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第2章 異世界帰還でざまぁ編

第89話 おっさん、デートする

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 隠し撮りには証拠能力はないそうで、親父と議員秘書は映像は合成だとしらを切った。
 検察も追及しきれなかった為、闇冒険者に矛先を変えた。
 闇冒険者の方はダンジョンレコーダーの映像なので証拠能力はある。
 しかし、闇冒険者は口を割らなかった。
 黙秘したままだ。
 このままだと疑惑で終わりそうだ。

 くそう、駄目か。
 だが、山田ダンジョンカンパニーの株価は大きく下がったので、買収はかなり進んでいる。

 嫁達が観光に連れて行かないので切れた。
 すいません、事件ばっかり起こるのがいけないのだ。

 仕方ないので地元の日本庭園に行ってみた。

「どうかな、地元のデートスポットだ」
「私にはこの庭の良さはなんとも分からないわね」

 エリナが述べた。

「微妙」

 モニカも今ひとつのようだ。

「貴族のお庭に比べると大人しめやね」

 アルマも感心した風がない。
 反応は良くない、このチョイスは失敗か。

 建物の窓ガラスやアスファルトの道路に感心していた所から、この辺りで一番高いビルの展望台に連れてった。

「ここもデートスポットだ。周りが良く見える」
「あないに人や車が小さく見える。高い場所は気分がええな」
「こういう所から先に連れてきなさいよ」
「絶景」

 大した高さではないが、絶景に感心している。やや受けたか。

 次は遊園地だ。

「さて何から乗ろう。カップルだと観覧車あたりか?」

 観覧車はそこそこ受けた。
 次に乗ったコーヒーカップはレベルのせいだろうか、酔いもしないしあまり面白くない。
 お化け屋敷は本物のアンデッドに比べると迫力が足りなくて興ざめだ。
 その次に乗ったジェットコースターは大うけした。

「喋っていると舌を噛むぞ」

 ジェットコースターは走り始め捻りを加えてGが体に掛かる。

「きゃあ、きゃあ、きゃあ!!」

 アルマの歓声が凄い。
 ジェットコースターが止まり。

「ふん、これくらいどうって事ないわ」

 エリナはやせ我慢している感じだ。

「再挑戦」

 モニカからリクエストが来た。

「もう一回乗ろう」

 結局、五回も乗ってしまった。

 締めは温泉だ。
 家族風呂に皆で入る。

「どうだ。あったまるだろう」

「アルマさん、何を食べたらそんなに大きくなるの?」
「柔軟」
「ちょっとモニカ触らんといて」

「アルマは出会った時から巨乳だったな」
「羨望」

「エリナもモニカも最初に比べたら大きくなっただろう。まだまだ大きくなるって」
「お返しや」

 お前たち風呂で騒ぐな。
 変な気分になるだろう。

 その夜は、まあお察しの通りという事で。
 皆は満足して異世界に帰って行った。

 その晩、俺の所に脅迫文が届いた。
 女達の命が惜しければ、山田ダンジョンカンパニーの買収を止めろと。
 ご丁寧に遊園地で遊んでいる俺達の写真つきだ。

 どうやって異世界までアルマ達を殺しにいくのだろうな。
 その方法を聞いてみたい。
 ダンジョン内では油断しないので、殺すのは難しいと思われる。
 いったい何が言いたいのか。

 まあ、焦っているんだろうな。
 俺は異世界で寝て、夜の会社に出勤した。

「社長、忘れ物ですか」
「これからは午前中はダンジョンで、その他の時間は業務にあてる」
「いつ寝るおつもりですか」
「秘密だ。充分に睡眠はとっているとだけ言っておこう」

 俺は正午と夜中の12時に異世界に帰って寝る事にした。
 十二時間労働だ。
 一日を二日分生きる。
 寿命はレベルアップのおかげで伸びているので、問題ない。

「くれぐれも、体を壊さないようにして下さい」
「お前らも今は夜中の12時だぞ。もう帰れ。俺が出来る業務は俺がやっておく」
「社長、一生ついていきます」

 こんな社長は嫌だな。
 暗にもっと仕事しろと言っているような物だ。
 上が休まないと下は休めない。
 だが、今は会社というか地球にとって重要な時期。
 目一杯働いてもらわないとな。

「残業手当は給料の五倍出そう。でもな終電の時間には帰れ。お前らマイカー出勤だけどな」
「はい、そうします」
「社長の事誤解してました。ぼったくりの権化だと。儲けるが社員に還元するつもりなんですね」
「そうだよ。ぼったくりだよ。だけどケチじゃない。社員には幸せになってほしい。それと、俺はアエモ製品をなんとしても世界中に普及させたい。そのためなら何だってやる」

 残業している社員の目が潤む。
 ちょろいもんだぜ。
 残業代なんて惜しくない。
 モンスターがはびこって人が住めなくなったら、会社どころか金銭の価値さえ危うい。
 どうにかしないとな。
 それには山田ダンジョンを乗っ取って、ダンジョンコアを好き勝手に使いたい。
 先はまだ長い。
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