地球人が育てた女神様

モルモット

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伝説のハンバーグ

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私は優勝賞品をかけての勝負に勝ったのに、政治力が絡むと全然ダメね
村長グレイス「じゃが キビ団子は便秘も治るし栄養もあるから村の少子化問題も解消できる。まさに 万能アイテムですじゃ・・・ なのです、がはは。 それにこの辺には魔物が出るのでトモちゃんのような足の速いモルモットでもない限りは村の外へは 出れないのですじゃ。」 

村長クラスともなると、特産のキビ団子で世の中のすべての問題を解決できると思っているわ。
それに魔物が出るなら無理強いはできないわね。
ため息が出そうになった時 せきを切ったようにミリアが糸のスキルを使ったの。

「ミリア、まって!」

ミリアは クモの糸で村長グレイスを縛り上げるとミノムシの様に吊り下げちゃったのね。
さらに 

ビシ! バシ!

クモの糸をムチにしてなぐちゃうなんて 無茶苦茶よ。
ごめんなさい ごめんなさいごめんなさい
終わったわ・・。
だけど ホホを赤らめるグレイスは 吊るされたままモジモジし始めた。

ミリア「村長・・ ミリアの ために ハンバーグにして!」
「はひぃ~ ありがとうございます。 ありがとうございます。 次回の賞品はハンバーグ。それも宿場町カブスの伝説のハンバーグにしますのじゃ」

村長が魅了されているわ・・ 私は以前、メアリーに聞かれたことがあるの・・
昔々 魔物を従えることのできるできるスキル。
その名も「古代魔法チャーム」
その魔法は私は知らないと答えたわ でも もしかしたら
あの子は・・私以前にこの地に降り立った女神の末裔なのかもしれない。

「ミリア~ やるじゃない でもあまり人を殴っちゃダメよ ふふふ」
「ミリア こころ 込めて殴った。でも うん お姉ちゃんの言う通りにする。」

こうして 村長からクエストを貰い。
私たちは 宿場町カブスへ「伝説のハンバーグ」を買いに行くことになったの。

宿場町カブスに来る途中に 魔物に出会ったわ。
魔物って 全身が真っ黒なのね。
それで モコちゃんと突っ切ろうとしたら なんと ミリアがクモの糸で魔物の足を拘束してくれたの。
もうミリアが 可愛くて可愛くて宿場町カブスに着いた時に 顔をスリスリしちゃった。
「さっすが ミリアねぇ これがモルモット式あいさつよ スリスリ」
「うひゃひゃ・・ミリア 嬉しい」

モルモット式あいさつが終わってから 街を少し見て回ろうと思ったけど
あれれ! お金の入った革袋がないわ!
銀貨の入った袋を村に忘れてきたか 途中で落としてきちゃったみたいね。

「これ ある」
ミリアが革袋を取り出したけど それは 村長から預かったハンバーグを買うためのお金。
借りても怒られないと思うけど 勝手に借りるのは気持ちが悪いわね・・・
そうだ この宿場町にはリフトが来ているはず大きな宿場町だけど街道沿いに作られたこの町は人を探すなら簡単なはずよ。
そう思って 歩いた。歩いたけど見当たらない。
街の中央には「もる・もる~ず」というレストランがあって 
美味しそうなハンバーグの匂いがしてくるけど 2往復もするとお腹も空いてきちゃうわ。

レストランを何度かチラ見していたせいなのか、ミーシャという女性が話しかけてきたの。
どうやら このレストランの奥さんらしくて、事情を話すと「宿場町だから人探しなんて簡単よ」と言って
探すのを手伝ってくれたの。

「そうなんだ~ 伝説のハンバーグのお店ってやっぱり 「もる・もる~ず」だったんですね」

街の真ん中で飛び切りいい匂いを出しているお店だったからここじゃないかと思っていたけど
やっぱり このお店だったわ。
それにしても見つからないわね
もう 帰っちゃったのかしら?

はぁ~とため息が出ちゃって 空を見上げたらいたじゃない!
二階のテラスのある酒場にローブ姿のリフトが男の人たちと座っている。
あれは 全員魔族かしら?立派な服装の知り合いがいるのね。

テラスの方を見ていると、冒険者なだけあって、 「え!」 一瞬だけどリフトと目が合ったわ!
でも リフトたちは立ち上がると店の中へ入って行ったの。
きっと 出てきてくれると思ってそのまま待っていたけど 出てこなかったのよね。
「ミリア 二階に行ってくる」
「その必要はないわ 店で聞いてみましょう」
でも リフトの姿はなかった。見間違えだったのかしら??

うううう。。。

ミーシャさんがうずくまってしまったので助けおこすと すぐにケロリと治ってしまったのよ。
話を聞いてみたら具合が悪いわけじゃなくて なんと 「おめでた」お腹に赤ちゃんがいるんですって。
「気にしないでください。人探しに付き合ったのは 一緒に散歩をしてくださる方が欲しかったからなので・・」
でも ミーシャさんはそういうけど 少し運動しすぎちゃったみたいね。
レストランまで送ってあげましょう。

レストランに着くと厨房の奥から出てきたのは 旦那のパンキーというコックだったの。

「いらっしゃい!! なんだ ミーシャか?散歩してきたんだろ?早速 仕込みの仕事を手伝ってくれ」
築何年かわからないけど 大きな建物のレストランを二人で営んでいるなんてすごいわ。

ミーシャさんには赤ちゃんがいるし 仕込みの仕事だけなら手伝ってあげることにしたの。
「私 料理は得意なのよ」
「それは 助かるぜ うぉぉぉ!!」

けど 伝説のハンバーグのレシピもちゃっかり 見せてもらうつもりよ。
ミーシャさんが私の手つきを見て不思議がっていたけど「トモちゃんにならお願いできそうですね。実は・・・」と少し無理をしていたことを話してくれたの。
だから ミリアと一緒に休んでもらう事にしたわ。

「それにしても感動したぞぉぉ! お嬢さん!どこで料理を覚えたんだ?」

終わった仕込みをチェックして パンキーが私のことを気に入ってくれたわ。
このレストランで何年も働いたミーシャさんと同じだって言うのよ。
悪い気はしないけど けど同じじゃないわ。本気で言ってるの?

「特別に伝説のハンバーグの話をしてやろう!伝説のダメオーナーの話をな うぉぉぉ!!」

昔々、小金持ちの成金オーナーが魔物の襲撃で傷んだレストランを買い取ったらしいの。
「伝説のダメオーナーは目の付け所が違ったぜ、このレストランは見直しが必要だとか言いだしたんだ。でもメニューを直すのかと思ったら女さ。 なんと女のウェイトレスをコックの数よりいっぱい雇ったんだぜ。見るところが違ってたぜ。がははは」

バカみたいな成金経営をしていた話を面白おかしく話してくれてわ。

「なあ?面白いだろ?しかも 伝説のハンバーグでようやく店が人気店になったのに、今度は農園を買いたいとか運命の女神に会いに行くとか言い出して、レストランを手放しちまうんだ。もし俺がそこにいたら、「努力が足りん!!」ってカツを入れてやるぜ。がはは 」

「ハラハラ する話だったわ コックたちの努力で店が潰れなくてよかったわ はぁ~」
パンキーの話は結局は努力すれば成功できるという話だったけど、
けど、私は女性だからかもしれないけど、ひょっとしたらダメオーナーは好きな人のために頑張れる人で
素敵な女神さんを見つけることが出来たんじゃないかと思えた。

「どうしたのミリア??」
「ミリアちゃんっていうのか?そうだ 伝説のダメオーナーの話をしてやろう がはは」

「お姉ちゃん お姉ちゃん ミーシャ お腹痛いって・・」
「ですって? ミーシャさんが?」

ミリアが出てきた後に ミーシャさんが出てきて「あなたごめんなさい」って言いだしたのよ。
生まれるのはまだまだ先の話だけど 今日は働けないみたいだったわ。
パンキーは ミーシャさんをベットに戻すと厨房に帰って来て 頭を抱えて「はぁ~」って ため息をついたの。
二人で営んでいるお店だから きっと 代わりのウエイトレスがいないのね

「なあ お嬢さんを見込んで頼みがある。お嬢さんの仕事ぶりは完璧だ。今晩だけでいいんだ。ウエイトレスの仕事頼めないか??」

料理ならともかく ウエイトレスの仕事なんて私にできるのかしら??
でも 返事をしていないのにメニュー表と制服を渡されたわ

「ありがたい。ほら これがメニュー表と制服だ」
「何よ! この呪文のようなメニュー表わ!!」

ハンバーグに使うオイルからソースまで合わせると100種類くらいありそうね。

「いいリアクションだぜ! いいか。俺がオーナーになったときに。軟弱なメニューを辞めて増やしてやった。がははは」

焦がしとか ガーリック○○とか 美味しそうな単語がいっぱい書かれているけど・・・。
ちゃんと読む人なんているのかしら?

あと せっかくマリアが用意してくれた洋服だけど、今回は制服に着替えないといけないのね。
マリア。。ごめんなさい・・

ドン!ドン! ドン!

窓の外を見ると マリアがガラス窓に顔をへばりつけて こちらを見ていたわ。
どうしたの? どうして 中に入ってこないの??
もしかしてと思って 「マリアの笛」に手をかけると 泣きそうな顔でウンウンってうなずくのよ。

笛を・・吹けと? 魔法の笛で 私を呼び出せと??

すると マリアはうなずいた。
ウン・・ウン・・

数回のやり取りをしてから レストランの外に出て私は笛を吹いたわ。

「コスチュームチェンジですね お嬢様!!」
どこからともなくマリアとモルモットたちが現れて 私は「もる・もる~ず」のウェイトレスに変身したの。
マリアは満足げに去ろうとしたけど

ガシ!!ちょっとまって!!
と肩をつかんだのね。

「ちょうどよかったわ。パンキー ウエイトレスが一人増えたわよ」
「これで店は開けられるぞ 奇跡だ! うぉぉぉ!!」

マリアがストーカーしてくれていて助かったわ。
店が始まったけど マリアと二人でやるウエイトレスはそれほどでもなかったの。
メニューは100種類もあったのは驚いたけど 結局選ぶのはお客さんだから一回の注文で覚えるのは1~2種類ですものね。
だけど 思いもよらない事が起きたのよ

村長グレイス「こんちわ! 実はな。村の外の魔物が縛られておって簡単に退治で来たのじゃよ。そしたらハンバーグを食べたいって話になってな。村の者一同でやってきたのじゃ。 よお!そこにいるのは トモちゃんじゃないか?お金の入った革袋忘れていったじゃろ?持ってきたぞい!」

大量の村人たちがお客としてやってきたわ。
注文も取らなきゃいけないし 料理もしなくちゃいけないけど
パンキー! 私はどっちを手伝ったらいい???

だけど パンキーは 急なお客が現れて指示が出せなくなっちゃったみたい。

「おう やっぱりか!メアリーが探してこいっていうから。悪い鬼が迎えに来たぜ!」
「メアリーの館へ帰る前に ハンバーグを買って帰ろうと思ったらバールと出くわしたのです」

「バールにリフト!!」
二人も手伝ってくれれば 何とかなるかしら?
でも パンキーは 頭を抱えだしたわ。

「素人に厨房は無理だ。それにひき肉が足りない。肉は明日の分があるが血抜きが終わっていないんだ。」

バールは剣を お肉に刺したわ

「血抜きだと? まかせろ! 鬼刀斬剣!!がははは」
すると みるみる血抜きがされていった。さすが 魔剣ね

「これで ひき肉は造れるかもしれないが! 表面をバリ!と焼くためのかまどは一台しかない はぁ・・」

リフトは ジュボっと 炎を出して見せていた。
「コンガリ焼くなら 得意ですよ。」

みんな 最高よ!!
ミリア・・ミリアは羨ましそうに見ているわね。
後で一緒に お皿洗いでもしようかしら。ふふふ

「おい 今日のお店は騒がしいじゃないか?!!」
突然お客たちが入って来て 「新人のウェイトレスか? 俺たちは常連なんだ試してやるぜ」とか言い出したのよ。

追い返してもいいのかしら?
パンキーの方を見ると 首を左右に振っているわ
どうやら面倒なお客みたいね。

「ミーシャ ダメ」

店が騒がしくなってきて心配した ミーシャさんが出てきたわ
どうして働こうとするの? 顔が青いじゃない、寝てなきゃダメよ

「おい 注文を言うぞ だけど メモなんて取るなよ。ミーシャにも暗記させたんだからな!
玉ねぎ多め・・オイル小・コショウ多め・・焼き加減はレア・・ガーリック××・・・で表面は焦がしめでな」
「次は俺の注文だ。 ・・で・・で・・・でだ チーズ多めな」
「オレは ここからここまでを全部トッピングだが でも順番があるぞ!よく覚えろよ!!・・・の順番でトッピングだ!!」

100種類のメニューは 組み合わせると呪文のようになるのね。
どうしましょう?
覚えるまで 繰り返す? この御客たちなら覚えるまで何度でも言ってくれそうだけど覚えていられないわ。
あ~ お店も混んでいるしどうしたらいいの? 私はパニックに・・パニ・・パ・え?
パニックにならない冷静な私がいる。私どうしちゃったの?
・・・・
メアリー「もう一人のトモちゃんは心配性で・・」
・・・・
もしかして この冷静な状態の方が私なのかしら?
私は呼吸を整えてみた。

すぅー はぁ~
「マインドフルネス!!!」

心の中に潜ってみると 「失敗したときの私」「逃げ出した私」「過去の私」「誰かが助けてくれて甘えている私」沢山の私が脳裏に映し出されていたわ。

そうだったのね。
私の心の中は いつも大雨が降っていたの。
毎日が雨だから だから それが普通のことだと思ってた。
振り回されていることに気付かなかったのね。
もったいないわ・・。本当の私はもっと 出来るはずなのに。

パズルを解いていたときを思い出して 大雨を小雨にしてみた。

「おい 姉ちゃん!1回で覚えられるわけないだろ。これだから新人わ、、がはは。次行くぞ!」

私は ウェイトレス風にニッコリと微笑むと
「注文をもう一度 お願いできますか?」と注文を繰り返してもらった。
・・・。
・・。
「注文入ります~ ××○○で××を・・チーズ多めで××を お願いします!!」

厨房に注文を伝えると パンキーはウィンクをして私を認めてくれた。

「正解だ! やるじゃねぇか! トモちゃん!!」

ウィンクですって? パンキー あなた常連の注文知ってたでしょ?
まあ いいわ。 

「あんた トモちゃんっていったか?俺たち仕事のうっぷんをこうやって晴らしていたんだ。でもあんたは本物だった。やればできるって見せてもらったよ。俺たちも明日からまた仕事を頑張ってみるよ。ありがとう。これは少ないけど チップだ。受け取ってくれ」

これが・・チップ。
考えてみたら生まれて初めて自力で稼いだお金なのよね。
どんな相手だったとしても、だれかに認めてもらえるのは嬉しいわ。
これがマインドフルネスか~ 私 ちょっとだけ成長したかも。。

・・・・
仕事が終わって レストランはイスとテーブルだけになったわ。
私たちは まかないをご馳走してもらうことになったのだけど、伝説のハンバーグを食べて驚いたのよ。

「このハンバーグよぉ~ 懐かしい味だわ。ここに来ればいつでも食べられたのね」

レストラン「もる・もる~ず」は 実は昔ピョンタがオーナーをしていたことのあるお店だと言うことが分かったの。
パンキーも驚いていたし、ミーシャさんも「道理で仕込みが完璧なはずだわ」とすっきりとした表情を浮かべていた。

「まさか あの伝説のオーナーの家族に会えるとは感動したぜ うぉぉぉ!!しかも トモちゃんがあの女神様だっていう話なら レストランを手放してしまったのもなっとくだぜ。
だってよ。トモちゃんと仕事が出来るなら、どんな店だってやっていけるだろうさ。俺もトモちゃんと仕事がしたかったぜ」

ミーシャはお腹をさすりながら 怖い視線で呪文を唱えた。
「わたし あなたのハンバーグが食べたいわ(あなたをハンバーグにして食べたいわ)」

「パンキー あなたね。人を褒めるときの気持ちが強すぎて奥さんや周りの人たちを下げすんでいるわよ」
「でもよぉ ミーシャよりも、それだけすごいってことだぜ 最上級の誉め言葉なんだぜ」

はぁ パンキーはきっと目標を達成することに人生の価値観を置いてしまうのね。
でもね ミーシャさんのためにも一言言わなくちゃダメね。

「あなたのハンバーグだけど 実は。。焼きすぎなのよね」

私は パンキーのハンバーグをフライパンに移すと再び熱して 少量の水をかけて蓋をしたの

ジュジュジュ~

「ああ なんてことをするんだ! バリ!と香ばしくやけているのに」
「いいえ これでいいの。 食べて見なさいよ」

「水をかけたぐらいでハンバーグがどうにかなるわけ・・・
ん?
なんだと! 前よりもジューシーになってるぞ!うぉぉぉ!!」

パンキーが素直なコックだったおかげで話が早く済んだわ。
「あなたが焼いたハンバーグをさらに焼いたのだから 普通はジューシーになるはずないわ。でもね。大切なのは。人の感じ方の方なのよぉ。ミーシャさんを大切にしてあげて。 ふふふ」

パンキーは 改心した様子だったわ
「ミーシャ、俺はウェイトレスを雇おうと思うんだ」
「いいのよ あなた。お金がもったいないわ」
「いいや 今が大切なときなんだ。俺も。そしてミーシャの体と赤ちゃんのためにも・・・力を合わせよう」
「私ね、前のオーナーのときから パンキーと一緒にレストランをするのが夢だったの。これからもよろしくね。シクシク・・」
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