42 / 312
一年生の二学期
第十四話 表情の表側
しおりを挟む
務が言い終わるのを待って、南が口を開いた。
「確かに見えないいじめってあるもんだよね。直接的ないじめしかいじめって思えないけど。隠れてするにしても、校舎裏に呼び出すとかさ。顔はばれるから殴らないとかするだけでもいじめがないような雰囲気は醸し出せるもんね。日常のやり取りに隠れちゃうと、もう誰も気づけないのかも。だって横綱のこと今でもいじめていたって思えないし、本人だって思ってないかも。でもわたしと横綱の関係を横に置いて、やり取りだけを見ると、やっぱりいじめだって思えてくる。横綱って肌白くって、わたし、肉まんみたいでおいしそうだって思って、豚のひき肉詰まっているんじゃないのって笑って言ったことがある。おいしく味付けしてあるからご賞味あれ、なんてエロっぽく手招きして返事を返してきたけど、冷静に考えるとアウトかも」
そう言い終えて考え込む。
みんなは続きを待ったが、南は話を続けずに奈緒に訊いた。
「わたしはウィップスのことしか見ていなかったけれど、実際どうなの?」
「どおって?」逆に聞き返す。
「会話の中で傷ついたとか。変なスキンシップがあったとか」
奈緒は考えて杏奈をちらりと見る。そして南を見て言った。
「わ た し は よく 分からない」右耳と左耳のそばに左手を行き通わせながら、「だって、こっちからこうだから」と続ける。「みんなは 言うのが 速い か ら、あらあらあらっていう間に、ちょっちょっちょ、ちょっちょっちょってなっちゃって、もうだめ。それにわたしが出来ないのが悪いの だから、みんなに迷惑かけ られ ないし。だから、わたしはこうやって学校に来て、サンドウィッチを食べるのが 楽 し みっ」
最後のお楽しみにとっておいた、いちごのカスタード入りホイップサンドを一口食んだ。
「そうだよね」杏奈が口を開く。「学校生活なんて三年間しかないし、その中で一緒に過ごしている人なんて、ごく一握りじゃない。たくさんいるように見えるけど、ほとんど授業でとか部活でとか、強制的にだもん、自分の意思じゃないし。こうやって楽しく過ごせる場があるだけで違うよね」
「心のオアシスだ」奈緒が言って、「あれ、違うかな?」と首を傾げる。
その左隣で、南が「あってる」と教えた。
「確かに見えないいじめってあるもんだよね。直接的ないじめしかいじめって思えないけど。隠れてするにしても、校舎裏に呼び出すとかさ。顔はばれるから殴らないとかするだけでもいじめがないような雰囲気は醸し出せるもんね。日常のやり取りに隠れちゃうと、もう誰も気づけないのかも。だって横綱のこと今でもいじめていたって思えないし、本人だって思ってないかも。でもわたしと横綱の関係を横に置いて、やり取りだけを見ると、やっぱりいじめだって思えてくる。横綱って肌白くって、わたし、肉まんみたいでおいしそうだって思って、豚のひき肉詰まっているんじゃないのって笑って言ったことがある。おいしく味付けしてあるからご賞味あれ、なんてエロっぽく手招きして返事を返してきたけど、冷静に考えるとアウトかも」
そう言い終えて考え込む。
みんなは続きを待ったが、南は話を続けずに奈緒に訊いた。
「わたしはウィップスのことしか見ていなかったけれど、実際どうなの?」
「どおって?」逆に聞き返す。
「会話の中で傷ついたとか。変なスキンシップがあったとか」
奈緒は考えて杏奈をちらりと見る。そして南を見て言った。
「わ た し は よく 分からない」右耳と左耳のそばに左手を行き通わせながら、「だって、こっちからこうだから」と続ける。「みんなは 言うのが 速い か ら、あらあらあらっていう間に、ちょっちょっちょ、ちょっちょっちょってなっちゃって、もうだめ。それにわたしが出来ないのが悪いの だから、みんなに迷惑かけ られ ないし。だから、わたしはこうやって学校に来て、サンドウィッチを食べるのが 楽 し みっ」
最後のお楽しみにとっておいた、いちごのカスタード入りホイップサンドを一口食んだ。
「そうだよね」杏奈が口を開く。「学校生活なんて三年間しかないし、その中で一緒に過ごしている人なんて、ごく一握りじゃない。たくさんいるように見えるけど、ほとんど授業でとか部活でとか、強制的にだもん、自分の意思じゃないし。こうやって楽しく過ごせる場があるだけで違うよね」
「心のオアシスだ」奈緒が言って、「あれ、違うかな?」と首を傾げる。
その左隣で、南が「あってる」と教えた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
DEVIL FANGS
緒方宗谷
ファンタジー
下ネタ変態ファンタジー(こども向け)です。
主人公以外変態しか出てきません。
変態まみれのちん道中。
㊗️いつの間にか、キャラ文芸からファンタジーにジャンル変更されてたみたい。ーーてことは、キャラの濃さより内容が勝ったってこと?
ローゼ万歳、エミリアがっくし。
でも、自信をもって下ネタ変態小説を名乗ります。
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
思春期ではすまない変化
こしょ
青春
TS女体化現代青春です。恋愛要素はありません。
自分の身体が一気に別人、モデルかというような美女になってしまった中学生男子が、どうやれば元のような中学男子的生活を送り自分を守ることができるのだろうかっていう話です。
落ちがあっさりすぎるとかお褒めの言葉とかあったら教えて下さい嬉しいのですっごく
初めて挑戦してみます。pixivやカクヨムなどにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる