」
 杏奈が言って、金のシュガースプーンに砂糖を半分盛って、奈緒の紅茶に入れた。
「あと二杯」
 杏奈が従う。
 ちょぴっとだけだったので、すかさず奈緒が指示を飛ばす。
「大盛で、に は い」
「だめ、虫歯になっちゃうから」南が断る。「砂糖は体に悪いんだぞ。血管だって傷めるんだから」と付け加えた。
「ん~っ」
 奈緒は不満を露わにしたが、しぶしぶ諦めた。しかし直後に気を取り直して叫ぶ。
「わたし これから食べる」




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