愛するということ

緒方宗谷

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21.島根隆弘と水野彩絵

3.ほのぼののほほん

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「よく、中学生みたいだねって言われます」彩絵が島根に言った。
「中学生? 小学生の間違いじゃないの? 100歩譲っても、中学校に上がりたての小学生だ」
「うふふ、それ小学生じゃありませんよ」
 なんか小動物みたいだと島根は思ったが、口を開くと同時に、印象を伝えるにもっと適切な別の言葉を思いついた。
「ちっちゃい! なんか妖精みたい、ホントに人間? どこ住んでんの?」
「えー? 国立デス」
「森じゃないんだ」
「うふふっ、違いまっす」
 終始和やかに、それでいてどうでも良い会話が続く。
「あ、そうだ、先輩」と、彩絵が話題を変えた。「彼氏紹介してくださいよ。受験も終わって羽伸ばしたいんですけど、彼氏いないんですっ」
 そしてニッコリと笑う。
 不純異性交遊なんて絶対ダメって言いたいお年頃に見える。どう見ても思春期で男子が嫌いなはずだ。
 島根は言った。
「LOVEとか大丈夫なの? 門限5時でしょ? お家でアニメ見なきゃ」
「うふふ、大丈夫ですよ、カモンオーライです」
 カモンオーライ? 島根の頭には、バックオーライしか思い浮かばない。
(彼氏が後ろ向きで口説いて来るのか? 天然だ)←島根が間違っている。
 間髪入れずに島根が言った。
「て言うか、制服じゃん! 今気付いたー」
 モコモコした大きなフードのついたウールのショートコートの下には、紺色のブレザーと赤いリボンが見えた。視線を落とすとチェックのスカートを穿いた内またの素足が見える。
「馬子にも衣装ってこういうことか」島根が頓狂に呟く。
「うふふー、ひどーい」
 童顔でも大人びた服を着て大人っぽく見えるとか、良い服過ぎて似合わないとかは良くある話。だが、着ている服が本人の見た目に引きずられて子供服に見えるなんて初めてだと島根は思った。
「可愛いー、うふふー」(ぶりっこ島根)
「うふふー、やったぁ」(彩絵)
「なんなの、???、ばっかじゃないの!?」(ドン引き美由紀)
「うふふー」(島根)
「うふふー」(彩絵)
「壊れた! 島根が壊れたー」(たじろぎ美由紀)
「うふふー」(島根)
「うふふー」(彩絵)
 変な奴らの出会いだった。

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