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15.旅行2日目
2.口ではそう言っても
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「わ、わ、わ、ほんとに来るなよ」陸が叫ぶ。
そこには手拭い一枚を腰に巻く陸の姿があった。平然と最初に覗いたのは加奈子だ。
「ほほー、なかなかよい体をしていますなー、陸君。
ほらほら、有紀子もご覧なさいよ」と、加奈子は有紀子を覗きに引き込む。
「誘うなよ! 覗きを‼」と、つっこむ陸。
言われるがままに仕方なく、と言った体(てい)で、加奈子と一緒の岩に登った有紀子は、恐る恐る竹の塀から顔を出した。目だけ。
「わ、すごい腹筋」
スポーツはやっていないと言っていたが、結構鍛えられている。細マッチョというほどではないが、しっかりとゴツゴツしていた。腕の力こぶも結構あって、学校のプールで見る男子とはだいぶ違う。
陸は恥ずかしくて脱衣所に行こうかと思ったが、大分距離がある。後ろを向けばお尻の割れ目が丸見えだ。恥ずかしくてそれは出来ない。仕方なく湯船につかって、しっしっ、と湯船の飛沫をかけた。
有紀子が呟くように言った。
「陸君、結構育っているのね」
「有紀子、お前な、恥ずかしそうに目しか出していないわりに、何でそんながっつりと食い入るように見ているんだよ‼」陸が慌てた様子の声でつっこむ。
女の子はそういうものなのです。例えば、誤って男子が着替えているところに出くわした時、「キャー」と叫びながら顔を覆っても、意外に指と指の隙間からガン見しているものなのです。有紀子は心でそう答える。
有紀子の中の陸は、いつまでたっても7歳のままだったが、現実は違う。有紀子は、陸の成長に戸惑いながらも、想い出の陸に対してとは違う興味が湧いた。
「まあ、ご褒美にいいものを授けて進ぜよう」と、加奈子がにやける。
「きゃ、何よ、加奈子」
笑いながら加奈子が、有紀子の肌をナデナデする。しかもどこを触っているのか、実況付きだ。有紀子は恥ずかしくなって、急いで岩を下りると湯船に浸かった。
相変わらず、加奈子は覗きっぱなしで言う。
「陸君、混浴が無くて残念だね、私、陸君とだったら混浴してもよかったよ」
どう答えればいいのだろう。恥ずかしげもなくよくそんなことが言えるものだと陸は思った。見上げると、加奈子は「シシシシシ」と笑っている。
女湯では、いつの間にか知らないおばさんがジッと有紀子達をを見ていた。有紀子は会釈をして、手招きで加奈子を呼んだ。さすがに他人の前で男風呂を覗いてはしゃいでいるわけにもいかず、加奈子は静かになった。
「それじゃー、陸君、私達出るからね」と有紀子が言った。
「おう、気を付けてな」
有紀子の声に答えた陸の言葉、「気をつけてな」。外を出ずに部屋まで行けるから危険な道のりは無いのだが、有紀子は嬉しかった。
そこには手拭い一枚を腰に巻く陸の姿があった。平然と最初に覗いたのは加奈子だ。
「ほほー、なかなかよい体をしていますなー、陸君。
ほらほら、有紀子もご覧なさいよ」と、加奈子は有紀子を覗きに引き込む。
「誘うなよ! 覗きを‼」と、つっこむ陸。
言われるがままに仕方なく、と言った体(てい)で、加奈子と一緒の岩に登った有紀子は、恐る恐る竹の塀から顔を出した。目だけ。
「わ、すごい腹筋」
スポーツはやっていないと言っていたが、結構鍛えられている。細マッチョというほどではないが、しっかりとゴツゴツしていた。腕の力こぶも結構あって、学校のプールで見る男子とはだいぶ違う。
陸は恥ずかしくて脱衣所に行こうかと思ったが、大分距離がある。後ろを向けばお尻の割れ目が丸見えだ。恥ずかしくてそれは出来ない。仕方なく湯船につかって、しっしっ、と湯船の飛沫をかけた。
有紀子が呟くように言った。
「陸君、結構育っているのね」
「有紀子、お前な、恥ずかしそうに目しか出していないわりに、何でそんながっつりと食い入るように見ているんだよ‼」陸が慌てた様子の声でつっこむ。
女の子はそういうものなのです。例えば、誤って男子が着替えているところに出くわした時、「キャー」と叫びながら顔を覆っても、意外に指と指の隙間からガン見しているものなのです。有紀子は心でそう答える。
有紀子の中の陸は、いつまでたっても7歳のままだったが、現実は違う。有紀子は、陸の成長に戸惑いながらも、想い出の陸に対してとは違う興味が湧いた。
「まあ、ご褒美にいいものを授けて進ぜよう」と、加奈子がにやける。
「きゃ、何よ、加奈子」
笑いながら加奈子が、有紀子の肌をナデナデする。しかもどこを触っているのか、実況付きだ。有紀子は恥ずかしくなって、急いで岩を下りると湯船に浸かった。
相変わらず、加奈子は覗きっぱなしで言う。
「陸君、混浴が無くて残念だね、私、陸君とだったら混浴してもよかったよ」
どう答えればいいのだろう。恥ずかしげもなくよくそんなことが言えるものだと陸は思った。見上げると、加奈子は「シシシシシ」と笑っている。
女湯では、いつの間にか知らないおばさんがジッと有紀子達をを見ていた。有紀子は会釈をして、手招きで加奈子を呼んだ。さすがに他人の前で男風呂を覗いてはしゃいでいるわけにもいかず、加奈子は静かになった。
「それじゃー、陸君、私達出るからね」と有紀子が言った。
「おう、気を付けてな」
有紀子の声に答えた陸の言葉、「気をつけてな」。外を出ずに部屋まで行けるから危険な道のりは無いのだが、有紀子は嬉しかった。
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