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二人の希望

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「おギャー おギャー」

あ・・ おれ ご近所トラブルで隣人に刺されたはずじゃ・・・。

ここはどこだ?
目がかすんでぼやけて見えるが 嬉しそうに俺を祝福する男女の声と体の肌にはゴツゴツとした巨大な手の感覚があった。

ぬゆま湯で何度も体を洗われているうちに俺は赤ん坊の姿になっている事に気が付いた。
視力も回復してくると 目の前にはおじいさんとおばあさんがいて年甲斐もなく若い父と母のような顔をしている。
さっきの ゴツゴツとした手の感覚はおじいさんのものだったのか。

「おじいさん? そろそろ いいでしょう?」
「ああ ワシらはこの子の名前を考えることにしよう。この子を見ていると名前が山のように浮かんできたわい」

二人はクスクスと楽し気に談笑をするとおばあさんは 俺を抱き上げてこう 言葉を発した。
「ホーリーシールド!!」

え?

俺は光のカプセルに包まれる。
それにしても なんとも 心地のいい気持なんだ。
まるで 二人の愛を一身に受けているようなそんな 暖かさを感じた。

続いておばあさんは「リカバリー」と唱えると 寝床から起き上がり後にわかるが台所のある奥の部屋へ二人で入って行った。
本当に楽しそうな談笑の声が聞こえる。
俺が生まれたときも 両親はこんな感じだったのだろうか?

というか 俺は今は赤ん坊でそして おばあさんから生まれたようだ。
俺は 自分のもみじの手を見つめた。
つまり 二度目の人生だ。
どう生きようか?・・・ 俺は考えた。

あははは

ふふふふ

そうなのじゃ

おじいさんったら ふふふ

奥の部屋から楽しそうな声が聞こえてくるな。
おじいさんとおばあさんだけど 今は俺の父と母なんだ。
産んでくれてありがとう。
この世界は 俺の元居た世界とは少し違うみたいだけど・・よし 決めたぞ。

俺は この人たち(おじいさんとおばあさん)を幸せにする。

まあ 大人になるまでの短い時間だけどね。
おじいさんとおばあさんが やってきた。

「決まったぞ! お前の名前は・・」

おじいさんは 俺を抱き上げた。
さっきは気づかなかったけど この家には犬とキジがいるのか。

「お前は・・ モモルじゃ」
「モモル~ おばあさんですよぉ~」
「モモル! モモル~!!」
「まあ キジーったら もう モモルの名前を覚えたのかい?」
「ワンワン」
「ああ ワンダも嬉しそうに鳴いておるわい ははは」

俺は 祝福され、この二人の希望として生まれた。
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