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第4章 チタン属性でざまぁ編
第175話 おっさん、宝石魔導士会を認めさせる
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「では、宝石魔導士会の発足を祝って、乾杯」
「「「「乾杯」」」」
4つの魔導士会が一堂に会した。
「おや、どこかで会ったかな」
宿敵フレッドが思い出そうとする素振りで言った。
この顔、この声を俺は覚えているぞ。
フレッドをここで始末したいがぐっと堪える。
「いや気のせいだろう」
「しかし、女の会長ってのも花があっていいねぇ」
レグラスがそう言って酒を飲んだ。
「なめられるだけだと思うがな」
とルーク。
「私は単なる神輿です。肝心な部分はムニがやっています」
「ムニと言うと詐欺師として有名な奴だな」
そのフレッドの一言を聞いて場に緊張した空気が流れた。
俺がやらかしそうな空気を感じ取ったみたいだ。
殺気が知らず知らずのうちに漏れていたのかも知れない。
「そうさ、俺がちまたで話題の詐欺師のムニだ。だがな、魔導だろうが手品だろうが。現象が起こるのなら、そこになんの変わりがある。魔導で殺そうが、毒の短剣で殺そうが、死ぬには変わりない」
「ふん、高貴さの欠片もない」
「確かに生まれも能力のうちの一つだ。しかし、人間はそれだけじゃないんでな」
「お前とは相容れないようだ」
「分かってもらおうとは考えてない。ただ、俺が思っている事を言ったまでだ」
「まあまあ、せっかくの酒が不味くなる」
「宝石魔導士会はどんな人間とも仲良くしていきたい。悪人でない限りはな」
「金属魔導士会は宝石魔導士会と仲良くしたい」
「万物魔導士会は利があるうちは付き合ってやる」
「ダイヤモンド魔導士会は存在を認めんと言いたいが、二つの魔導士会の顔に免じて認めてやる」
「それで結構だ」
なんとなくギスギスした感じで会合は終わった。
帰り道、ジャスミンと連れ立って歩く。
「ねぇ、ムニ。ダイヤモンド魔導士会のちょっかいは終わるかしら」
「終わらんだろうな。ただ、宝石魔導士会は表向き認められたってところだな」
「やっぱりねぇ」
「金属魔導士会は新しい属性に興味津々だから、宝石魔導士会に対して理解がある」
「それは分かるわ。あそこは金属魔導士なら何でも良いから」
「権力を拡大する為に人を増やす事が重要だと考えたんだろう。万物魔導士会の思考も単純だ。今の2位の位置を確保したいというところだな」
「確かに、サファイヤとルビーを万物魔導士が使うと威力が高いのよね」
万物魔導士がサファイヤとルビーを使った場合の威力度数は82。
鉄魔導士が鋼鉄を使った場合の威力度数は74。
宝石魔導士がサファイヤとルビーを使った場合の威力度数は72。
「うん、魔導士会の順位は順当だな」
「何感心しているのよ」
万物魔導士はサファイヤとルビーが貴重でやたらめったら使えない。
他の宝石でも触媒として使える物はあるけど、威力は少し落ちる。
だが、万物魔導士は魔導士としては使い勝手良い。
鉄魔導士は鋼鉄が豊富なのが強みだ。
宝石魔導士はアルミが触媒として使えたとしても強みが薄い。
「宝石魔導士会の強みが薄いな」
「やっぱり土魔導士を取り込みたいわね」
「そうだな。シリコンの情報を安易に渡して良いものか」
「駄目ね。土魔導士が自分たちで魔導士会を作るのが、目に見えるようだわ」
「いっその事、宝石魔導士会を土魔導士に牛耳らせたらどうかな」
「良いわね。ダイヤモンド魔導士会も手が出せなくなるかも」
ええと、シリコンの威力度数は70ぐらい。
水晶の威力度数は56ぐらい。
うん、シリコンの情報を渡すと大幅な戦力アップだな。
ただ宝石魔導士には負ける。
バランス的には良いのかもな。
「よし、その方向で進めてくれ。宝石魔導士会を乗っ取りませんかと声を掛けてくれ」
「どうしようもないのばかり集まって来たらどうするの」
「その時は分裂するだけだ。宝石魔導士の触媒はおさえているから、問題ないだろう」
「そうね、私もそうすれば肩の重荷を下ろせるわ」
「よし、河原に行くぞ」
「何するのよ」
「シリコンを作る」
俺達は街のそばを流れる川に行った。
半透明の白い石を探す。
あるなゴロゴロしている。
「属性魔導、珪素を抽出して結晶になれ」
銀色の金属が出来上がった。
「これを持って土魔導士を口説きに行けばいいのね」
「土魔導士は水晶魔導士だから、宝石魔導士にふさわしいなんておだててやれよ」
「ええ、任せて」
「シリコンの作り方は最初秘密にしろよ。宝石魔導士会を運営してくれる段になったら言うんだ」
「分かってるわ」
これで、土魔導士が仲間になるといいと思う。
もし、失敗して土魔導士単体で独立したら、ダイヤモンド魔導士会のけん制ぐらいにはなるはずだ。
「「「「乾杯」」」」
4つの魔導士会が一堂に会した。
「おや、どこかで会ったかな」
宿敵フレッドが思い出そうとする素振りで言った。
この顔、この声を俺は覚えているぞ。
フレッドをここで始末したいがぐっと堪える。
「いや気のせいだろう」
「しかし、女の会長ってのも花があっていいねぇ」
レグラスがそう言って酒を飲んだ。
「なめられるだけだと思うがな」
とルーク。
「私は単なる神輿です。肝心な部分はムニがやっています」
「ムニと言うと詐欺師として有名な奴だな」
そのフレッドの一言を聞いて場に緊張した空気が流れた。
俺がやらかしそうな空気を感じ取ったみたいだ。
殺気が知らず知らずのうちに漏れていたのかも知れない。
「そうさ、俺がちまたで話題の詐欺師のムニだ。だがな、魔導だろうが手品だろうが。現象が起こるのなら、そこになんの変わりがある。魔導で殺そうが、毒の短剣で殺そうが、死ぬには変わりない」
「ふん、高貴さの欠片もない」
「確かに生まれも能力のうちの一つだ。しかし、人間はそれだけじゃないんでな」
「お前とは相容れないようだ」
「分かってもらおうとは考えてない。ただ、俺が思っている事を言ったまでだ」
「まあまあ、せっかくの酒が不味くなる」
「宝石魔導士会はどんな人間とも仲良くしていきたい。悪人でない限りはな」
「金属魔導士会は宝石魔導士会と仲良くしたい」
「万物魔導士会は利があるうちは付き合ってやる」
「ダイヤモンド魔導士会は存在を認めんと言いたいが、二つの魔導士会の顔に免じて認めてやる」
「それで結構だ」
なんとなくギスギスした感じで会合は終わった。
帰り道、ジャスミンと連れ立って歩く。
「ねぇ、ムニ。ダイヤモンド魔導士会のちょっかいは終わるかしら」
「終わらんだろうな。ただ、宝石魔導士会は表向き認められたってところだな」
「やっぱりねぇ」
「金属魔導士会は新しい属性に興味津々だから、宝石魔導士会に対して理解がある」
「それは分かるわ。あそこは金属魔導士なら何でも良いから」
「権力を拡大する為に人を増やす事が重要だと考えたんだろう。万物魔導士会の思考も単純だ。今の2位の位置を確保したいというところだな」
「確かに、サファイヤとルビーを万物魔導士が使うと威力が高いのよね」
万物魔導士がサファイヤとルビーを使った場合の威力度数は82。
鉄魔導士が鋼鉄を使った場合の威力度数は74。
宝石魔導士がサファイヤとルビーを使った場合の威力度数は72。
「うん、魔導士会の順位は順当だな」
「何感心しているのよ」
万物魔導士はサファイヤとルビーが貴重でやたらめったら使えない。
他の宝石でも触媒として使える物はあるけど、威力は少し落ちる。
だが、万物魔導士は魔導士としては使い勝手良い。
鉄魔導士は鋼鉄が豊富なのが強みだ。
宝石魔導士はアルミが触媒として使えたとしても強みが薄い。
「宝石魔導士会の強みが薄いな」
「やっぱり土魔導士を取り込みたいわね」
「そうだな。シリコンの情報を安易に渡して良いものか」
「駄目ね。土魔導士が自分たちで魔導士会を作るのが、目に見えるようだわ」
「いっその事、宝石魔導士会を土魔導士に牛耳らせたらどうかな」
「良いわね。ダイヤモンド魔導士会も手が出せなくなるかも」
ええと、シリコンの威力度数は70ぐらい。
水晶の威力度数は56ぐらい。
うん、シリコンの情報を渡すと大幅な戦力アップだな。
ただ宝石魔導士には負ける。
バランス的には良いのかもな。
「よし、その方向で進めてくれ。宝石魔導士会を乗っ取りませんかと声を掛けてくれ」
「どうしようもないのばかり集まって来たらどうするの」
「その時は分裂するだけだ。宝石魔導士の触媒はおさえているから、問題ないだろう」
「そうね、私もそうすれば肩の重荷を下ろせるわ」
「よし、河原に行くぞ」
「何するのよ」
「シリコンを作る」
俺達は街のそばを流れる川に行った。
半透明の白い石を探す。
あるなゴロゴロしている。
「属性魔導、珪素を抽出して結晶になれ」
銀色の金属が出来上がった。
「これを持って土魔導士を口説きに行けばいいのね」
「土魔導士は水晶魔導士だから、宝石魔導士にふさわしいなんておだててやれよ」
「ええ、任せて」
「シリコンの作り方は最初秘密にしろよ。宝石魔導士会を運営してくれる段になったら言うんだ」
「分かってるわ」
これで、土魔導士が仲間になるといいと思う。
もし、失敗して土魔導士単体で独立したら、ダイヤモンド魔導士会のけん制ぐらいにはなるはずだ。
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