愛するということ

緒方宗谷

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16.旅行3日目 

1.煌めきの素肌

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 雲一つない晴天。今日は、今年一番の真夏日らしい。灼熱の太陽に照らされる肌がチリチリと焼かれている。
 3人が待ちに待った海水浴の日だ。有紀子と加奈子は、この日のために新しい水着を買っていた。陸を悩殺するために選んだ渾身の一着だ。
 有紀子は白の水着で、背中が大胆に開いている。恥ずかしいので露出は抑えたかった。なのに加奈子からビギニにしろ、と迫られて、すったもんだの末背中が大胆なデザインのモノキニになった。
 加奈子は、薄いオレンジに縁どられた白のビギニ。陸は唖然とした。結構露出高くて大胆すぎる。もっと、ボーイッシュな水着で来る、と思っていた。予想ではボーイレッグかタンキニで来ると睨んでいたのに。まさか、ここまでセクシーな格好で現れるとは。背中と腰で紐を結ぶやつだ。ほぼ裸。あんなのでほどけないか心配しないのだろうか。
 制服の有紀子はお淑やかなイメージだから、陸は見惚れてしまった。肌の艶やかさにドキッとする。有紀子はワンピースで来る、と思っていたからなおのことだ。素肌のくびれに目を奪われる。それに、思ったより胸あるんだな、と思った。
「やだ、陸君そんなに見ないでよ」陸の視線に耐えきれず、有紀子が恥ずかしげに言った。
「あ、わりぃ、とてもきれいだったから、つい……」
 学校のプールは始まっていたが、3人ともまだ入っていない。だから、お互いの水着姿を見るのは初めてだ。
 下着を見られるのは恥ずかしいくせに、下着とほぼ同じ水着を大衆の面前に晒せる女の子の気がしれない。女でなくて本当に良かった、と陸は思った。でも綺麗だ。2人共とても可愛い、と同時に思う。
 陸はちゃんと胸筋があって、お腹も6パックだ。鍛えているわけではないから、細マッチョというほどではない。それでも、男子の体格を目の当たりにした有紀子は、陸に見惚れている。とても力強そうな体に、抱きしめられてみたい、と密かに思った。
 加奈子はというと、「さすが男子」と言いながら、ボスボスと陸のお腹を殴っている。見ている(考えている)ところが違う、と有紀子は思った。
 昔からそうだ。プールで男子を見ると、筋肉のつき具合を批評する。「アイツにはまだ勝てる」とか言っていたっけ。
 加奈子は以前、恵まれた体をフルに使わなければ、と言ったことがある。それを思い出した有紀子は、(使いすぎだよ、別の意味で)と心でつっこむ。
「触ってごらんよ、ほら、触ってごらんよ」
 加奈子に促されて、有紀子は渋々(という風を装いながら)触ってみた。湯煙の向こうに一度見てはいたが、太陽の下で見てもっと興奮する。触ってみて石でも入っているんじゃないかと思った。
 それを見ていた2人は、有紀子は顔に出るタイプだと思った。すっごく神剣な眼差しで目を見開き、口をへの字にして陸のお腹の筋肉を揉んでいた。

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