FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🐿️

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 言い終えてもなお意気が収まらない奈緒が続ける。
「制服を着る ために 学校に 来るん だから、好きなのを 着ないと 来る意味ない じゃん。先生も、大変 だったらジャージで来ていいよって 言ってくれた け れ ど も、それ じゃあ つまらなさすぎよぅ」
「ああ、なるほど、一理あるね」
 笑う南に顔を向けて、この子が続ける。
「小沢さん、左に立って。そうじゃ ないと 見え ない から」
「ああ、そうなの。これでいい?」
 南が場所を変えると、奈緒は満面の笑顔で「うん」と答える。そして気がついたように言った。
「そういえば小沢さん、なんで放課後残っていたの?」
「え、うん、ちょっとね。バイトも休みだったし」
「帰宅部なのに……」
「いいじゃん、気にしない気にしない」
 訝しげに首を傾げて疑問の眼差しを向ける奈緒を前にして、彼女が目を泳がせる。
「あ、この間羽鳥が言っていたこと、真に受けてる? ほら、わたしが見返りになんとかってやつ」
「なんだっけ? 忘れた」
「ふーん。まあいいや。実際違うしね。ほら、これ見て」
 そう言って、黒いリュックにつけた缶バッチを見せる。二等親で可愛い男の子の顔が描いてあった。
「これ、バンドのメンバー。このバンド命。わたしこういうのが好き」
 奈緒も自慢げにリュックを見せて、猫のぬいぐるみを揺らす。
「これモモタ。わたし、モモタ命。あとマリーちゃんと マイちゃん。今度“ね じゅ み”の チュウ太 買って もらうの」
「ふーん、お子様だね」
 南が笑うと、奈緒も笑った。
 彼女は、トンネルの角にある横断歩道へと歩みつつ左右を見てから、瞳だけでぬいぐるみを見る。
「昔から好きなの、そういうの?」
「ううん。リ ハ ビ リ で 見 て た か ら。だから 好きに なった」
「ああそうか、体操クラブもリハビリの一環? すごく上手に出来てたよ。みんなの中で一番かわいかった。平均台には上らなかったけど、本当に舞台の上で舞っているようだった。部活、演劇部に入ったら?」
「ううん。部活はいいの。補習もあるし、センターとかにも行くから 時間がない。それよりも、小沢 さんは 卓球どうだった?」
「わたし? わたし、もうすごかったよ。スマッシュ連発で、もう向かうところ敵なし」
「嘘つきだ。だって七時間目の途中からバスケットやってた で しょ」
「う、見てたの?」




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