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第2章 異世界帰還でざまぁ編

第78話 おっさん、大猪を討伐する

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 俺はベンケイの強化に乗り出した。
 魔力通販でスキルオーブを買い、ベンケイは怪力スキルと魔力壁スキルを習得した。
 さて、ダンジョンコア接触法が施行されるまで荒稼ぎするぞ。

 嫁達を召喚。
 ダンジョンの攻略に乗り出した。

 やはり雑魚や各階層のボスは問題なかった。
 ラスボスが問題になるのだろう。

 ボス部屋に入ると。
 体高が3メートルはある大猪が召喚された。
 熊じゃないのだな。
 黒光りする体にアースの役割の尻尾。
 防弾と耐電の性能はあるみたいだ。

「攻撃手段がみたい。しばらく受けに回るぞ」
「はいな」
「はい」
「了解」

 大猪が突進してくる。
 俺は全力で受け止めた。
 現在、レベルは257。
 そのぐらいになると、このでかぶつも受け止められる。

 ベンケイが勇敢にも前足にかみついた。
 しかし、効いていないようだ。
 大猪は足を動かし振り払った。

 しばらく押し合いになり、俺は牙に手をかけてひねった。
 どすんと転がり大猪はジタバタ。
 俺はメイスを取り出すと腹を殴打。
 ゴムタイヤを殴ったような手ごたえだった。

 大猪は起き上がり、アルマ達に向かって突進した。

「もう、こっち来んといて。シールド
「加勢するわ。シールド
「断罪の剣よ罪悪を切り裂けソード

 アルマ達は魔法を展開。
 突進を受け止めた。

 俺は後ろからメイスで殴打。
 あまり効いていないようだ。

 大猪は向きを変え一時俺達から離れる。
 遠距離攻撃は持っていないのかと思ったら、牙をミサイルの様に発射してきた。
 牙のミサイルをメイスで打ち返す。

 もう一つの牙はベンケイに向かって発射された。
 ベンケイはひらりと牙をかわした。
 これじゃ俺が弁慶でベンケイが牛若だよ。
 名前は付けてしまったから、今更変えられない。

 なぜ大猪は牙を発射したのかというと、火炎放射は体内で爆発して自爆する恐れがあるからこうなったんだと推測。

 こいつ手ごわいな。
 仕方ない切り札を切ろう。
 口を開けた瞬間を見て、アンダースローでポーションを投げ込んだ。

 大猪は不思議そうに俺達を見ている。
 あのポーションは害なんかない。
 何に使うポーションかというと異世界で夜戦に使う。
 夜目ポーションという名前でわずかな光も逃さないようになる。

 そうなるとどうなるかというと。
 俺はフラッシュバンを投げた。

 閃光が起こり、大猪のプギーという悲鳴が聞こえた。
 明るい光を受けると失明の危険があるという訳だ。
 光を集めるポーションだからこうなる。
 これが赤外線や紫外線感知だったらこうはいかない。

 目の見えなくなった大猪をメイスで滅多打ち。
 どうにか魔石にする事ができた。
 再戦があるかは分からないが、この大猪は牙矢大猪と名付けた。
 ドロップ品として鍵が出た。
 どこの鍵だろう。
 魔道具には見えないのだけどな。
 そう言えば異世界で聞いた事がある。
 死んだ冒険者の遺品がドロップすることがあると。
 これもそれかな。

 ダンジョンコアから魔力を吸い出し一旦外に。
 すると掲示板に明日からダンジョンコア接触法が時限立法で施行されると出ている。
 なぬっ、緊急権行使だと。
 それは自然災害なんかやテロに対して使われるものじゃないのか。

  ◆◆◆

「本日は公国データバンクをご利用ありがとうございます。ご用件をどうぞ」
「ダンジョンコア接触法について知りたい」
「その情報は10万円になります」
「分かった聞かせてくれ」
「ダンジョンコアはダンジョンの所有者の所有物と認め、接触を禁止します」
「どういう経緯で成立したんだ」
「ダンジョン協会が圧力をかけたとの噂です。確証は取れていません」

 ダンジョン協会はダンジョン所有者が集まってできた団体だ。
 百人ほどが加盟している。
 全員の資産を合わせると50兆を超えるらしい。
 そういう人々にとってダンジョンの停止や弱体化は死活問題なのだろう。

「他に冒険者に対する法律が出来る兆候はあるか」
「この情報は10万円になります」
「聞かせてくれ」
「現在はございません」
「ありがとうよ」
「ご利用ありがとうございました」

 ダンジョンを所有する団体が圧力をかけたらしい。
 何千億という資産を持つ人間が百人も集まると無理が通るのか。

 仕方ない。
 別の手を考えよう。
 青汁販売する時の魔力寄付の横流しで魔力回路のインクはなんとか賄える。
 しかし、魔力を大量消費しないと破滅が訪れる。
 魔力回路の売り上げも伸びているけど、破滅回避には程遠い。
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