113 / 248
第3章 分解スキルでざまぁ編
第113話 おっさん、遺跡を見物する
しおりを挟む
次なる手は。
「ガイドさん、今日はよろしく」
「あんたも酔狂だね。遺跡街に住む予定もないのにガイドなんか雇ってさ。まあ、こっちは金がもらえりゃなんでもいいが」
「どんな感じなのか知りたかったんだよな」
俺は遺跡街と呼ばれるビル群の一つにガイドと共に立ち寄った。
まずは人が実際に住んでいる部屋だ。
「こんにちは」
「こんにちは、今日の住宅見学はその人なの」
「いつも部屋を見せて貰って悪いね」
「いいのよ。お金も貰っているし」
「どうだ。良い部屋だろ。一部屋借りてみちゃどうだ」
「この街にいつまで居られるか分からない」
「気が変わったら事務所まで来て声を掛けてくれよ」
「ああ、その時はな」
部屋は現代の暮らしが異世界によみがえったようだ。
ガラス張りの窓に木工の家具。
そして、ステンレスであろうキッチン。
電化製品の代わりにある発掘品の数々。
床は木で、その上には絨毯が敷かれていた。
なるほどね。
この街の上流階級はこういう暮らしをしているのか。
「参考になったよ。奥さんありがと」
「おかまいもしませんで」
「ガイドさん、空き部屋に案内してくれ
「はいよ」
ここの遺跡は発掘され尽くしているとは言え10階から上はお宝の山だ。
あいつらがいないとも限らない。
俺は11階の空き部屋の一つに案内された。
確かに人が住んでいない。
なぜ分かるかと言えば扉が壊されているからだ。
「扉が壊されているのはなんで」
「元々は鍵がかかった扉があったんたけど、入れないものだから力ずくで」
「入居者が入る時に扉を直すって訳か」
空調の発掘品を観察する。
小型の冷蔵庫ほどの大きさで空気の取り入れ口と吐き出し口がある。
手を掛けて重さを確かめる。
冷蔵庫ほどの重さだな。
ケーブルが壁につながっていて操作パネルが壁にある。
たしかにこれは切断すると使えなくなる可能性大だ。
家具は全て持ち出されているようで部屋には何もない。
操作パネルを前に俺は分解してみたくなった。
「分解」
「ちょっとお客さん。困りますよ。この部屋に入居を希望する人が出るかも知れない」
「後で元に戻しておくよ」
スキルで分解すると魔石が現れた。
魔石の中には魔力回路がある。
異世界アルリーの物とも違う魔力回路だ。
形はこの世界の文字に酷似していた。
俺はまだこの世界の文字が読めない。
非常に興味をそそられたが読めない物は仕方ない。
俺は操作パネルを元の状態に戻した。
ガイドは空調の発掘品が作動するか確かめている。
「勘弁して下さいよ。壊れてなかったから良かったものの。壊したら組合に睨まれちまう」
「悪かったな。もっと上の階に行きたい」
「上の方なら無茶しても大丈夫なんて考えないで下さいよ」
「ああ、無茶しない」
階段を上り最上階の33階に行った。
部屋の間取りは下と変わりない。
家具や一切の物がないのも同じだ。
「エレベーターがあるだろ」
「エレなんですって」
「ああ、悪い。昇降機だ。部屋の上と下を行き来するのがあるだろう」
「それは使えませんよ」
「いいから、案内しろよ」
俺は一階のエレベーターの扉の前に立った。
扉を手でこじ開ける。
中は空洞で暗闇の世界だ。
俺はライトで上下を確かめるように照らした。
ゴンドラはちょうど上の階で止まっている。
上の階に行きエレベーターの扉をこじ開け中に入り込んだ。
ボタンがいくつかあるので適当に押してみる。
「駄目でしょ。さんざん学者なんかも来て試してます」
「そのようだな。ロック解除」
俺は赤いボタンを押してマイクに向かって言った。
ボタンのアイコンは通話を意味する電話の形だったからな。
「管理者パスワードをどうぞ」
「えっ、何が起こったんですか」
「災害が起こるとこの手の機械は止まる。止まると再び動かすには手続きが必要だって事だ」
「だんな、詳しいですね。さすが冒険者。遺跡にもお詳しいので」
「少しな」
「それで昇降機は動くんですかい」
「駄目だな。パスワードがないと」
さて、ここの遺跡の現状は分かった。
これは稼げないな。
やつらも同じに思うはずだ。
これならギャンブルの方がまだいい。
そうか賭場をあたってみるのもいいか。
「ガイドさん、今日はよろしく」
「あんたも酔狂だね。遺跡街に住む予定もないのにガイドなんか雇ってさ。まあ、こっちは金がもらえりゃなんでもいいが」
「どんな感じなのか知りたかったんだよな」
俺は遺跡街と呼ばれるビル群の一つにガイドと共に立ち寄った。
まずは人が実際に住んでいる部屋だ。
「こんにちは」
「こんにちは、今日の住宅見学はその人なの」
「いつも部屋を見せて貰って悪いね」
「いいのよ。お金も貰っているし」
「どうだ。良い部屋だろ。一部屋借りてみちゃどうだ」
「この街にいつまで居られるか分からない」
「気が変わったら事務所まで来て声を掛けてくれよ」
「ああ、その時はな」
部屋は現代の暮らしが異世界によみがえったようだ。
ガラス張りの窓に木工の家具。
そして、ステンレスであろうキッチン。
電化製品の代わりにある発掘品の数々。
床は木で、その上には絨毯が敷かれていた。
なるほどね。
この街の上流階級はこういう暮らしをしているのか。
「参考になったよ。奥さんありがと」
「おかまいもしませんで」
「ガイドさん、空き部屋に案内してくれ
「はいよ」
ここの遺跡は発掘され尽くしているとは言え10階から上はお宝の山だ。
あいつらがいないとも限らない。
俺は11階の空き部屋の一つに案内された。
確かに人が住んでいない。
なぜ分かるかと言えば扉が壊されているからだ。
「扉が壊されているのはなんで」
「元々は鍵がかかった扉があったんたけど、入れないものだから力ずくで」
「入居者が入る時に扉を直すって訳か」
空調の発掘品を観察する。
小型の冷蔵庫ほどの大きさで空気の取り入れ口と吐き出し口がある。
手を掛けて重さを確かめる。
冷蔵庫ほどの重さだな。
ケーブルが壁につながっていて操作パネルが壁にある。
たしかにこれは切断すると使えなくなる可能性大だ。
家具は全て持ち出されているようで部屋には何もない。
操作パネルを前に俺は分解してみたくなった。
「分解」
「ちょっとお客さん。困りますよ。この部屋に入居を希望する人が出るかも知れない」
「後で元に戻しておくよ」
スキルで分解すると魔石が現れた。
魔石の中には魔力回路がある。
異世界アルリーの物とも違う魔力回路だ。
形はこの世界の文字に酷似していた。
俺はまだこの世界の文字が読めない。
非常に興味をそそられたが読めない物は仕方ない。
俺は操作パネルを元の状態に戻した。
ガイドは空調の発掘品が作動するか確かめている。
「勘弁して下さいよ。壊れてなかったから良かったものの。壊したら組合に睨まれちまう」
「悪かったな。もっと上の階に行きたい」
「上の方なら無茶しても大丈夫なんて考えないで下さいよ」
「ああ、無茶しない」
階段を上り最上階の33階に行った。
部屋の間取りは下と変わりない。
家具や一切の物がないのも同じだ。
「エレベーターがあるだろ」
「エレなんですって」
「ああ、悪い。昇降機だ。部屋の上と下を行き来するのがあるだろう」
「それは使えませんよ」
「いいから、案内しろよ」
俺は一階のエレベーターの扉の前に立った。
扉を手でこじ開ける。
中は空洞で暗闇の世界だ。
俺はライトで上下を確かめるように照らした。
ゴンドラはちょうど上の階で止まっている。
上の階に行きエレベーターの扉をこじ開け中に入り込んだ。
ボタンがいくつかあるので適当に押してみる。
「駄目でしょ。さんざん学者なんかも来て試してます」
「そのようだな。ロック解除」
俺は赤いボタンを押してマイクに向かって言った。
ボタンのアイコンは通話を意味する電話の形だったからな。
「管理者パスワードをどうぞ」
「えっ、何が起こったんですか」
「災害が起こるとこの手の機械は止まる。止まると再び動かすには手続きが必要だって事だ」
「だんな、詳しいですね。さすが冒険者。遺跡にもお詳しいので」
「少しな」
「それで昇降機は動くんですかい」
「駄目だな。パスワードがないと」
さて、ここの遺跡の現状は分かった。
これは稼げないな。
やつらも同じに思うはずだ。
これならギャンブルの方がまだいい。
そうか賭場をあたってみるのもいいか。
53
お気に入りに追加
1,190
あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

異世界に召喚されたおっさん、実は最強の癒しキャラでした
鈴木竜一
ファンタジー
健康マニアのサラリーマン宮原優志は行きつけの健康ランドにあるサウナで汗を流している最中、勇者召喚の儀に巻き込まれて異世界へと飛ばされてしまう。飛ばされた先の世界で勇者になるのかと思いきや、スキルなしの上に最底辺のステータスだったという理由で、優志は自身を召喚したポンコツ女性神官リウィルと共に城を追い出されてしまった。
しかし、実はこっそり持っていた《癒しの極意》というスキルが真の力を発揮する時、世界は大きな変革の炎に包まれる……はず。
魔王? ドラゴン? そんなことよりサウナ入ってフルーツ牛乳飲んで健康になろうぜ!
【「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」1巻発売中です! こちらもよろしく!】
※作者の他作品ですが、「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」がこのたび書籍化いたします。発売は3月下旬予定。そちらもよろしくお願いします。

俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる