71 / 192
21.島根隆弘と水野彩絵
3.ほのぼののほほん
しおりを挟む
「よく、中学生みたいだねって言われます」彩絵が島根に言った。
「中学生? 小学生の間違いじゃないの? 100歩譲っても、中学校に上がりたての小学生だ」
「うふふ、それ小学生じゃありませんよ」
なんか小動物みたいだと島根は思ったが、口を開くと同時に、印象を伝えるにもっと適切な別の言葉を思いついた。
「ちっちゃい! なんか妖精みたい、ホントに人間? どこ住んでんの?」
「えー? 国立デス」
「森じゃないんだ」
「うふふっ、違いまっす」
終始和やかに、それでいてどうでも良い会話が続く。
「あ、そうだ、先輩」と、彩絵が話題を変えた。「彼氏紹介してくださいよ。受験も終わって羽伸ばしたいんですけど、彼氏いないんですっ」
そしてニッコリと笑う。
不純異性交遊なんて絶対ダメって言いたいお年頃に見える。どう見ても思春期で男子が嫌いなはずだ。
島根は言った。
「LOVEとか大丈夫なの? 門限5時でしょ? お家でアニメ見なきゃ」
「うふふ、大丈夫ですよ、カモンオーライです」
カモンオーライ? 島根の頭には、バックオーライしか思い浮かばない。
(彼氏が後ろ向きで口説いて来るのか? 天然だ)←島根が間違っている。
間髪入れずに島根が言った。
「て言うか、制服じゃん! 今気付いたー」
モコモコした大きなフードのついたウールのショートコートの下には、紺色のブレザーと赤いリボンが見えた。視線を落とすとチェックのスカートを穿いた内またの素足が見える。
「馬子にも衣装ってこういうことか」島根が頓狂に呟く。
「うふふー、ひどーい」
童顔でも大人びた服を着て大人っぽく見えるとか、良い服過ぎて似合わないとかは良くある話。だが、着ている服が本人の見た目に引きずられて子供服に見えるなんて初めてだと島根は思った。
「可愛いー、うふふー」(ぶりっこ島根)
「うふふー、やったぁ」(彩絵)
「なんなの、???、ばっかじゃないの!?」(ドン引き美由紀)
「うふふー」(島根)
「うふふー」(彩絵)
「壊れた! 島根が壊れたー」(たじろぎ美由紀)
「うふふー」(島根)
「うふふー」(彩絵)
変な奴らの出会いだった。
「中学生? 小学生の間違いじゃないの? 100歩譲っても、中学校に上がりたての小学生だ」
「うふふ、それ小学生じゃありませんよ」
なんか小動物みたいだと島根は思ったが、口を開くと同時に、印象を伝えるにもっと適切な別の言葉を思いついた。
「ちっちゃい! なんか妖精みたい、ホントに人間? どこ住んでんの?」
「えー? 国立デス」
「森じゃないんだ」
「うふふっ、違いまっす」
終始和やかに、それでいてどうでも良い会話が続く。
「あ、そうだ、先輩」と、彩絵が話題を変えた。「彼氏紹介してくださいよ。受験も終わって羽伸ばしたいんですけど、彼氏いないんですっ」
そしてニッコリと笑う。
不純異性交遊なんて絶対ダメって言いたいお年頃に見える。どう見ても思春期で男子が嫌いなはずだ。
島根は言った。
「LOVEとか大丈夫なの? 門限5時でしょ? お家でアニメ見なきゃ」
「うふふ、大丈夫ですよ、カモンオーライです」
カモンオーライ? 島根の頭には、バックオーライしか思い浮かばない。
(彼氏が後ろ向きで口説いて来るのか? 天然だ)←島根が間違っている。
間髪入れずに島根が言った。
「て言うか、制服じゃん! 今気付いたー」
モコモコした大きなフードのついたウールのショートコートの下には、紺色のブレザーと赤いリボンが見えた。視線を落とすとチェックのスカートを穿いた内またの素足が見える。
「馬子にも衣装ってこういうことか」島根が頓狂に呟く。
「うふふー、ひどーい」
童顔でも大人びた服を着て大人っぽく見えるとか、良い服過ぎて似合わないとかは良くある話。だが、着ている服が本人の見た目に引きずられて子供服に見えるなんて初めてだと島根は思った。
「可愛いー、うふふー」(ぶりっこ島根)
「うふふー、やったぁ」(彩絵)
「なんなの、???、ばっかじゃないの!?」(ドン引き美由紀)
「うふふー」(島根)
「うふふー」(彩絵)
「壊れた! 島根が壊れたー」(たじろぎ美由紀)
「うふふー」(島根)
「うふふー」(彩絵)
変な奴らの出会いだった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?
ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。
しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。
しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる