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17.尾行
4.リアル
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国分寺駅に戻った柚奈と萌愛は、カラオケ店に入った。
いつものことだが、アニメソングのオンパレードだ。もともとアニメ好きの柚奈と恋愛ゲームにどハマりの萌愛が一緒にカラオケに行くと、アニソンしか歌わない。
相手が歌っている時は全く関心を示さず、次歌う曲を物色する。相手が全く聞いていなくても、全然気にしない。好きな歌を時間いっぱい歌い続けるだけだ。
少し低めの声の萌愛は、あまり可愛い歌が似合わない。イケメンばかりが出てくるアプリのテーマソングや、2.5次元のミュージカルにもなっている人気アニメの主題歌を歌う。
対して柚奈はアニメ声で、可愛いアニソンを歌うことが多い。主人公がアイドルになるやつや魔法使いとしてクラスメートの手助けをするやつだ。変身願望が強く、昔からある美少女戦士系のアニメが大好きだから、新旧問わずそれ系の歌ばかりを歌う。
一度時間を延長した後しばらく歌っていると、再び確認の電話がきた。時計を見ると5時半過ぎ、そろそろ家に帰らないとやばい。親が怒るというわけではない。繁華街に不良が出始めるので、早めに退散するのだ。
すっかり陸のことは忘れていた。楽しく1日遊んで、後は帰って夕食を食べてお風呂に入って寝るだけだった。そうであるはずなのに、柚奈はまた見つけてしまった。
「上条君?」
ゲームセンターの入り口付近に設置されたUFOキャッチャーをしている。誰だろう、あの女の子。
「2年じゃないね」萌愛が言った。
とても仲が良さそうだ。今日見た3人の中で一番仲が良さそうに見える。もしかしたら、彼女が本命ではないか、と2人は思った。抱き付いた。景品を取った陸に、女の子が抱き付いた。
同じ学校の子だろうか。不良? 髪もソバージュ(正確にはゆるふわパーマ)がかっているし、短いスカートに黒いブーツ、ギャル系に見えなくもない。柚奈は、陸にはあの子は似合わない、と思った。陸にはヤンキー要素が無い。
柚奈と萌愛は、2軒隣の本屋の店先で立読みをするふりをしながら、2人がこの後どうするのか監視することにした。
彼らの距離はすごく近い。腕を組んでいるというより、女の子が全身を使って腕に絡みついている、といった感じだ。胸押し付け過ぎ。見ている方がドキドキしてしまう。絶対に付き合っている。
陸と女の子は、さっきまで柚奈達がいたカラオケ店に入っていった。
柚奈も萌愛も目を丸くして絶句だ。しばらくの間、2人は口をあんぐりさせたまま、店を見ていた。もう既に日は暮れている。こんな時間に2人で遊んでいるなんて、付き合っているとしか思えなかった。
「あいつリア充満喫しすぎ‼‼」
激怒する萌愛に柚奈が言った。
「そこね? あなたそこが羨ましいのね?」
2次元好きの萌愛ちゃんも、リアルに憧れがあったようです。
いつものことだが、アニメソングのオンパレードだ。もともとアニメ好きの柚奈と恋愛ゲームにどハマりの萌愛が一緒にカラオケに行くと、アニソンしか歌わない。
相手が歌っている時は全く関心を示さず、次歌う曲を物色する。相手が全く聞いていなくても、全然気にしない。好きな歌を時間いっぱい歌い続けるだけだ。
少し低めの声の萌愛は、あまり可愛い歌が似合わない。イケメンばかりが出てくるアプリのテーマソングや、2.5次元のミュージカルにもなっている人気アニメの主題歌を歌う。
対して柚奈はアニメ声で、可愛いアニソンを歌うことが多い。主人公がアイドルになるやつや魔法使いとしてクラスメートの手助けをするやつだ。変身願望が強く、昔からある美少女戦士系のアニメが大好きだから、新旧問わずそれ系の歌ばかりを歌う。
一度時間を延長した後しばらく歌っていると、再び確認の電話がきた。時計を見ると5時半過ぎ、そろそろ家に帰らないとやばい。親が怒るというわけではない。繁華街に不良が出始めるので、早めに退散するのだ。
すっかり陸のことは忘れていた。楽しく1日遊んで、後は帰って夕食を食べてお風呂に入って寝るだけだった。そうであるはずなのに、柚奈はまた見つけてしまった。
「上条君?」
ゲームセンターの入り口付近に設置されたUFOキャッチャーをしている。誰だろう、あの女の子。
「2年じゃないね」萌愛が言った。
とても仲が良さそうだ。今日見た3人の中で一番仲が良さそうに見える。もしかしたら、彼女が本命ではないか、と2人は思った。抱き付いた。景品を取った陸に、女の子が抱き付いた。
同じ学校の子だろうか。不良? 髪もソバージュ(正確にはゆるふわパーマ)がかっているし、短いスカートに黒いブーツ、ギャル系に見えなくもない。柚奈は、陸にはあの子は似合わない、と思った。陸にはヤンキー要素が無い。
柚奈と萌愛は、2軒隣の本屋の店先で立読みをするふりをしながら、2人がこの後どうするのか監視することにした。
彼らの距離はすごく近い。腕を組んでいるというより、女の子が全身を使って腕に絡みついている、といった感じだ。胸押し付け過ぎ。見ている方がドキドキしてしまう。絶対に付き合っている。
陸と女の子は、さっきまで柚奈達がいたカラオケ店に入っていった。
柚奈も萌愛も目を丸くして絶句だ。しばらくの間、2人は口をあんぐりさせたまま、店を見ていた。もう既に日は暮れている。こんな時間に2人で遊んでいるなんて、付き合っているとしか思えなかった。
「あいつリア充満喫しすぎ‼‼」
激怒する萌愛に柚奈が言った。
「そこね? あなたそこが羨ましいのね?」
2次元好きの萌愛ちゃんも、リアルに憧れがあったようです。
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